日本文化を身に付けて世界へ羽ばたく…和洋九段

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 和洋九段女子中学校高等学校(東京都千代田区)は、世界で活躍できるコミュニケーションの資質を磨くため、日本文化を身に付けるカリキュラムに力を入れている。茶道、華道、書道、小笠原流礼法の授業を通して日本の「心」を学び、世界の人々と一緒に価値あるものを生み出せるような人材を育成するという。静寂の中で伝統文化に取り組む生徒たちの様子をリポートする。

思いやりの心で世界とコミュニケーションする

和室の教室でお茶の点て方を学ぶ生徒
和室の教室でお茶の点て方を学ぶ生徒

 「お点前(てまえ)、ちょうだい致します」

和室の教室では、生徒が2人1組になって正座していた。1人がお茶を()て、相手の生徒は手に取った茶碗(ちゃわん)を回してから、ゆっくりお茶を味わった。

 「そう、これが一期一会ね」。裏千家の西宗和先生が生徒にこう語りかけた。

 取材に訪れた日、中2の日本文化の授業が行われていた。この授業は年間5回あり、全員が1年間で茶道、華道、書道の三つすべてを習う。このほか、小笠原流礼法の授業も年間9回ある。

 入試広報室長の川上武彦教諭がこう説明する。「昨年、グローバルクラスを新設するにあたり、改めて日本文化を学ぶ重要性を考えて導入しました」。これまでもクラブ活動のなかに華道部、書道部、箏曲部があり、さらに選択授業で着付けや茶道を学ぶこともできたが、昨年から全員が必修授業で日本文化を学ぶようになった。

 「共通しているのは、姿や形を整えるだけではない、ということです。自分を見つめながら、相手を思う時間を大切にし、敬意の表し方を学ぶということです。花や掛け軸などのしつらえは、お客さまへのおもてなしの気持ちの表れです。世界に出て誰かと接するとき、相手への敬意や、その表現方法はとても大切なものになってきます」

 この茶道の指導の中で、床の間の掛け軸や花をめでる作法、畳の上での歩き方や所作、茶碗の持ち方、お菓子のいただき方などを3人の先生が細かく指導していく。生徒たちはみな、いつもより背筋をピンと伸ばして、先生の説明に耳を傾けながらお茶を点てた。

 授業を受けた網代美衣菜さんは「いつもはタブレットを使って海外体験をしたり、国際的な問題を学んだりしているので、とても新鮮です。日本人でも日本文化をあまり知らないことを再認識しました」と話す。

 同じく大城文南さんも「あいさつ一つ取っても、海外と日本でのやり方は全く違います。お茶を点てるときは、仕草(しぐさ)にも気を付けなければいけません。将来、お客さまをおもてなしするときに役立てたいです」と感想しきりだ。

 西先生は、「若い人たちにぜひ日本文化を継承していただきたいのです。今や茶道は世界からも注目され、海外から学びたい人がたくさん訪れています。茶道は一期一会の精神であり、一椀でつくるピースフルネス(平和)でもあります。茶道で世界平和に貢献できるのです」と話す。

華道を学んで、人と人が調和する世界を作るヒントに

生け花を学ぶことで、調和の美を学ぶ
生け花を学ぶことで、調和の美を学ぶ

 華道の授業では、真月池坊の小林和伸先生が指導していた。

 この日はユキヤナギ、リンドウ、ヒメヒマワリの3種の花材を使った。「高い枝から低い枝を段々に生けるのでは単調になってしまいます。長い枝や短い枝を入れてリズミカルな感じにして、見る人が楽しい気持ちになるように生けましょう」と小林先生が説明する。花器の中央奥に生ける主座、主座の左30度に生ける副座、主座の右60度に生ける客座の3方向に花を生けて、一つの世界を作り上げるという。

 小林先生は教室を回り、生徒が生けた花を見て1人ずつ指導していく。

 「この主座のユキヤナギの枝の流れを受け止めるように、副座の枝を入れましょう。客座の枝はもうちょっと短くね。少し、ためを利かせてあげて、ふっくらとした三角形を作りましょう。生け花は調和の美なのです」

 指導を受けた藤野楓さんは、「花を生けていると、心が落ち着いてきます。先生に直していただくと、自分が生けたものとは全然イメージが違って、勉強になります。日本の心を感じます」と話した。宮川美憂さんは「知識を覚える普段の授業とは違う感覚で取り組んでいます。日本人としての美意識や知識を身に付けたいです」と話した。

 小林先生は「華道では、表と裏、陰と陽、相反するものがあってこそ、一つの調和する世界を作ります。そして、天・地・人で作る一つの宇宙を表しています。これは私たち人間の世界にも通じるものです。将来、生徒たちが、人と人が調和する世界を作るヒントにしてほしいですね」と、生徒への期待を話した。

世界の人と一緒に価値あるものを生み出す人に

美しい文字を書くことも相手への敬意や思いやりの表れ
美しい文字を書くことも相手への敬意や思いやりの表れ

 しんと静まり返った書道の教室では、生徒たちが「いろはにほへと」、と筆を動かしていた。「春雪」の雅号を持つ国際書画連・書藝新潮社の松本弘美先生が平仮名の成り立ちや書き方を説明しながら指導していた。

 松本先生は、「筆文字は日本古来の文化であり、一点一画留意して書くことで集中力を養うことができます。また、さまざまな古典の書を知ることにより、人間の感性を学び、自分自身を磨くことができるのです」と話した。また、「美しい文字を書くことは相手への敬意や思いやりの表れでもあります」とも。

「日本文化の思いやりを身に付けて世界へ羽ばたいてほしい」と話す川上教諭
「日本文化の思いやりを身に付けて世界へ羽ばたいてほしい」と話す川上教諭

 同校では、世界で活躍する人材を育てるため、「PBL(Problem Based Learning、問題解決)」型授業を全クラスに導入した。また、オールイングリッシュで授業を行う「グローバルクラス」も始動から2年目を迎える。「私たちが育てたいのは、1ドルでも多く外貨を稼ぐキャリアウーマンではありません。世界の人たちと一緒に価値のあるものを生み出すには、自分だけが利益を得るのではなく、相手にも利益があり、なおかつ世の中全体のためになるものでなくてはなりません。この人と一緒に仕事できてよかったと思われる、そんな女性に育ってほしいと願っています」と川上教諭は話した。

 将来、生徒が世界で活躍する場に立つとき、同校で身に付けた日本文化のおもてなしや思いやりの心が、異文化とのコミュニケーションにも大きな役割を果たすことだろう。

 (文・写真:小山美香)

 和洋九段女子中学校高等学校について、さらに詳しく知りたい方はこちら

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48245 0 和洋九段女子中学校高等学校 2018/11/12 05:20:00 2018/11/12 05:20:00 https://www.yomiuri.co.jp/media/2019/01/20181107-OYT8I50049-T.jpg?type=thumbnail

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