伝統の「英語スピーチコンテスト」で表現力を磨け…女子聖学院

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 女子聖学院中学校高等学校(東京都北区)は7月5日、30年以上の歴史を持つ「英語スピーチコンテスト」の本選を開催した。同校は英語の表現力を高める教育に力を入れており、高校の全学年を対象とするこのコンテストは、生徒たちにとって日頃磨いた表現力を見せる晴れの舞台と言える。コンテストの様子や同校の英語教育、国際教育の特色について取材した。

コンテストの本選に向けて全校生徒が選考に挑む

英語教育に尽力する滝澤佳代子教諭
英語教育に尽力する滝澤佳代子教諭

 同校の「英語スピーチコンテスト」は30年以上の歴史を持つ伝統行事であり、高校の全学年の生徒を対象に、年に1回開催される。中3から高2の生徒全員が3月の春休みの期間中に、スピーチ用の英作文を作成し、英語科の教員に提出して1次選考を受ける。その後、スピーキングによる2次審査を経て、各学年から3人の最終選考者が決定される。計9人による本選が7月に行われ、トップの3人が決まる。

 英語科の滝澤佳代子教諭によると、生徒が取り上げるテーマは、環境や医療、SNSの発達などの社会問題が中心だ。自分が体験したことを踏まえて問題の現状を調べ、今後何をすべきかを英語で訴える。

 スピーチの評価基準は、メッセージ性と表現力の高さ。生徒が自発的に問題意識を持ち、思考し、自分の言葉で堂々と表現する姿勢と態度に重きが置かれている。なお、審査員は外部から招いたネイティブの講師2人が担当する。

 生徒にとって、問題の調査とスピーチの準備は、コンテストに挑戦するうえで高いハードルだが、滝澤教諭は「教員のアドバイスを受けてスピーチを完成させた後、ネイティブの教員の指導の下、表現を磨きます。生徒たちは、本番で400人を超える聴衆を前に堂々と話せるまでに成長します」という。

考え抜いた主張を感情を込めて英語表現

英語スピーチコンテストで日頃磨いた英語力と表現力を見せる生徒
英語スピーチコンテストで日頃磨いた英語力と表現力を見せる生徒

 最終選考に残った9人による本選が7月5日、行われた。会場は校内の荘厳なチャペルで、在校生と教員、審査員を務める外部のネイティブの講師2人がスピーチを見守った。コンテストの司会も高校生2人が担当し、進行はすべて英語で行われた。

 同校の制服のスカーフは高1は紺、高2は黒、高3はシルバーグレーと学年が進むごとに色が変わるが、壇上でスピーチする生徒は、全員白いスカーフを着ける。学年の枠を超えてコンテストに挑むことの象徴だ。

 登壇した生徒たちは、緊張感がみなぎる会場で、持ち時間の5分間をフルに使い、原稿も見ずに、自分の経験と思いをストレートに語っていった。なかには感情が高ぶって、思わず語気が強まる生徒もおり、聴衆も食い入るように聴き入っていた。

 審査が終わって上位3人の名前が発表されると、会場内に大きな歓声とお祝いの言葉があふれた。本選に臨んだ生徒たちはお互いをねぎらい、スピーチを見守った友人たちと喜びを語り合っていた。

歓声と拍手があふれた英語スピーチコンテストの表彰式
歓声と拍手があふれた英語スピーチコンテストの表彰式

 上位3人に選ばれた生徒たちに感想を聞いた。

 高3の古田かりなさんは「When are we going to save this planet?(私たちはいつこの惑星を救うのか)」というタイトルでスピーチした。「地球温暖化問題に取り組むスウェーデンのある女子生徒の活動を取り上げ、行動することの大切さを述べました。プレゼンテーション力は先生のご指導で向上しましたが、環境問題に取り組む有名な俳優のスピーチも参考にしました」

 高2の高倉鏡世さんは「Racism(人種差別主義)」のタイトルでスピーチした。「アメリカ留学で経験した人種差別について話しました。実は声がかれ気味で上手に話せるか不安でしたが、クラスメートが励ましてくれたおかげで堂々とスピーチできました」

 高1の宮本英さんは「Why are mostly love songs so popular in Japan(どうして日本で大人気なのは、たいていラブソングなのか)」というタイトルでスピーチした。「日本のポップ音楽はなぜラブソングが多いのか疑問に思い、海外のヒット曲と比べて考えてみました。賞をいただけるとは思いもしませんでしたが、自分のスピーチを認めていただけてうれしかったです」

中学から始まるスピーチ重視の英語教育

 同校は1905年の創立以来、学ぶだけの英語ではなく、「何のために英語を勉強するのか」を意識した、表現重視の英語教育に力を入れてきた。

 同校は英語表現力入試も採用しているが、生徒の多くは2科・4科入試を突破して入学してくる。英語での自己表現は初挑戦という生徒も多いだろう。そこで、中学1年の英語の授業では「まず英語を使ってみたい、という気持ちを大切に育て、積極的に思いを表現するマインドを養います」と滝澤教諭は話す。

 豊かな表現の基礎となる語彙(ごい)力も、習熟度別のクラスで単語の口頭テストやプレゼンテーションのテストを繰り返す中で自然に養われるという。

 「音で覚えた単語は自然に記憶に残り、反復学習やスピーチの経験を経て定着します。中学校では、相手に英語で少しでも伝えようとする姿勢が大事です。英語を学ぶ過程のすべてを楽しんで、伝わる喜びを感じ取ってほしいと思います」

「Global 3day Program」でプレゼンテーションに臨む生徒たち
「Global 3day Program」でプレゼンテーションに臨む生徒たち

 中学2、3年次には「レシテーションコンテスト」という英文の暗唱コンテストも実施しており、全生徒が課題の英文を完全に暗記して表現力を競う。高校のスピーチコンテストと同じく、審査があって各学年の選抜者が本選で競う。

 また、実用的な英語を学ぶとともに、国際理解を深めることを目的とし、2015年から「Global 3day Program」という国際理解教育プログラムも始まった。中1から高2まで学年を追ってステップアップするプログラムに、全生徒が3日間、集中して取り組む。アメリカ・ヨーロッパ・中東・アジア各国のネイティブの講師から世界の文化や社会を英語で学び、考えたり、プレゼンテーションやディスカッションのスキルを磨いたりする中で国際理解を深めていく。

 こうした英語教育によって、生徒たちは英語を使った異文化コミュニケーションに対する自信を身に付ける。そのため進学先の大学から、英語の運用能力や積極性を高く評価される卒業生も少なくないそうだ。

 「生徒には学内プログラムや海外研修などの学習機会を積極的に活用し、異文化に出会い、コミュニケーションへの関心と能力を高めてほしいです」と、滝澤教諭は率直に話した。どのような進路を選ぶにしても、それが将来を開くカギになるからだろう。

 (文・写真:三井綾子 一部写真提供:女子聖学院中学校高等学校)

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