新校長「躍進i教育でたくましく生きる女性を」…東京家政大附

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 東京家政大学附属女子中学校・高等学校(東京都板橋区)は、創立136年の伝統校でありながら、積極的に変化を続けている。「21世紀型未来学力」を育成する教育法「躍進i教育」を昨年度導入し、この4月には、より高い英語力を身につける「E CLASS」を中学に設置した。今年度に就任した篠原善廣・新校長に、同校の目指す教育、育てたい女性像について話を聞いた。

21世紀をたくましく生きる女性を育てる

「さまざまな分野で活躍する女性を育てたい」と語る篠原善廣校長
「さまざまな分野で活躍する女性を育てたい」と語る篠原善廣校長

 「21世紀は変化の激しい時代です。男性の賃金が減少し、女性が働くのが当たり前になり、次々と荒波がやってくる。そうした時代にうまく対応していくには、自分で道を切り開くたくましさが必要だと思います」と、今年4月に就任した篠原校長は熱く語る。

 東京家政大は、1881年(明治14年)に当時最先端の洋裁と和裁、両方の技術を教える学校として創立。女性が自立できる技能や資格を身に付ける学校として発展してきた。同校の先進的な教えを受けて、自ら女子校を設立した卒業生は16人にのぼり、全国に女子教育を普及させるとともに、女性の自立に貢献してきた。

 「家政大の卒業生の多くは、管理栄養士や保育士など社会の基盤となる分野でリーダーとなっています。また、大学教授や国立健康・栄養研究所の研究員、料理研究家など家政の分野のみならず、最近では薬剤師やNPO、政界や芸能界などさまざまな分野で、たくさんの先輩たちが活躍しています。21世紀をどう生きていくか、今の時代の女性は自分で自分の未来を創っていく力を持っていると思います。きっかけを持てば、女性がたくましく成長する例を、私はたくさん見てきました。女性が持つ優しさや繊細さは、男性が気づかないところをフォローする力になります。社会で活躍する、社会に貢献するという場面は、たくさんあります」

 埼玉県立熊谷女子高等学校や同県内の私立女子校など、女子校の校長を歴任してきた篠原校長だからこそ、女性の可能性の大きさを強く感じている。

チャレンジして失敗しながら成長していく

 篠原校長は、こうした思いを学年集会などで生徒たちに伝えている。

 「高3の学年集会では、『自分の限界を定めないでほしい。自分の壁を突破していけば、自信が持てるし、次の世界が見えてきて、また頑張れる』と話しました。高2の学年集会では、『失敗を恐れずに、チャレンジすることが大事だ』と話しました。何もしないで失敗する。これは一番悪い例です。かといって、努力していないのにうまくいく。これもよくありません。世の中を甘くみてしまい、将来、大変な失敗をしてしまうからです。一番大事なのは、努力したけれど失敗したという経験です。人生は、努力して失敗して、うまくいかないことの繰り返しです。失敗しながら、そこから学んで成長していくのが人生なのです」

 女性は繊細なだけに、失敗を恐れてしまうところもあるが、女性の持つ素直さと、こつこつと頑張れる側面を生かして、何事もチャレンジ、努力していれば、道が開けるというのだ。

「躍進i教育」でチャレンジできる生徒に

直営式で安心、安価なスクールランチ。温かくておいしいと評判だ
直営式で安心、安価なスクールランチ。温かくておいしいと評判だ

 こうした、「チャレンジできる生徒」を育てる教育プログラムが、同校の「躍進i教育」だ。これは、intercultural communication(異文化間コミュニケーション)と、information literacy(情報リテラシー)を習得することで、inclusive community(さまざまな人たちを包み込む社会)の創造に貢献できる女性を育成するプログラムだ。そこで得られる力を「21世紀型未来学力」と呼び、生徒同士で学びあう「協同学習」を進めてきた。

 「4年前から導入して、その成果も見えてきました。特に中学校では、話し合い、発表し、ともに考えるというアクティブ・ラーニングである『協同学習』をすべての教科に取り入れています。活発に話し合い、主体的に学ぶ生徒が育っています。最初に取り入れた学年は高校2年になりましたが、学校行事など授業以外の場面を見ても、その成果が分かります。高校入学後すぐにオリエンテーション合宿がありますが、附属中学校出身の生徒は、どんどん積極的に発言して、考えをしっかり述べるのです」(荒籾和成教頭)

