受験生らに「生徒の目線」で学校紹介…東京家政大附

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 東京家政大学附属女子中学校・高等学校(東京都板橋区)では、学校説明会などの場で生徒たちが「アドミッションスタッフ」として、校内見学や入試相談のサポートをしている。生徒たちが「生徒の目線」で語る学校紹介や親身なアドバイスは、受験生や保護者に好評だ。生徒たち自身もコミュニケーション力がアップするなど自らの成長を実感しているようだ。

体験語る「アドミッションスタッフ」の誕生

アドミッションスタッフ誕生のきっかけを語る渡邉健教頭
アドミッションスタッフ誕生のきっかけを語る渡邉健教頭

 同校では5年前ほど前から、受験生向けの学校説明会の手伝いに、生徒がボランティアで参加するようになった。今では、「アドミッションスタッフ」として積極的に自分たちの声と体験を受験生らに伝えているが、当初は、受付でパンフレットを渡して会場に案内したり、お茶を出したりする程度だったという。

 それが変わったのは、説明会の後、渡邉健教頭が手伝ってくれた生徒たちに、たまたま受験勉強の思い出を聞いたことからだという。「勉強のやり方はみんな違い、『こうやると覚えられる』という提案などがどんどん出てきたんです」。親の励ましでうれしかったこと、逆に余計な口出しで嫌だったことも生徒たちは打ち明けた。その多様な体験に驚かされた渡邉教頭は、「これは伝えてやるべきだ」と、受験生や保護者たちに生徒が自らの体験を直接語る場を設けようと決めた。これが「アドミッションスタッフ」誕生のきっかけだった。

 現在、アドミッションスタッフは中学生30人、高校生33人の計63人。

 大半が部活動や生徒会などのメンバーを兼ね、時間を見つけて自主的に活動に参加している。受験生向けの学校説明会、スクールランチ試食会、夏の体験教室のほか、秋の文化祭や私立中高受験合同イベントなど、すべて参加すると年間30回ほど活動の機会があるという。

 そうしたさまざまな機会に、スタッフたちは学校生活の様子を語り、校内の施設や授業を見学するツアーに同行する。また、受験の勉強法のアドバイスを伝え、入試の悩みや入学後の個別相談にも乗る。

プレゼンも「生徒目線」を大切に

アドミッションスタッフの生徒たちが作成した活動紹介などのパネル
アドミッションスタッフの生徒たちが作成した活動紹介などのパネル

 スタッフのリーダーを務める高校2年の石川桃子さんは、昨年秋、初めて学校説明会で話をした。渡邉教頭に「おい、一緒に前に行こう」と肩をたたかれ、数人のスタッフとともに、いきなり受験生や保護者300~400人が見つめる前に立った。「震えながらマイクを持っていました」

 実は登壇することは事前に聞かされていなかった。そのうえ、「受験生の小学6年のとき、この時期は何をしていましたか」と渡邉教頭から突然、質問があり、なんとか当時を思い出しながら必死になって答えたという。

 学校説明会などで話す際、スタッフの生徒たちに台本は用意されていない。前もって話すテーマが与えられると、差し障りのない答えになりがちだ。書いてきたメモを読むだけでは、気持ちも伝わらない。このため、「失敗はかまわないから、その場で『自分で思ったことを言いなさい』『体験したことをそのまま言いなさい』と話しています」と渡邉教頭。

 そうした指導を受けながら、生徒たちはプレゼンテーション力やコミュニケーション力を自然に身に付けていく。

 今はスタッフリーダーの石川さんも「人見知りの自分を変えたい」と中学3年で初めて参加した。当初は、「ミーティングでも誰にも声をかけられず、一人で浮いていました」と明かすが、「大勢の人の前に立ち、頭をフル回転させてしゃべっていたら、予想外の質問にもスラスラ言葉が出るようになりました」。説明会ではまだ少し緊張するというが、初対面の受験生らに話しかけることも、以前より難なく踏み出せるようになったそうだ。

 スタッフは校内見学ツアーにも同行する。その際に大切にしているのは、やはり生徒自身の目線だ。例えば、パソコンが並ぶ同校の「CALL教室」を案内したとき、石川さんは自分の学校生活を振り返って紹介した。

