【特集】新タイプ「ナゾ解き入試」で本当に考える力を持った生徒を…藤村女子

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 藤村女子中学・高等学校(東京都武蔵野市)は、2021年の中学入試で新たに「ナゾ解き入試」を導入する。リアル脱出ゲームなどのイベントを運営するSCRAP社と協力して開発した新タイプの試験で、「謎検型」や「脱出ゲーム型」の試験に挑戦する受験生の様子からさまざまな資質を評価するという。8月17日に同校を訪れ、教師らとSCRAP社の担当者に話を聞いた。

自分で考える力を持ち、入学後に伸びる生徒を探す

「ナゾ解き入試」導入の狙いを語る廣瀬教頭
「ナゾ解き入試」導入の狙いを語る廣瀬教頭

 藤村女子は来年2月1日の午前入試で、一般入試、自己表現入試のほかに、特進コース希望者向けとして新たに「ナゾ解き入試」の実施を予定している。廣瀬真奈美教頭によると、同校は以前から一般入試のほか適性検査入試などを行ってきたが、より多様な資質を持つ生徒を見いだすための、新タイプ入試の必要性を感じていたという。

 「中学と高校を比べると、中学から入った生徒は、入学後に個性を発揮して力を伸ばす例が多いです。入学時点の知識だけで測るのではなく、思考力や発想力、人と協力する力などを見て、入学後の力の伸びに期待することができればと思っていました」

 これまで行われてきた適性検査入試も、長文を読んで自分の意見を書く、資料を読み解いて考えられることやその理由を書くといった、受験生の思考力・発想力を問う問題となっているが、東京都立の中高一貫校などで広く用いられている試験形式であることから、「回答が画一的になってきている」と感じていたという。「塾でしっかり対策が行われているのでしょう。本校の教育理念の一つに『自ら学び考える力の育成』とあるように、本当に自分で考える力を持った生徒を見つける方法がほしいと思っていました」

「ナゾ解き入試」を提案した芦澤先生
「ナゾ解き入試」を提案した芦澤先生

 きっかけとなったのは、入試委員長の芦澤歩夢(あゆむ)先生が、SCRAP社のイベントをプライベートで訪れ、謎を解きながら閉ざされた空間を脱出する「リアル脱出ゲーム」や、ひらめき力・注意力などを測る「謎解き能力検定」(謎検)について知ったことだった。「これを入試に取り入れることができるのではないか」と感じ、廣瀬教頭らに提案を行った。

 「脱出ゲームでは、その場で初めて会った人たちと協力しながら、一緒にゴールを目指します。真剣に意見を出し合ううちに、一人一人の本当の姿が見えてくるように思いました。まさに、『生きる力』を育てる今の学校教育に必要な素養を見いだすのに適している、これを入試に使うことができるのではないかと考えました」と芦澤先生は話す。

体験し、楽しむために受ける試験も

協力に当たっている株式会社SCRAPの横手大地さん
協力に当たっている株式会社SCRAPの横手大地さん

 芦澤先生は入試問題作成をSCRAP社に打診し、同社新規事業部の横手大地さんは、「ぜひやらせてほしい」と即答したそうだ。「これまでに企業の社内研修や懇親会向けに脱出ゲームを提供したことがありましたが、教育分野ではこれが初めての試みになります。ゲームの基本的な枠組みを生かしつつ、子供たちが意欲を持って取り組めるものにしたいと思っています」

 現在予定している試験の内容は二つある。一つは国語・算数・社会・理科の内容に即した10問の謎を解く「謎検型」(15分)。もう一つはグループを作って謎解きをしながら課題を解決し、窮地からの脱出を目指す「脱出ゲーム型」(45分)だ。「謎検型」では考察力・発想力などを、「脱出ゲーム型」では、行動力、会話力、洞察力などを測るという。

 「脱出ゲームでは、リーダー格の人、チームプレーをする人など自然に役割分担が決まり、行動力・会話力・洞察力などを測ることができます」と、横手さんは説明する。ただし、芦澤先生は、必ずしもリーダー格の受験生や、より早く脱出したチームだけが合格するわけではないという。「自分の意見がきちんと言えているか、他の人と協力し合うことができているかどうかが評価のポイントになります」

 同校は、地元吉祥寺の街でのフィールドワークに力を入れ、生徒の行動力や協調性などを育てている。昨年度の中3はユニクロ吉祥寺店の協力を得て、同社から著作権やマーケティングについての講義を受けながらオリジナルデザインのTシャツを制作し、実際に店舗で販売した。また、市内の保育園を訪ね、保護者にインタビューをして子育ての意義などについて学内でプレゼンテーションを行ったこともある。

謎解きをしながら課題を解決し、窮地からの脱出を目指す「脱出ゲーム型」
謎解きをしながら課題を解決し、窮地からの脱出を目指す「脱出ゲーム型」

 「『ナゾ解き入試』によって、そういった活動に積極的に参加できる生徒が入ってきてほしいと思います」と、芦澤先生は期待をかける。SCRAP社は脱出ゲームなどを常時体験できる店舗「SCRAPナゾビル吉祥寺店」を昨年11月にオープンしており、「ナゾ解き入試」も地元吉祥寺の企業とともに取り組む活動の一つとなった。

 芦澤先生は、この「ナゾ解き入試」によって、「受験」のイメージを変えたいと考えている。「塾で対策を練ってペーパーテストに挑戦するというだけでなく、体験する、楽しむために受ける試験があってもいいのではないかと思います。私たちはそこから、受験生の持つ本来の可能性に気付くことができます」

 同校では昨年、中学生徒会が中心になって、「中高一緒ではなく、中学生だけの壮行会をやりたい」と提案して実現させたことがあった。廣瀬教頭は、「ナゾ解き入試」によって「そういう新しいことに挑戦できる生徒に来てほしい」と言う。「女子校ですから、さまざまな役割を女子の間で分担することになります。多様な個性を持つ生徒が集まってくれて、それぞれが自分の力を伸ばすことができる学校にしていきたいと考えています」

 (文・写真:足立恵子 一部写真提供:SCRAP社)

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1562991 0 藤村女子中学・高等学校 2020/10/23 06:01:00 2020/10/23 06:01:00 https://www.yomiuri.co.jp/media/2020/10/20201020-OYT8I50030-T.jpg?type=thumbnail

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