 生徒に積極的・主体的に学ぶ力が育ちつつある。それは将来、人生のチャレンジで大きな力になるだろう。

「E CLASS」設置で英語4技能習得へ

「全国学校・園庭ビオトープコンクール」で受賞したビオトープ
「全国学校・園庭ビオトープコンクール」で受賞したビオトープ

 もう一つの大きな柱である英語教育を強化しようと設置したのが、「E CLASS」だ。

 「高校には昨年、中学には今年、設置したクラスです。中学2年から、より高いレベルの内容を扱い、生徒の興味を喚起する多様な教材を使用した密度の濃い授業になっています。アウトプットを重視し、『読む・聞く・話す・書く』の英語4技能を伸ばすための豊富なプログラムがそろっています。中学では、ネイティブの教師と交換日記をする『ジャーナル』で英語力をつけ、高校1年では週8時間の授業で英語力を完成させます」と荒籾教頭は話す。英語で他の科目を学ぶイマージョン教育、英語本の多読など、さまざまな取り組みで英語力を強化している。

 ネイティブの教師が常駐している「English Room」を使用でき、いつでも英語が話せる環境が整っている。「E CLASS」以外の生徒も、ここを利用することができる。ほかにも、イングリッシュキャンプや海外修学旅行、カナダホームステイなど、英語教育プログラムが充実している。

 これらは2020年の大学入試改革にも対応したものだ。同改革で、英語は4技能を測る民間試験が導入されるため、同校はネイティブの教師によるTEAP受験対策講座、ライティング講座を開いている。

中1全員にiPadを配布、充実した情報リテラシー教育

緑豊かで広大なキャンパス。中学・高校・短大・大学・大学院がここに集まる
緑豊かで広大なキャンパス。中学・高校・短大・大学・大学院がここに集まる

 「躍進i教育」は、情報リテラシーの強化にも力を入れている。「今年から中学1年生全員にiPadを配布しました。中学では全教室に電子黒板を導入し、Wi‐fiも設置しています。iPadで、課題を配信したり、毎日の課題を記録したりと、さまざまな使い方ができます。今後さらに情報リテラシー教育を充実させていきます」(荒籾教頭)

 また、キャリア教育・受験対策にも力を入れている。

 「1学年のうち、約100人の生徒が東京家政大学へ内部推薦で進学し、150~200人が他大学を受験します。全員が第1志望の大学に進学できるよう、サポートしたいと考えています」と篠原校長は話す。

 同校の「ヴァンサンカン・プラン」では、生徒各自が25歳時の理想の自分を思い描き、キャリア教育の専門家による講演や、企業のインターンシップ、ボランティアなどを通して、自分の将来、進路の目標を定めていく。大学進学は、あくまでも自分のやりたいことを実現するための手段なのだ。篠原校長が、次のように例を挙げる。

 「例えば、Aさんは東京家政大学に進学して、管理栄養士になりたいといいます。今、上海など中国の都市部では日本の製菓会社の菓子が爆発的に売れています。彼女はそこに興味を持ち、その会社に入り、管理栄養士の資格を生かして商品開発をしたいと目標を語ります。漠然と大学進学を希望するのではなく、このように明確な目標を持てるのが、ヴァンサンカン・プランの成果といえるでしょう。東京家政大学は管理栄養士の国家試験合格率が毎年98~100%と全国でもトップクラスです」

 目標達成を支援するため、勉強の環境づくりにも力を入れている。夏休みには、午前9時から午後5時まで勉強して集中力を鍛える、「マラソンラーニング」を実施する。また、午後8時まで勉強できる「自習室」も設置されている。国公立大、や早慶上理、GMARCH、医療系学部などに合格実績を出してきた。

 「長期休暇中の講習に加えて、今後は放課後講習も増やす。さらに受験対策を強化していく考えです」(篠原校長)

 時代とともに進化し続ける同校の教育に今後も期待したい。

(文と写真:小山美香 一部写真:東京家政大学附属女子中学校・高等学校提供)

212267 0 東京家政大学附属女子中学校・高等学校 2017/12/13 05:20:00 2017/12/13 05:20:00 https://www.yomiuri.co.jp/media/2019/01/20171212-OYT8I50033-T.jpg?type=thumbnail

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