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【特集】主体的に課題の発見・解決に取り組む「少人数ゼミナール」…佼成女子

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 佼成学園女子中学高等学校(東京都世田谷区)は2020年度、特進コースの高2生を対象に「少人数ゼミナール」を発足させた。生徒は、教師たちが自分の関心領域から用意した課題研究ゼミから選んで受講し、自分で決めた課題を1年間探究、論文化して発表する。初年度のゼミを経験して主体的、積極的な姿勢への変化が表れてきた受講生もいるという。哲学のゼミを取材し、担当する西村準吉教頭に話を聞いた。

「少人数ゼミナール」で社会の変化に対応する力を

「少人数ゼミナール」について説明する西村教頭
「少人数ゼミナール」について説明する西村教頭

 同校は2020年度、これからの新しい時代に対応し、従来の画一的な学びから、生徒一人一人に合った個別の学びへと教育を進化させるための学校改革に着手した。中間試験の廃止や中学のチーム担任制の導入、高大連携などの諸改革を行う中で、人間力の育成を目指し、探究学習とPBL(課題解決型学習)の本格化を目指してスタートしたのが、特進コースの高2生を対象とする「少人数ゼミナール」だ。

 国語科を担当する西村教頭によると、同校はこれまでも国際コースを中心に探究学習とPBLに取り組んできた。さらに「少人数ゼミナール」を特進コースに導入し、その取り組みを強める理由として「社会の変化に伴い、学びを変えるためです」と話す。

 「これまでは知識を得ることに時間と手間を要しましたが、現代はインターネットなどを使えば、多様な知識を素早く取り出せます。今後はその知識を基に考えを深め、自ら発信していく力が必要となります。国際コースで進めてきた取り組みを全校に広げ、今後の社会に必要な力を伸ばしていきたいと考えています」

 「少人数ゼミナール」は、週1回「総合的な学習の時間」に行われる。生徒は教員たちが用意した課題研究ゼミの中から、一つを選んで受講する。個々の生徒が発言しやすいように各ゼミの定員は10人以下に絞られている。ゼミはあくまで調査研究の枠組みであり、生徒はそれぞれ自ら課題を設定して調査研究や論文作成を進めるという。4~6月にテーマを確定し、夏休みに研究活動を本格化。2学期に入って中間評価用ポスターの制作に取りかかり、10月の文化祭で中間発表を行う。その後、論文を作成し、2月の「プレゼンテーションデー」で、各ゼミの代表が全校生の前で発表する。ただ、1回目の昨年度は、コロナ禍の影響でZoomを使ってのモニター越しの発表となった。

 ゼミ形式をとった狙いについて、西村教頭は「生徒自らが主体性を持って興味のある分野を選び、研究テーマを見つけ、学ぶことが大切だからです」と言う。「これからの社会は、深く考えることが求められます。ネットなどに転がっている情報をつなぎ合わせて、それらしく仕上げる研究ではなく、対話によって思考を深めつつ調査研究を進め、発表につなげたいと考えました」

 昨年度、西村教頭が開講した「日本語を考える、日本語で考える」というゼミでも、「シャンプー広告とオノマトペ」「日本語における主語の省略について」「LINEの絵文字の役割」などの研究テーマが並び、生徒の多彩な興味がうかがえたという。

哲学対話を通して生徒の考えを引き出す

「看護医療系の問題を考える」というゼミでは、「東京オリンピックでの感染予防対策」について話し合う
「看護医療系の問題を考える」というゼミでは、「東京オリンピックでの感染予防対策」について話し合う

 少人数ゼミは昨年度8講座、今年度は10講座が用意された。ゼミのテーマは教員が、担当教科にとらわれず、自分の関心領域の中から用意する。数学科担当の二木宏明教諭が開いた「看護医療系の問題を考える」というゼミでは、「東京オリンピックでの感染予防対策」について議論。また、社会科担当の山根すみれ教諭のゼミは「これからの『ガッコウを考える』」というタイトルで、生徒たちは校則について話し合っているそうだ。

