開成と渋渋・渋幕、両校長グローバル教育を語る…よみうりGENKIフェスタ

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 中学・高校進学相談会「よみうりGENKIフェスタ 2019」(読売新聞東京本社主催)が3月24日、東京都千代田区の東京国際フォーラムで開かれ、開成中学校・高等学校の柳沢幸雄校長と渋谷教育学園の田村哲夫理事長らが、「どう育むか、グローバル社会の担い手」のテーマで座談会を行いました。グローバル化の大きなうねりの中、新しい時代に求められる力や、海外大学への進学状況など、トップ進学校ならではの取り組みが紹介されました。

 <座談会出席者=柳沢幸雄氏:開成中学校・高等学校校長▽田村哲夫氏:学校法人渋谷教育学園理事長。同学園渋谷中学校・高等学校(渋渋)と同学園幕張中学校・高等学校(渋幕)の校長▽高宮敏郎氏:「SAPIX YOZEMI GROUP」共同代表>

トップクラスの進学実績に加え、国際的な注目も

開成の柳沢幸雄校長
開成の柳沢幸雄校長

 この座談会は、中学・高校進学相談会「よみうりGENKIフェスタ 2019」のセミナーとして行われました。進行役を務めたのは、進学塾SAPIXなどを運営する「SAPIX YOZEMI GROUP」共同代表の高宮敏郎さんです。

 高宮代表(以後、高宮) 時代の変化の中、長年守り続けてきた建学の精神を聞かせてください。

 柳沢校長(以後、柳沢) 幕末に欧米を視察した加賀藩出身の佐野(かなえ)が、1871年に前身の共立学校を開き、今年で創立148年になります。開成の校名の由来である「開物成務」は、生徒一人一人の才能を花開かせ、社会の中で役割を果たすという考えです。

座談会の進行役は「SAPIX YOZEMI GROUP」共同代表の高宮敏郎氏(左端)が務めた
座談会の進行役は「SAPIX YOZEMI GROUP」共同代表の高宮敏郎氏(左端)が務めた

 田村理事長(以後、田村) 敗戦後の日本の教育を立て直すことが、私たちの学園の出発点です。自ら調べ自ら考える生徒を育てる「自調自考」を教育目標に歩んできました。校長講話などを通して、この基本的考え方を身に付け、次の時代を生き抜いてほしいと思います。

 高宮 今年の東大合格者数ランキングで、開成は38年連続トップ。6位の渋幕は共学校でトップでした。しかし勉強だけではありません。開成は「俳句甲子園」で過去10回優勝、渋渋・渋幕は高校生の「模擬国連」の入賞常連校であるなどさまざまな分野で活躍しています。

 田村 昨年7月、17か国の高校生たちが水問題を考える世界高校生水会議「Water is Life 2018」が渋渋と渋幕を会場に開かれました。英語やフランス語などを公用語とする国際会議で、日本語の通訳もいない中、生徒たちはしっかりと進行役を果たしました。海外の高校生の非常に高いレベルにも刺激を受けたようです。

ニューヨーク・タイムズに掲載された開成の「棒倒し」の記事(会場のスクリーンから)
ニューヨーク・タイムズに掲載された開成の「棒倒し」の記事(会場のスクリーンから)

 高宮 開成の運動会の名物「棒倒し」が昨年8月、米紙ニューヨーク・タイムズの記事で紹介されました。

 柳沢 上半身裸で棒を倒し合うバンカラな伝統行事です。でも、中には運動の苦手な生徒もいます。開成の運動会は丸1年かけて準備するのですが、どの生徒も自分の役割を見つけ、みんなで力を合わせてまとめあげます。運動会は開成に欠かせない教育装置になっています。

 高宮 開成の卒業生でメディアアーティストの落合陽一さんが以前、運動会では得意のパソコンでTシャツのデザインなどを担当したと話していました。多様性に寛容な運動会ですね。

人生を開く海外進学、FB創業者との出会いも

 高宮 最近、開成も渋渋・渋幕も海外大学へ進学する生徒が目立ちます。米国ではハーバード大やエール大など著名なリサーチ・ユニバーシティー(大学院が充実し先端的研究が行われている総合大学)だけでなく、リベラルアーツ・カレッジ(幅広く教養科目を学べる比較的小規模な大学)も丁寧に選び、進学しています。海外大学の選び方のコツなどを教えてください。

 柳沢 私はハーバード大で教えた経験もあります。日本の大学が東大を頂点とする「富士山型」なら、米国は多様な大学が連なる「八ヶ岳型」と言えます。ビジネス分野に進むなら、アイビーリーグなど名の通った大学のほうが優れた人脈が作れるでしょう。しかし、大学院を目指すなら、教授との距離の近いリベラルアーツ・カレッジで学び、進学先を見つけるよう指導しています。

渋谷教育学園の田村哲夫理事長
渋谷教育学園の田村哲夫理事長

 田村 以前、ハーバード大に進学した渋渋の卒業生が、同大出身のフェイスブック(FB)創業者のザッカーバーグ氏と知り合い、ビジネスパートナーとして活躍しているようです。英国のオックスフォード大に進んだ別の卒業生は、もともと理系でしたが音楽を学び、劇団四季に入りました。新しい人生の道を開く海外大学進学という選択肢があることも知ってほしいと思います。

 高宮 夏に米国のボーディングスクール(寮制の私立高校)のサマースクールに参加する生徒も多いようです。私たちの塾グループでも毎年、ボーディングスクールを紹介するイベントを開催しています。

 柳沢 将来の海外大学進学に備え、ボーディングスクールのサマースクール体験は貴重です。しかし、開講時期がちょうど日本の高校の期末試験と重なります。このため開成では、教育レベルが非常に高いと認定したサマースクールであれば、欠席扱いせず参加できる制度を設けています。

 田村 知識がないと、海外大学進学はなかなか難しいでしょう。私たちはそのための窓口を設け、専門スタッフとして米国の大学で学んだネイティブの教員を採用しています。米国の大学に入るには、相当前から準備が必要です。その点で中高一貫校の生徒は有利といえるでしょう。

時代を超えて求められる力とは

 高宮 最後にグローバル社会に求められる力とは何でしょうか。

 柳沢 グローバル化を漢字で言い換えれば「広域化」でしょう。いわば自分の育った環境から離れ、新しい土地で生活を始めることです。実は日本では1964年の東京五輪のころ、集団就職で田舎から出てきた若者たちが経験しました。今の私たちがニューヨークに行くのと同じです。言葉も食生活も異なる中で人と理解し合うのに必要なのは、論理的に話し、相手の話を聞くコミュニケーション力です。それは大学入試改革でも求められている力です。

 田村 明治の初め、福沢諭吉は「世界国尽(くにづくし)」という本を書き、汽車による移動や通信の進歩で変わる、人間同士どうつき合うかという問題を指摘しました。そのテーマは、テクノロジーが発達した現在のグローバル社会にも通じます。人間とは、宇宙とは何かと興味深く考えるような若者を育てなければいけない。中学時代からリベラルアーツをしっかり学んでほしい。予測の難しい時代ですが、私たちもそれに備えた教育に取り組んでいきたいと思います。

 (文・写真:武中英夫)

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554692 0 トピックス 2019/04/26 05:21:00 2019/04/26 05:21:00 https://www.yomiuri.co.jp/media/2019/04/20190425-OYT8I50044-T.jpg?type=thumbnail

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