「サイエンスGE」7年目、科学的思考力にさらなる磨き…明法

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 明法中学校・高等学校(東京都東村山市)の「サイエンスGE」が設立から7年目を迎えた。このプログラムでは、本物の科学的思考力・問題解決能力を身に付けることを目指しており、生徒たちは外部の大会などに積極的に参加しながら、試行錯誤して自ら学ぶ力を身に付けていく。このプログラムの特徴である「GE講座」の授業を取材し、先生たちの指導ぶりや生徒たちの表情を紹介する。

設立7年目、年々ブラッシュアップしてきた授業

サイエンスGEについて説明する宗藤先生
サイエンスGEについて説明する宗藤先生

 「サイエンスGEが設立されて7年目ですが、その歩みは継続・増進だと思っています」と、21世紀型教育推進部・GEコース担当の宗藤慎一(むねとうしんいち)先生は話す。

 「サイエンスGE(Global Endeavors)」プログラムは2014年、GEとして「世界に通用する人材を育成したい、将来の日本に真に役立つ人材を育成したい」という思いから中学に導入されたプログラム。科学的思考をベースとして、多様な価値観を持つ人々と協働できる人材の育成を目指している。文系理系の枠を超え、本物の科学的思考、本物の問題解決能力を身に付けることを目指し、生徒たちに大いに試行錯誤をさせ、興味をかき立てる刺激を与えている。

 このプログラムの最大の特徴は、通常授業の他に科目横断的授業「GE講座」が設けられていることだ。GE講座には「ロボット」「プレゼンテーション」「数値解析」「統計処理・プログラミング」「画像解析」「ブラインドコミュニケーション」などがある。

 宗藤先生が語るように、これらのカリキュラムは担当の先生たちが一丸となり、より質の高い学びを目指して年々ブラッシュアップしてきた。

「PBLのGE講座で自ら学ぶ力を育てる」と話す坂本先生
「PBLのGE講座で自ら学ぶ力を育てる」と話す坂本先生

 例えば、数学科でGEも担当の坂本陽一郎先生によると、ペットボトルロケットの授業は、かつては中学1年次で行っていたものを、今は中学3年次に変更しているという。「自分たちでペットボトルロケットを作り、その飛行を動画で撮ると、その軌道が放物線を描く様子が分かります。しかし、1年次では放物線を理解することが難しく、3年次に行った方が適切と判断しました。3年次への変更により、放物線の理解や、水の量、羽根の数、発射角度、加圧などさまざまな条件の違いが軌道にどう関係するかなどの、より深い学習が可能になります」

PBLのGE講座で自ら学ぶ力を育てる

 GE講座はPBL(課題解決型学習)で行われる。生徒は全てを先生に教えてもらうのではなく、与えられた課題に取り組み、解決策を見いだす中で、自ら学ぶ力を育てる学習法だ。力が付けば、生徒たち自身が新しい問題を発見し、自発的に取り組むようになる。

 「昨年、3Dプリンターを導入し、1学期に基本的な使い方を教えました。夏休み前に中学3年の生徒が、『これを使って工作してみてもいいですか』と言うので許可したところ、夏休み明けに、サッカーロボットの部品を作ってきて驚きました。タイヤも全方向に動くように設計されています。1年生の時は確かにこちらが教えているのですが、3年生になると追い越されたかなと思う時があります」と坂本先生は頼もしげだ。

GE講座の授業の進め方を説明する副島先生
GE講座の授業の進め方を説明する副島先生

 今年度はコロナ禍により、6月1日から登校が始まった。中学1年生の教室では、まだ登校し始めて1か月の生徒たちが、めいめいロボットカーのプログラミングに取り組んでいた。「GE講座では、授業の始めにその日の課題を説明し、あとはほとんど生徒たちが自分で考えていきます」と、担当の副島大陸(そえじまひろたか)先生は話す。

 自分のパソコンに向かう生徒たちはリラックスした様子で、プログラミングに集中しながらも、小さな鼻歌が出る生徒もいるほど。

ロボットカーのプログラミングに取り組む生徒たち
ロボットカーのプログラミングに取り組む生徒たち

 冨宿拓馬(ふしゅくたくま)君は小6のとき、同校で開催された学習体験会に参加した。「小学生時代にプログラミングは何もやっていませんでしたが、楽しかったので、もっと勉強してみたいとサイエンスGEを選びました」と話す。ロボットカーのキットが自宅に届いたのは、休校中の5月だった。なかなか思うように動かせなかったこともあり、学校が始まって、皆と一緒に取り組めることがうれしいと言う。「GE講座を体験して、ほかの教科の勉強をする時も、試行錯誤することや自分で考えようとする気持ちが生まれました」

 中学3年生の教室では、秋に開催される「情報オリンピック」に向けたプログラミングの授業が行われていた。この日の課題はバグ(誤り)を含むプログラムコードの修正で、先生と生徒たちが対話をしているかのようなリラックスした雰囲気で授業は進んでいた。先に課題をクリアした生徒は、往生している生徒にアドバイスしている。この光景は中学1年生の教室でも見られた。

外部の大会出場で腕試し、プレゼン力も鍛える

授業では生徒同士がアドバイスをし合う
授業では生徒同士がアドバイスをし合う

 サイエンスGEの生徒は中学1年から、「情報オリンピック」や「ディベート甲子園」など、校外の大会に積極的に出場する。中学1年からさまざまな大会に参加することでモチベーションを高め、持続させることができ、外部の客観的評価を得ることで、時に悔しい思いをしながら成長していけるからだ。

 昨年度の「スペースロボットコンテスト」全国大会では、現中3生の河野雄大(こうのゆうた)君が、CLASSIC部門で180人中3位、同じく大矢裕万(おおやひろかず)君が4位という輝かしい成績を収めた。

 競技は、月面に見立てたコース上を、自律走行するロボットで発泡スチロール製のブロックを指定の場所まで移動させるもの。ポスターや動画での発表も課題に含まれており、ロボットの構造やプログラミングについてプレゼンテーションしなければならない。このために生徒はパワーポイントを使いこなす必要があり、試行錯誤して見やすさや色彩、配置を考え、説明資料を作り上げる中でプレゼンテーション力を伸ばしていく。

 河野君は、「その前の年に、先輩が2回戦まで行ったので背中を追いかける気持ちでした」とし、大矢君も「まさか2人とも決勝トーナメントに行けるとは思ってもいませんでした」と話す。2人は大会を経験して、「明法でやってきたことの価値を改めて実感しました。特にプレゼンテーション力はGE講座で磨かれました」と口をそろえる。また、「協力の大切さを学んだ」という。

 取材で話を聞いた先生たちは、「本校の生徒は穏やかで優しい子が多いですね」と言う。「上級生から下級生にアドバイスしたり、同級生同士で学び合ったりする姿は当校の生徒らしいなと思っています」

 サイエンスGEは中学の3年間で終わるが、宗藤先生は「今後は高校でもこの教育の成果が継続できるようにしていくことが課題だと考えています」と話す。中学3年生は今年から物理オリンピックの過去問にも取り組むそうだ。学びのブラッシュアップはこれからも続くに違いない。

 (文:池野みのり 写真:中学受験サポート 一部写真提供:明法中学校・高等学校)

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1544174 0 明法中学・高等学校 2020/10/15 05:01:00 2020/10/15 05:01:00 https://www.yomiuri.co.jp/media/2020/10/20201013-OYT8I50052-T.jpg?type=thumbnail

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