「講習室」で学び、励まし合って大学受験…佼成女子

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 佼成学園女子中学高等学校(東京都世田谷区)は、予備校と連携して2種類の「講習室」を運営し、受験対策に効果を上げている。高い目標設定と励まし合う仲間の存在によって、受講生はモチベーションを維持して受験勉強に集中していけるという。「講習室」を管理・運営している西村準吉教頭や現場で生徒たちを支えるフェロー、チューターらに話を聞いた。

2種類の「講習室」で進学実績に成果

トップレベル講習で高2に古典を教える西村教頭
トップレベル講習で高2に古典を教える西村教頭

 同校の校内予備校とも言える「講習室」では、主に私大文系を目指す「レギュラー講習」と、難関国公立を目指す「トップレベル講習」の2種類が行われている。いずれも放課後や長期休暇を利用して開講される。

 西村準吉教頭によると、「レギュラー講習」は、1年間のニュージーランド留学を終えて帰国した「特進留学コース」の生徒をフォローすることを主な目的として2005年に設けられた。指導に当たるのは、受験指導に熟達した予備校講師、外部から派遣され、大学受験のプロとして受験指導を担当する「フェロー」、卒業生が務めるチューターだ。彼らが連携し、生徒たちを手厚くサポートする。

 受講希望者は高2の3学期から参加できる。受験科目の講義に加え、志望大学別の指導や論文指導、演習指導などが行われる。費用は一般的な予備校の3分の1程度としてあり、「特進留学コース」「特進文理コース」の生徒の多くが受講している。早慶上智・ICUなど難関私立大学への合格者も近年増え続けている。

 「トップレベル講習」は、名前の通り難関国公立大学を志望する高1以上の成績上位者を対象として2013年にスタートした。対象となる生徒が少ない点がネックだったため、男子校の佼成学園高等学校と合同で実施し、効果的な学びを可能にしている。講習場所は主に佼成女子の校舎だ。

 初年度の女子の受講生は5人程度だったが、現在は15~20人の女子が受講している。昨年度は女子18人が旧帝大を含む国公立大学に合格した。西村教頭は「女子校である本校には理系志望の生徒は少ないので、男子校の同じ理系仲間が一緒になって学ぶことが良い刺激になるのでしょう」と話す。

 「講習室」が効果を上げているのは、外部の優秀な講師の指導力の存在が大きいが、西村教頭はそれ以外に二つのポイントを挙げる。一つは高い目標設定だ。「本校の生徒の場合、能力以前に目標設定からサポートする必要があるんです」と西村教頭は明かす。能力があっても、高い目標を持たなければ一定以上の成長は望めないが、同校には第1志望を果たせず入学してくる生徒が多く、自ら限界を決めてしまいがちなのだという。

 高い目標を設定した後も、根気よく鼓舞し続ける一方で、プレッシャーに負けない精神力を養うために厳しい指導も欠かせない。そのために同校では各学期に2、3回面談を行って一人一人の状況を確認し、必要な情報は担任教諭、フェロー、チューターで共有しているという。「生徒たちは言語化することで自分の考えを整理し、話をする中で自分を発見していくんです。大学進学のミスマッチを防ぐためにも、面談は重要です」

 もう一つのポイントは、励まし合う仲間の存在だ。西村教頭は、孤独に押し潰されて受験に失敗する生徒を何人も見てきたという。「受験において孤独は大敵。自己評価の低い生徒はなおさらです。真面目で優秀な生徒ほど、自分を追い詰めてしまう。切磋琢磨(せっさたくま)する仲間の存在を身近に感じられる環境が必要です」

 「トップレベル講習」では、「早く着きたければ1人で行きなさい。遠くへ行きたければみんなで行きなさい」というアフリカのことわざをモットーにしているという。受験でも仲間と一緒なら、1人ではたどり着けない高い目標にたどり着けるはずだという考えだ。

生徒一人一人と向き合って不安を取り除く

「ネガティブな言葉は使わず、モチベーションを継続させるよう努めています」と話すフェローの三澤さん
「ネガティブな言葉は使わず、モチベーションを継続させるよう努めています」と話すフェローの三澤さん