 西村教頭は今年度、「『哲学』を考える」というゼミを開講した。「幸せとは何か?」「心はどこにあるんだろう?」など、毎回一つのテーマについて生徒が対話し、思考を深めていく。

 哲学のゼミを開いた理由について、西村教頭は、「貧困など社会問題の解決策を考えることも大切ですが、そもそも『貧困は不幸せなのか』『幸せとは、いったい何なのか』といった価値観を知るために哲学を学んでほしかったからです」と話す。

 取材に訪れた6月2日は、「友達って何だろう」をテーマに対話が行われた。ゼミの参加者は6人。西村教頭が「誰が最初に話しますか」と水を向けると、一人の生徒が手を挙げて発言した。「幼稚園の頃は友達を意識したことはなかったけれど、小学校に入ってから友達がいないと寂しいと感じるようになり、友達がどういうものかは分からないけれど、必要なものだと思います」

 この発言が終わると、他の生徒も次々と率直に自分の意見を語り出した。「小学校の入学式で、前の席の子に『友達になろう』と言って友達になりました。でも、その子以外とは『友達になろう』と言って友達になったわけではなく、一緒に遊んだり話したりしていく中で自然と友達になりました」

 「友達の中にも頼まれたことを断れる人と断りづらい人がいますが、断れる人のほうが仲のよいこともあります」

「『哲学』を考える」のゼミで「友達ってなんだろう?」をテーマに考える生徒たち
「『哲学』を考える」のゼミで「友達ってなんだろう?」をテーマに考える生徒たち

 西村教頭は生徒たちの意見を受け止めつつ、「友達になろうと言った友達と、自然とできた友達は違うの?」「友達に年齢は関係ない?」と話を広げていく。ただ、対話を深める方向に問いを投げるだけで、結論へ導こうとはしない。こうしたゼミの進め方について、「従来の授業のように生徒に教え込むのではなく、生徒から考えを引き出す工夫をしています」と西村教頭は話す。

 生徒に哲学のゼミについての感想を聞くと、「哲学では、日常生活のいろいろな『なぜだろう』について話し合うことができ、共感できる部分や意見が違う部分があって楽しいです」「数学などの教科には答えがありますが、哲学には答えがなく、いくら考えても終わりがないところに魅力を感じました」「道徳の時間に『友達とは、こういうもの』などと決められるのが嫌でしたが、哲学にはいろいろな人の思想があるし、ゼミでは『哲学を学ぶ』というより、自分が『哲学する』ところが面白いと感じました」などの声が返ってきた。

 また、今回の「友達」をテーマにした対話について、「私の中では『友達』というより、『話せる人と話せない人』といったくくりがありますが、『友達はうわべだけの関係とそうじゃない関係がある』など、いろいろな意見があってすごく面白かった」という声もあった。

ゼミを経験して主体的、積極的に変わる生徒たち

ゼミの活動で、iPadを使って調べ物をする生徒たち
ゼミの活動で、iPadを使って調べ物をする生徒たち

 「少人数ゼミナール」は2年目を迎えたばかりだが、生徒たちの学習姿勢にはすでに変化が見え始めている。西村教頭が担当する国語の授業では、発表やディベートが活発になってきたそうだ。また、昨年度の少人数ゼミで論文や発表の評価が高かった生徒が、今年度から、難関国公立大を目指す高1以上の成績上位者を対象とする「トップレベル講習」の受講生になった。

 こうした生徒たちの主体的、積極的な姿勢を踏まえ、西村教頭は「今後は高大連携や校外でのフィールドワークを充実させる考えです。通常授業でもディベートや発表の時間を多く設けていますが、よりいっそう通常授業を『ゼミ化』していきたい。そうすることで生徒が話し合いや発表に慣れる時間を増やし、少人数ゼミ自体もさらにレベルアップさせていきたいですね」と抱負を語った。

 (文:籔智子 写真:中学受験サポート)

 佼成学園女子中学高等学校について、さらに詳しく知りたい方は こちら

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2307142 0 佼成学園女子中学高等学校 2021/08/27 05:01:00 2021/08/27 05:01:00 https://www.yomiuri.co.jp/media/2021/08/20210823-OYT8I50027-T.jpg?type=thumbnail

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