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【特集】新たな世界を開く第1外国語としてのフランス語…カリタス女子

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 カリタス女子中学高等学校(川崎市)は、中学3年間を通して英語とフランス語を必修とし、高校でも第1外国語にフランス語を選択できるようにしている。今年1月に行われた「全日本高校生フランス語プレゼンテーションコンクール」では、第1外国語に選択している高校2年生のチームが最優秀賞に輝いた。フランス語力を生かして社会で活躍している卒業生も多いという。同校のフランス語教育の目的や展望について取材した。

50人の高校生がフランス語を第1外国語に

「言語は比較対照して勉強するもの」と話すフランス語科の引地教諭
「言語は比較対照して勉強するもの」と話すフランス語科の引地教諭

 カリタス女子は、フランス語を公用語とするカナダ・ケベック州にある修道女会が設立した学校だ。そのため、創立当初から英語とフランス語の複言語教育を行っている。

 「英語とフランス語を同時に学ぶ複言語教育の利点は、それぞれの言語の似ているところと違っているところを比較しながら勉強することでそれぞれの言語への理解が深まることです。言語は比較対照して勉強するものだと私は思うので、その利点をカリタスで生かしてほしい」と、フランス語科の引地一男教諭は語る。

 また、複数の言語を学ぶことによって、異文化理解が深まり、グローバルな視野が開けるというメリットもあるという。「言葉はツールであると同時に、その言葉を話す人々や地域の歴史と文化を理解する道筋になります。それが複数あることは、世界の多様性を理解する重要な手がかりになります」

 中学では英語を週6時間、フランス語を週2時間、いずれも必修で学ぶ。現在、フランス語の教員は、日本人の専任教員4人とネイティブの専任教員が1人、及び日本人、ネイティブの講師がそれぞれ3人の計11人。指導陣の手厚さに加え、授業はクラスを半分に分けた少人数で行われるため、生徒の理解度に合わせた丁寧な指導が可能だ。

 高校では英語またはフランス語を第1外国語として選択することができる。現在、高1で15人、高2で23人、高3で12人の計50人が選択している。授業時間は高1で週6時間、高2で週10時間、高3になると選択授業なども合わせて最大で週13時間履修することができる。

 また、同校は生徒の学ぶ意欲に応えるため、国語、数学、英語、フランス語の講座を土曜日に開講していて、フランス語については、中学生を対象とする「フランス語検定対策講座」、高校生を対象とする「フランス語会話」や「上級フランス語」などの講座があり、一層の実力アップをサポートしている。

 「中3で実用フランス語技能検定試験4級の実力が身に付くようカリキュラムを設定しています。高校で第1外国語にフランス語を選んだ生徒は、高校卒業までに2級を取得することが目標です。推薦入試やAO入試で早期に進学先が決まった生徒が高3の11月に準1級に挑戦するケースもあります」

フランス語プレゼンコンクールで最優秀賞

「全日本高校生フランス語プレゼンテーションコンクール」で発表する生徒たち
「全日本高校生フランス語プレゼンテーションコンクール」で発表する生徒たち

 今年1月に行われた「全日本高校生フランス語プレゼンテーションコンクール(国際交流基金パリ日本文化会館主催)」では、同校の高2生3人のチームが最優秀賞に選ばれた。彼女らはいずれもフランス語を第1外国語に選択している。

 コンクールの課題は『日仏文化交流と相互理解に貢献し社会に影響を与えた人物を取り上げ、調査分析に基づくプレゼンテーションをフランス語で行う』というもの。3人のチームは「デラシネの画家 藤田嗣治のエスプリに学ぶ」をテーマとし、フランスに帰化した藤田が日本を捨てたわけではなく、藤田の中には日本文化が生き続けていたという趣旨のプレゼンテーションを行った。チームの一人は丸い眼鏡をかけ、付けひげをして藤田を演じた。

 「彼女たちは高2の夏休み過ぎから準備をはじめ、ネイティブの教員に表現や発音についてアドバイスを受けながら、入念に作り上げていきました。私も動画を見ましたが、1人の生徒が藤田嗣治になりきってドラマ仕立ての工夫がされていました。引率した教員によると、その後の質疑応答の受け答えも高く評価されたと聞いています」

 最優秀に選ばれたチームは、パリで開かれる「全仏高校生日本語プレゼンテーション発表会」に招待され、3月に渡仏する予定だったが、コロナ禍の中、ビデオ参加という形をとらざるを得なかった。

 貴重な機会を逃したものの、3人は動画によるプレゼンテーションの最後に、フランス語で『予期せぬ事態により渡仏はかないませんでしたが、その残念さをバネにさらに次に進んでいきたいと思います。日仏交流の機会を与えてくれた運営に感謝し、いつか直接会える日を楽しみにしています』と力強く結んだ。

複数言語を学ぶことで広がる卒業後の進路

中学でもフランス語が必修となっている
中学でもフランス語が必修となっている

 引地教諭によると、中高の段階で、しっかりフランス語を学んでおけば、大学に進学してすぐにフランス語圏へ留学することが可能になり、将来設計にも大きなメリットがあるという。また、複数の言葉を学んだ経験によって、将来さらに新たな言語を学ぶ時も、心理的な抵抗感が低くなるという効果もあるそうだ。

 「複数言語を学んだことによるものだと思いますが、本校の生徒は、言語や異文化に対する興味関心が高い。大学でスペイン語学科やドイツ語学科に進んだ生徒もいます。二つの言語を学んだという自信が、さらに他言語を学ぶ意欲へとつながるのだと思います」

 同校で学んだフランス語の力を生かし、社会で活躍している卒業生も多い。あるOGは、大学を卒業後、フランスの雑貨を扱う会社に就職し、仕事にもフランス語を活用していたという。

 「運よくチャンスをものにしたと喜んでいました。この8月からフランス語圏のカメルーンで日本大使館職員として勤務していると聞きました。アフリカはこれからの日本にとって大きな存在になると予測されていますし、活躍を期待しています」

 また、別の卒業生は大学2年次にフランスに留学し、卒業後はNHKに勤務している。ディレクターとして、フランスで活躍する日本人シェフのドキュメンタリー番組制作を担当したそうだ。

「フランス語を学ぶ」から「フランス語で学ぶ」へ

 同校は「グローバルな視野を持ち、共生社会を創り上げる人間」を、育てたい人間像の一つとして掲げている。

 「必修の授業でも、語学だけでなく、フランスの文化的背景を伝えるように意識しています。アフリカには旧フランス領の国が多く、移民の問題などについても、折に触れて話しています。講師にはモロッコ出身の人もいて、いろいろなバックボーンがあると知る良い機会になっています」

 高3の選択科目「現代フランス研究」ではフランスを中心にヨーロッパを考えるという授業を行っているが、引地教諭は今後、必修の授業も「フランス語を学ぶ」のではなく、「フランス語で学ぶ」内容としていきたいという。

 「必ずしも大学入試を想定しているわけではありませんが、中高6年間でいかに考える力を身に付けたかが問われるようになりますから、言葉を学ぶことを通して、世界をどう考え、どう表現できるかという力を育てたいと考えています」と、引地教諭はこれからのフランス語教育の展望を語った。

 (文:山口俊成 写真:中学受験サポート 一部写真提供:カリタス女子中学高等学校)

 カリタス女子中学高等学校について、さらに詳しく知りたい方はこちら

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1674920 0 カリタス女子中学高等学校 2020/12/08 07:00:00 2020/12/08 07:00:00 https://www.yomiuri.co.jp/media/2020/12/20201204-OYT8I50011-T.jpg?type=thumbnail

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