60秒の映像にSDGsへの思いを込めて…晃華

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 晃華学園中学校高等学校(東京都調布市)は、中3生全員が参加する「KOKA×SDGs国際映像コンテスト」を初めて開催した。生徒たちは社会科の授業や校内行事を通して学んできた貧困や教育、環境などの問題について、自分たちができることを英語やICT(情報通信技術)を駆使して60秒の映像にまとめて表現した。コンテスト当日の様子や生徒たちの声をリポートする。

「晃華でも何かできませんか」と生徒の訴え

映像コンテストの取り組みについて話す社会科の長岡教諭
映像コンテストの取り組みについて話す社会科の長岡教諭

 同校は2017年度に、中3の公民の授業で「国際」をテーマに、授業内で「模擬国連」を実施し、SDGs(Sustainable Development Goals=持続可能な開発目標)に関するアクティブ・ラーニング型の学びを行ってきた。SDGsは、2015年9月の国連サミットで採択された17分野の国際目標で、各国は「誰も置き去りにしない」を理念として30年まで、世界から貧困や格差をなくすなどの取り組みを行う。

 SDGsを授業に取り入れたことについて、社会科の長岡仰太朗教諭は「3年ほど前に、SDGsを外部の講演会で知った、今は大学1年の生徒が、『晃華でも何かできませんか』と相談してきたのがきっかけです」と話す。同校は衣料品販売の「ユニクロ」とコラボして古着回収活動などを行ってきたが、活動の輪をさらに広げるために、授業でも取り上げることにしたという。

 公民の授業を通じて生徒たちのSDGsや国際問題への関心は大きく高まった。現在は、海洋プラスチックごみ問題の対策として、使わない歯ブラシを回収したり、難民支援のために文具を収集したり、電気を使わずに汚水を処理する簡易トイレ「ハンディポッド」を製作したりと、さまざまな活動を自発的に行っている。

 ただ、SDGs活動が校内に広がる一方で、具体的に何をしたら良いかで悩む生徒も少なからずいた。「そうした生徒たちの背中を押すために、映像は一つの方法だと考えていました」と長岡教諭は話す。「そんな折に、SDGsを普及促進するための第1回SDGsクリエイティブアワードが北海道で開催されることを知り、参加を目指して学内で映像コンテストを行うことに決めました。それが『KOKA×SDGs国際映像コンテスト』です。いいタイミングでしたね」

内容だけでなく、見せ方の技法にも工夫凝らす

チーム内で作成した絵コンテやナレーション原稿
チーム内で作成した絵コンテやナレーション原稿

 中3生たちは2学期に入ると、四つのクラス内で6、7人ずつ六つの制作チームに分かれた。各チームは、SDGsの17の目標のうち「アワード」が指定する六つの「表現する目標」から一つずつを選び、映像制作を開始した。

 チーム内では「プロデューサー」「ディレクター」「カメラマン」「編集」といった役割を分担。約1か月かけて、上映時間の60秒で何を伝えるかを話し合い、絵コンテやナレーション原稿を作成した。撮影は11月2日の1日だけ、日頃の学習で使い慣れたタブレット端末(iPad)で動画を撮り、さらに約2週間かけて編集し、完成させた。

 「映像コンテスト」は3月14日、同校のマリアンホールで開かれ、中3の生徒全員158人と、OGや報道関係者、来賓ら約30人が注目する中、全24作品が一挙に上映された。

 テレビのニュース番組形式で、住み続けられる街づくりのために何ができるのかを伝えた作品もあれば、野菜の捨てられてしまう部分を生かした料理を実際に作り、食品ロスをなくす責任について表現した作品もあった。また、文字が読めないために誤って毒を飲んでしまうことを映像にし、教育の必要性を表現したチームや、粘土でおばあさんを作り、コマ撮りの手法でバリアフリーの大切さを表現したチームもあった。

