子供の学習意欲を育てるために…開成・柳沢校長の教育論

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子供の「尖った部分」を見つけて伸ばすのが親

「親が教えようとすると子供は混乱してしまうのです」と語る柳沢校長
「親が教えようとすると子供は混乱してしまうのです」と語る柳沢校長

 「何とかして良い成績をとらせたい」

 「親の力で子供の成績を上げてやりたい」

 そんなふうに考えて、本やインターネットで調べ、我が子に勉強を教え込もうとする人がいます。もし、心当たりがあるのなら、そんなバカなことは今すぐやめましょう。小学校3年生までなら、かろうじて親が勉強を教えることもできますが、それ以上は無理です。なぜなら、先生と子供では、「教える・習う」という関係性がありますが、親は違うからです。親が教えようとすると子供は混乱してしまうのです。

 しかし、親だからこそできることがあります。それは、子供をよく観察し、その子の好きなことや得意なこと、つまり「(とが)った部分」を見つけ、伸ばしてやることです。

 たとえば、我が子が電車好きだったとしましょう。そんな場合は、親は一緒に電車に乗ってやります。そして、駅に止まるたびに、「今は〇〇駅だね」と話しをします。路線図を持っていけばなお分かりやすいでしょう。そして、帰宅してからまた路線図を開いてみて、「今日はこの電車に乗ったね。この駅とこの駅に止まったよね」と話せば、自然と地図の概念ができます。また、路線図はたいがい漢字で書かれているので、漢字を覚えることができます。さらに、時刻表を与えれば、時間の概念を身に付けられるでしょう。

 ドリルブックを開いて、「さあ、漢字を覚えましょう」「時間の計算を覚えましょう」「地図の見方を覚えましょう」と教え込むのではなく、興味のあることの半歩先にエサをまいてやるのです。子供からすれば好きなことをやっているだけなのに、それがいつの間にか勉強になっているというわけです。

 エサまきのタイミングや種類は限りなくあります。たとえば、子供に大人気のポケモン。キャラクターの多くは、植物や動物、昆虫がモチーフです。なので、一緒に図鑑を見て「あのキャラクターはこの植物と似ているね、この花は熱帯にしか生えていないんだね」「○○は蜂の仲間だね。スズメバチは肉食なんだね」などのように話せば、興味の幅を広げてやることができます。

 図鑑の中には読めない漢字も出てくるでしょう。その時は、それを読むために辞書を与えて、辞書の使い方を教えればいいのです。興味のあることを知るためだから、辞書を楽しく使えるようになります。始めは親も一緒に辞書を引いてあげて、「ああ、こういうふうに出ているんだね」「こんなふうに調べると簡単だね」と、出だしのところをサポートしてやるのです。

 分からないことは辞書で引くという習慣が身に付けば、あらゆる学習に役立てることができます。

 

子供が先生、親が生徒になる

 学校から帰ってきた子供に、「今日習ってきたことを忘れないうちに、勉強しなさい!」と口うるさくいう親御さんがいます。前にも述べましたが、「勉強しなさい」と言われた子供は、たいていやる気をなくしてしまうので、逆効果です。

 習ってきたことをきっちり覚えさせたい、つまり知識を定着させたい場合には、子供が先生役になり、親が教えてもらう方法が効果的です。

 「メダカって、オスとメスで形が違うんだよ」

 「へぇ、形が違うんだ」

 「背びれと、しりびれが違うんだよ」

 「ふーん、どんなふうに違うの?」

 「しりびれが大きいのは……、えっと、どっちだっけな」

 始めのうちは、つっかえたり、脱線したり、順序が逆になったりします。しかし、親が根気よく話を聞いて、子供の言葉をオウム返しにし、「それって、こういう意味?」というように、ちょっとだけ言葉を足してやるのです。すると、子供は習っていたことを必死に思い出し、頭の中で整理しながら伝えます。そうした作業によって知識が定着するのです。これほど確実な復習方法はありません。

 また、親は勉強を教えてもらう以外にも、熱心に子供の話を聞いてあげましょう。子供が何かを伝えようとするとき、頭の中はフル回転しています。これほど有効な脳トレーニングはないからです。

 さらに、親が、六つの疑問詞・5W1H(いつ、どこで、だれが、なにを、なぜ、どんなふうに)がそろうように話を引き出すと、子供は論理的な表現を身に付けられるようになります。論理的表現ができるようになると、他人の話を聞いても、文章を読んでも、論理的に理解ができるようになります。「論理的に理解する」というのを別の言葉で言い換えると、「読解力が身に付く」ということになります。読解力が身に付けば、勉強することがより楽しくなり、おのずと学習意欲が育つのです。

いい点を取ったら、お金をあげるは絶対にダメ!

 いい成績を取れたらご褒美としてお金をあげるという親御さんが少なからずいます。 欲しいものがあるけれど、高くて買えないという子供からしたら、すぐに飛びつきそうな条件です。どうせ勉強はやらなくてはいけない、それならお金をもらえたほうが張り合いがあるというものです。さらに、親としても、お金をあげることで子供が頑張ってくれるのなら、こんな簡単な方法はないでしょう。

 しかし、これは絶対にやってはいけないお金の与え方です。たとえば、庭の草むしりをした、みんなの洗濯物を畳んで片付けた、窓ガラスを磨いたなどのように、労働に対して支払うお金はいいと思います。労働してもらうお金は一生懸命やることに対しての報酬だからです。

 また、労働の対価としてお金をもらうことで、「お金は働くことで得られるんだ。お父さんやお母さんが仕事をしてお金を稼いでくれるから、自分は食べていけるんだ」ということを子供が身をもって学べるからです。

 勉強をするのは本来自分のためなのに、インセンティブとしてのお金を与えれば、子供の自主性を失わせてしまいます。お金のために勉強をすると、目的意識をゆがませてしまうのです。

 お金の教育は子供にとって非常に重要です。どんなに学力が優れていても、秀でた才能を持っていても、お金の管理ができず浪費を重ねてしまったり、毎月、収入よりも支出のほうが上回ったりするようでは自立できません。

 お金は、与え方一つで、子供の自己管理能力を育てるチャンスにもなれば、価値観をゆがませてしまう原因になることを、親はしっかり自覚しなくてはいけません。(終わり)

無断転載禁止
934001 0 トピックス 2019/12/05 09:48:00 2019/12/05 09:48:00 https://www.yomiuri.co.jp/media/2019/12/20191203-OYT8I50052-T.jpg?type=thumbnail

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