国際学級レベルの英語教育をすべての生徒に…実践女子

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 実践女子学園中学校高等学校(東京都渋谷区)は、2018年度から英語4技能の向上とグローバル教育を視野に入れたプログラムとレベル別のクラス編成を導入した。新しい英語教育の導入から2年目にして、早くも生徒たちに高いレベルを目指そうという意欲の高まりが見られるという。この新しい英語授業の一端を、8月31日に行われた模擬授業の様子から紹介する。

3段階のレベル別授業できめ細かい指導

海外で広く採用されている英語の教科書を使っている
海外で広く採用されている英語の教科書を使っている

 実践女子学園中学校高等学校には2017年度まで、主に帰国生や英語上級者が学ぶ国際学級「グローバルスタディーズクラス(GSC)」があったが、学校全体として「グローバル教育」を推進する目的で、翌年度からGSCの募集を停止し、全クラスでGSCとほぼ同等の英語プログラムを実施し始めた。

 この新しい英語教育では、レベル別の少人数教育が行われている。内訳は、帰国生や英語力が高い生徒向けで、入学時に実用英語技能検定準2級以上の「上級クラス」、英検3級程度の「中級クラス」、英語の初級者の「一般クラス」となっている。

 新しい英語教育の1期生である中学2年生は、現在280人。そのうち上級クラスで10人弱、中級クラスで2クラス計42人が学んでいる。さらに一般クラスは20人前後の少人数制としてきめ細かな指導を行っている。

 授業では、GSCでの英語指導の経験から、アメリカの学習指導要領に準拠した小学校5、6年生用の英語テキストや、約150か国5000万人の生徒が利用しているホートン・ミフリン・ハーコート社の英語学習教材などを採用している。

英語科の米倉晋一教諭(左)と国語科の城礼子教諭
英語科の米倉晋一教諭(左)と国語科の城礼子教諭

 GSCでの指導経験を持つ英語科の米倉晋一教諭は、その理由を「生徒がなじみやすい教材で学んでほしいからです」と説明する。例えば上級クラスの生徒であっても、日本の大学生向けの英語教材を使ってしまうと、学習のテーマが学問や仕事、就職など中学生にとっては難しい内容が多く、学習への意欲がそがれてしまう恐れがあるからだ。「海外の同じ年代が使っている教材であれば、日本の生徒も読みやすいのではないかと考えています」

 ネイティブの教員によるスピーキングの授業は、中1では週6時間のうち2時間、中2では週7時間のうち2時間(上級クラスはそれぞれ4時間、5時間)、中3では週7時間のうち1時間だが、日本人の教員による授業でも英会話が積極的に取り入れられ、スピーキングの機会は飛躍的に増えたという。

 米倉教諭は「生徒とネイティブの教員が会話する姿が、以前に比べて校舎内で多く見られるようになりました。また、昨年、一般クラスで学んでいた25人の生徒が、今年から中級へとレベルアップしました」と話す。新しい英語教育が始まってまだ2年目だが、生徒の学習意欲が高まり、教育の効果が表れてきているようだ。

 米倉教諭によると、今後は生徒のレベルの変動に応じて、英語のクラス編成も柔軟に変更していく方針だ。「例えば中級と上級レベルの生徒が増えれば、クラス数やネイティブの教員も増やしたいと考えています」

 6月から、中3生を対象として、週1回、英語の時間に35分間、オンライン英会話の受講も行っている。フィリピンの英語講師を相手に、日常会話やレシテーション(音読)、英検のスピーキング対策などを行う。生徒はそれぞれの目的に合わせ、自分のペースで学習できるため、おおむね好評だという。

 米倉教諭は「今後は、放課後にも希望者が受講できるようにしたいと考えています。特に中3生はオーストラリア・ゴールドコーストでの海外研修があるので、その事前準備にも生かせます」とオンライン英会話の活用に期待を寄せていた。

学校説明会で児童らが英語の模擬授業を体験

ロバート・キンブル教諭(奥)の指導で英語の模擬授業に臨む児童
ロバート・キンブル教諭(奥)の指導で英語の模擬授業に臨む児童

 学校説明会が行われた8月31日、英語の模擬授業が行われ、10人の子供たちが、同校の推進する新しい英語の授業を体験した。

この日の模擬授業は「中級クラス」に相当するレベルで、テーマは「Chocolate」。ネイティブのロバート・キンブル教諭の指導で約40分間、チョコレートの歴史を短いテキストやパネルを使って学んだ。授業の進行はすべて英語で行われた。

 参加した児童たちは、まず4、5人のグループでテーブル席に着いた。キンブル教諭の指示で1対1の自己紹介が始まり、名前や好きな食べ物を話し合う。始めは緊張した面持ちだったが、慣れてくると他のグループを回る児童の姿も見られた。

 続いてチョコレートの歴史を扱った英語のテキストをクラス全員で音読し、その内容についてキンブル教諭が英語で質問を投げかけ、子供たちに答えさせる。授業の最後は、タブレット端末を使って、学習したチョコレートの歴史に関する早押し4択クイズが行われ、児童たちは隣の子供と答えを比べつつ、夢中で挑戦していた。

 参加した児童に感想を聞くと、「少し緊張しました」としながらも、「英語を使って海外の人と一緒にいろいろな体験をしてみたいです」と意欲をのぞかせた。また、ある保護者も「この授業のように、英語で外国の文化や歴史を学ぶことができれば、話す力だけではなく視野も広がると思います」と好印象を語っていた。

渋谷から世界へとグローバル教育を広げる

総合学習プロジェクトで、外国人と渋谷区の課題について行われた研究発表
総合学習プロジェクトで、外国人と渋谷区の課題について行われた研究発表

 同校では、グローバル企業や国連機関などが集まる東京・渋谷という立地環境を生かし、英語力の強化や異文化理解につながるグローバル教育も活発だ。

中3の総合学習プロジェクトでは、渋谷区の協力を得て、同区を訪れる外国人交流に関する提案を実施したり、外国人留学生に英語でインタビューして、日本の印象や文化の違いについて聞いたことをまとめて発表する授業を行ったりしている。

 国語科の城礼子教諭は、「海外の人々とのコミュニケーションには、まず何を感じ取るかが大切だと思います。そして『世界にはこんな文化があるんだ』という発見を楽しめる人になってほしいです」と期待を込めた。

 同校の母体である実践女子学園は、今年創立120年を迎えた。創立者の下田歌子は、明治期に、世界に目を向け、社会的に自立した女性の教育に力を尽くした。新しい英語教育を推進している同校も、創立者と同じ理念でグローバル時代にチャレンジしているように思えた。

 (文・写真:三井綾子)

 実践女子学園中学校高等学校について、さらに詳しく知りたい方はこちら

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922189 0 実践女子学園中学校高等学校 2019/11/29 05:22:00 2019/11/29 05:22:00 https://www.yomiuri.co.jp/media/2019/11/20191128-OYT8I50014-T.jpg?type=thumbnail

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