 「講習室」に設立時から関わっているフェローの三澤裕司さんは、生徒への接し方について「大事なのは諦めさせないこと。ネガティブな言葉は使わず、肯定し、モチベーションを継続させるよう努めています」と話す。

 現在、フェローは4人おり、「講習室」の管理・運営と進路指導にあたっている。毎年、高2の3学期に生徒と顔合わせを行い、チューターと生徒をつなぐ。生徒のほとんどは、「どうせ私の名前なんて覚えていないでしょう」「できる子のことしか気にかけないよね」などと口にするという。「だから、できる限り早く全員のフルネームを覚えて、名前で呼びます。それぞれの志望校も覚えて、ちゃんと一人一人と話をします。すると、生徒たちは安心して余計なことを考えなくなり、勉強に集中するようになるんです」。結果として成績も上がるそうだ。

 「講習室」の核となるのは、20人以上いるチューターだ。講義内容を踏まえた演習、受講生のメンタルケアなどを担っている。三澤さんは「彼女たちの果たす役割は大きい。基本的な指導方針や学習内容は相談して決めますが、使用教材など細部はチューターに任せています」と信頼を寄せる。多くが一般入試を経験した早慶上智やGMARCH合格者なので、学習面でのつまずきに気付きやすいし、不安や焦りも理解でき、自身の経験からアドバイスもできる。同校の卒業生であるという点も、生徒に親近感と安心感を与えているという。

モチベーションを上げることで成績アップ

講習室で古文と英語の演習を担当しているチューターの坂巻さん
講習室で古文と英語の演習を担当しているチューターの坂巻さん

 今春から早稲田大学教育学部に通っている坂巻加奈子さんは「講習室」の利用で大きく成績を上げた1人だ。去年まで「レギュラー講習」を受けていた。高3の5月に受けたセンター試験の模試では、国語130点(200点満点)、日本史45点(100点満点)だったが、翌年1月には国語160点、日本史88点まで成績がアップ。偏差値に換算すると15ほど上がった。

 受験直前に愛犬を亡くしたときは、ショックで講習室でも泣いてばかりいたというが、「三澤さんに話を聞いてもらい、フェローの皆さんに優しい言葉をかけてもらって、おかげで受験日までに立ち直ることができました」。お世話になった「講習室」の人々への感謝の気持ちから、現在はチューターとして古文と英語の演習を担当している。「本番の入試が近づいてくると不安からマイナス思考になる生徒が多いので、あまりうるさいことは言わず、つらい時は共感してあげるようにしています」

坂巻さんの指導にもあたっていたチューターの津村さん
坂巻さんの指導にもあたっていたチューターの津村さん

 早稲田大学文化構想学部4年生の津村美里さんは、国語と日本史の演習を担当するチューター兼フェローで、坂巻さんの指導にもあたっていた。「自分に自信がなかったせいか、坂巻さんは学習意欲が低かったので、最初はモチベーションを上げることに力を入れました。ただ、宿題はきちんとやってきたので、きっと伸びると思いました」と明かす。

 言われたことに真面目に取り組む姿勢を見て、津村さんは坂巻さんに繰り返し演習問題を解かせた。やがてこの地道な方法が実を結んで成績が伸び、自信が芽生えてきたという。

 モチベーションの低い生徒には、大学での学びについて話して聞かせることも多いという。福祉学を専門とする津村さんが日本型雇用についてなどの講義内容を話すと、勉強に興味を持ってやる気を出す生徒がいるそうだ。「私たちの役割は、生徒一人一人の習熟度や精神状態に合わせて対応すること。小さな変化やサインを見逃さないよう気を付けています」

 「講習室」の手厚い指導体制は、勉強だけでなく心の面でも生徒を支える。西村教頭は「女子の東大合格者もいずれ近いうちに出ると思う」とさらなる実績向上に期待している。

 (文:佐々木志野 写真:中学受験サポート)

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947348 0 佼成学園女子中学高等学校 2019/12/13 05:22:00 2019/12/13 09:54:01 https://www.yomiuri.co.jp/media/2019/12/20191212-OYT8I50009-T.jpg?type=thumbnail

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