インパクトや面白さなどの見せ方にも工夫を凝らした作品
インパクトや面白さなどの見せ方にも工夫を凝らした作品

 いずれも内容だけでなく、インパクトや面白さなどの見せ方にも工夫を凝らし、国際社会への発信を意識して、字幕やナレーションには必ず英語を使っていた。生徒たちは、お互いの作品を見るのは初めてといい、食い入るように互いの作品を鑑賞していた。

 中3生と来賓による投票の結果、最優秀賞には、身近な話題を基に地球温暖化の深刻さをシンプルに表現した「Green Eyes」チームの作品が選ばれた。「Green Eyes」の生徒は、「1分間という限られた時間内で、ナレーションが早口になったり、盛り込む情報が多くなりすぎたりしないように注意しました」と制作の苦心を話した。また、メンバーたちは「みんなの意見を一つのストーリーにするまでが大変でした。どのチームより、話し合った時間は長かったと思います」と共通の感想を口にしていた。

 また、この日は同校OGであり、地球温暖化対策として注目されているCO2排出権取引ビジネスの環境戦略アドバイザーで環境金融コンサルタントの、吉高まり氏による講演も行われた。吉高さんは「経営者や投資家に対して、ほぼ毎日のようにSDGsについて話していますが、ほとんどの方がSDGsについて知りません。今日、皆さんの映像作品を見てとても感動するとともに、企業の方々にもぜひ見てもらいたいと思いました」と後輩たちに語った。

映像制作を通して一人一人が光り輝く華に

最優秀賞ほかの表彰を行う西山恵子校長(前列左端)
最優秀賞ほかの表彰を行う西山恵子校長(前列左端)

 今回制作した作品はすべて、札幌で行われた「第1回SDGsクリエイティブアワード」へ出品され、そのうち、「GALAXY」チームの作品がJICA特別賞を受賞した。2分割した画面構成で、左に募金や古着を集める人、右にそれを送られる国の人を配し、自分たちの募金や古着が途上国でどれくらい大きな力になるかを表現した作品だ。多くの受賞作の中で中学生の作品は唯一だった。

 「GALAXY」チームによると、左画面の人から右画面の人に箱や古着を渡すように演出するため、手の高さや位置がうまくつながるように調整するのが大変だったという。

 「GALAXY」チームの生徒たちは、「貧困問題について、具体的に自分たちに何ができるかを伝えられたことがよかったです。たった1円で半年持つ薬が買えることや、100円が大きな力になることを知り、募金の大切さを実感しました」「映像用にエコマークが付いている商品を探しましたが、意外とたくさんの商品があることに気付きました。これからは、なるべく環境に優しいエコマーク商品を買おうと思います」などと、それぞれが映画制作を通じての気付きを語った。それぞれにSDGsへの理解を深め、自らがやるべきことを考えるいい機会となったようだ。

 中3生全員が取り組んだ映像制作の成果について長岡教諭は、「自分たちで課題を見つけ、共有し、解決していく姿勢が見られました。何より、みんなとても楽しそうでしたね。映像制作を楽しむことで、SDGsへの理解や関心がより深まったと思います」と振り返った。

 「生徒たちが、休み時間や昼休みを返上し、一生懸命集中して取り組んでいた姿がとても印象的でした。さまざまな生徒に、新たな光が当たっていると感じました。まさにSDGsの『誰も置き去りにしない』という理念と、一人一人が『光り輝く華』であるという本校の理念にも通じていたと思います」

 広報部の安藤真由美教諭も、「公民やICTの担当教員だけでなく、諸先生方の力を惜しまないサポートが生徒に通じ、今回の成功につながったと思います」と振り返る。

 映像作りを通して、中3生たちは世界を取り巻くさまざまな問題を見つけ、自分自身を見つめ直したことだろう。これからもこうした学びや気付きを大切にして成長してほしい。

 (文・写真:石井りえ 一部写真提供:晃華学園中学校高等学校)

 晃華学園中学校高等学校について、さらに詳しく知りたい方はこちら

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600864 0 晃華学園中学校高等学校 2019/05/27 05:21:00 2019/05/27 05:21:00 https://www.yomiuri.co.jp/media/2019/05/20190524-OYT8I50019-T.jpg?type=thumbnail

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