 高校1年のとき、職場体験報告のプレゼンテーション資料作成のため、この教室に通い詰めたこと。そして、所属する映画部で作品を鑑賞するときも、教室の大きなスクリーンに上映したこと……。

 「先生方が説明したら、『パソコンを使い、情報の授業で使っています』といった説明に終わってしまうかもしれません。でも、私はこの学校で5年間過ごしてきた体験をもとに、生徒の目線で語ることができます」

先輩の姿見て「家政ファン」になる受験生も

 生徒たちが学校生活や受験の体験を、自分の言葉でオープンに語る――。アドミッションスタッフの取り組みは、受験生や保護者の間でも好評だという。

アドミッションスタッフの教育的意義などについて語る篠澤文雄校長
アドミッションスタッフの教育的意義などについて語る篠澤文雄校長

 アドミッションスタッフは自主的なボランティア活動だったので、位置付けがややあいまいだったが今年4月、篠澤文雄校長が正式な活動団体に公認した。篠澤校長は「学校の姿をありのままに伝え、受験生らに親近感を持ってもらうことに、生徒たちは大きな貢献をしています」と指摘する。

 「生徒たちは自分で経験し、分かることだけを正直に話します。学校としても隠さず、そのまま見てもらっています。だから、受験生や保護者の方たちに、正しい情報が入るわけです。『スタッフの生徒と話すのが一番いい』と言っていただいています」

 同校では、夏休みなどを除いて土曜日を中心に毎週のように「ミニ学校説明会」を開いている。スタッフの生徒たちは休み時間に、自主的に教室を出て、ときには会場に座っている受験生らの横にしゃがんで、「何か受験の悩みはありますか」などと声をかけているという。

 温かく寄り添うアドミッションスタッフの生徒に接し、「あんな先輩になりたい」とあこがれ、「家政ファン」になる受験生も多い。この4月、スタッフリーダーの石川さんは、中学1年の新入生に廊下で声をかけられた。「先輩にずっと渡したいものがあったんです」と、一通の手紙を受け取った。学校説明会に何度も来るたび、受験の悩みを聞いて励ましてくれたことへの感謝と、同じ校舎に通えることの喜びがつづられていた。

 その手紙を大切に手帳にしまっているという石川さんは「涙が出そうになるくらいうれしかった。本当にやってきて良かったと思いました」と話す。

「成長できた」「母校の良さ見直した」

 ほかのメンバーもそれぞれ活動に打ち込み、さまざまな学びを得ている。

 昨年度リーダーを務めた高野萌音さん(高3)は「この学校は生徒同士とても仲がよく、行事でも全力で取り組みます。先生との距離も近く、どんなことでも相談に行きやすい」と、学校生活の自慢を受験生に伝えている。「年の離れた中学・高校のスタッフをまとめた経験も、自分を成長させてくれた」という。

 佐々木陽菜さん(高3)は学校を紹介する中で、自然環境を再現した中庭のビオトープが全国的にも評価が高く、中学教科書に掲載された植物はすべて観察できることなどを知った。「この学校の良いところを見直すきっかけにもなりました」

 田辺恵理子さん(高2)はこの春から参加し、学校説明会で前に出て語ったのはまだ1回だという。「笑顔が足りなかったかな、あいさつはどうだったかなと家で振り返りました。次の機会はもっと頑張りたい」と意気込む。

 140年近い伝統を誇る同校は、建学の精神として「自主自律」を掲げている。「アドミッションスタッフとしての活動は、そうした主体的な学びの場にもなり、『人を思いやる心』や『生きる力』を育てています」と篠澤校長は言う。

 「高い人格を備えた女性を育成するという本校の伝統を、生徒たちは体現してくれています。そして、受験する子供たちのあこがれの存在になっている。それが親子で受験する学校を選ぶにあたって、我が校への思いにつながっている。スタッフの生徒たちのおかげだと思っています」

(文・写真:武中英夫 一部写真提供:東京家政大学附属女子中学校・高等学校)

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460238 0 東京家政大学附属女子中学校・高等学校 2018/11/26 05:20:00 2018/11/26 05:20:00 https://www.yomiuri.co.jp/media/2019/02/20190225-OYT8I50000-T.jpg?type=thumbnail

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