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【特集】マラウイの小学校とSDGs達成に向け「共同宣言」…晃華

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 晃華学園中学校高等学校(東京都調布市)で2019年度、中3生がアフリカのマラウイ共和国の小学校と手紙やテレビ電話で交流を行い、SDGs(持続可能な開発目標)達成に向けた行動を誓う「共同宣言」を作成した。この活動は生徒の意識を変え、さまざまな活動へ広がりを見せているという。

半年がかりで「共同宣言」を作成

安藤真由美教頭(右)と松元教諭
安藤真由美教頭(右)と松元教諭

 この活動は、2019年度に中3の担任だった松元賢次郎教諭の発案で始まった。大学時代の友人で、マラウイ共和国の支援を担当していた青年海外協力隊の長井優希乃さんから、同国中部のマタピラ小学校との交流を持ち掛けられたことがきっかけだという。

 松元教諭は、「単なる交流ではなく、両国の子供たちが協力して何かを作り上げる機会としたい」と考え、SDGs達成へ向けた共同宣言づくりを提案した。SDGsの17の目標から六つの目標を選び、各クラス内で班ごとに検討し、さらに各クラス、学年全体の案へとまとめ、英訳してマタピラ小の案とすり合わせる計画を立てた。

 松元教諭から活動の打診を受けた、当時の中3学年主任である安藤真由美教頭は、「未知の世界へ意識が向き始める中3期に合ったテーマ。さまざまな点で成長につながると考え、ゴーサインを出しました」と話す。

 活動には、土曜日のロングホームルーム(LHR)4回分を充てた。同年4月、生徒に計画を話し、マタピラ小の子供に国や生活について質問する手紙を作成した。5月に、マタピラ小からの返信を受けて共同宣言の内容検討に入り、6月にはクラス内、さらに学年全体の共同宣言をまとめた。

 宣言の作成には約1か月かかった。この間、中心的な役割を担ったのが、各クラスから募った「マラウイ委員」だ。委員はほぼ毎日会合を開いて議論を行ったという。7月20日の終業式の日に中3全員の前で、委員による「署名式」が行われ、宣言文が披露された。9月にはマタピラ小側の署名を受け、完成した「共同宣言」の文書を10月に受け取って、活動に一区切りをつけた。

支援活動の前に「対等」の理念を重んじる

LHRの司会進行を担当し、共同宣言案をまとめていくマラウイ委員
LHRの司会進行を担当し、共同宣言案をまとめていくマラウイ委員

 完成した共同宣言は、「前文」「宣言」「行動目標」の三つから成っている。この形式は、委員の生徒が、国連のSDGs関連文書を参考にして考え出した。「前文」と「宣言」は両校共通だが、両国の情勢の違いが大きいため、共通の「行動目標」を作るのは難しいと分かり、国別に「行動目標」を併記する形とした。マタピラ小は「より多くの木を植える」「壊れたものもリサイクルして何度も使う」など4項目、晃華は「国連に貧困支援の拡充を要求」「募金や寄付」「物質と環境の共存へ向けた知識の共有」など8項目と、それぞれの現状に即したものとなっている。

 共同宣言を作成する作業で生徒たちが苦心したのは情報収集だったという。当初は手紙のやり取りで宣言を作成する予定だったが、現地の情勢がよく分からず、生徒から「手紙の情報だけでは宣言が作れない」という声が上がった。そこで委員の提案により、現地の長井さんとテレビ電話で話す機会を設け、詳しく情報を聞いたという。

 また、生徒間での情報の共有も課題となった。資料作成に力を注いだ委員の一人は、「委員の意識が先走り、他の生徒が『やらされ感』を感じることは避けたかった」と話す。テレビ電話の内容メモを分かりやすくスライドにまとめ、メモの重要な言葉を隠した「穴埋め問題」的なプリントを作成して配布し、情報や意識の共有を図ったという。

 活動の目的が支援活動へとそれかけたこともあったという。日本との格差の大きさを思った委員から「募金をやっては」という提案があったが、他の委員から反対意見が出た。反対した委員の一人は「共同宣言を出すためには互いが『対等』であると考えることが必要。最初は募金に賛成したけれど、『やってあげる』と思った時点で対等ではなくなると気付きました」と振り返る。議論の末、「まず対等の立場で宣言を出し、理解を深めた上で支援を検討する」という指針を決め、「対等」の理念を生かすために、「文化を互いに尊重する」などの文言も宣言に盛り込んだ。

 討論の中で度々対立する意見の調整に努めたというある委員は、「自分の主張だけでなく『相手にとっても良いこと』を探る必要がある。コミュニケーションの大切さを痛感しました」と話す。

 松元教諭は「『対等』ということも考えてもらいたいが、『中学生には難しいのでは』と考えていました。しかし、こうした考えが生徒自身から出てきた。生徒は大人の想像を遥かに超えて成長していきました」と語る。

さまざまな自主活動の発火点に

マタピラ小の子供たちから送られた手紙
マタピラ小の子供たちから送られた手紙

 署名式で委員は、「この活動は、宣言文を作って終わりではありません。むしろ、『行動目標』の実践が本番です」と中3全員に語りかけたという。共同宣言が完成した直後から、元委員4人はさまざまな活動を始め、高1になった2020年、「車輪の会」というグループを結成した。グループ名を考案したメンバーは、「SDGsのスローガンである『No one left behind(誰一人取り残さない)』から連想し、人数制限のない車で前進する意味を込めました」と説明する。

 会の活動は、マラウイの文化を理解、発信することと、学校内外の人々に途上国問題や社会貢献への理解を広めることに力点を置いている。これまでに、中2から高1の生徒に呼びかけ、マラウイの子供たちに英語で手紙を書くワークショップを実施した。また、教員に対しても、学内文書のペーパーレス化や裏紙の利用促進を提案した。さらに「自分たちの親は意外とSDGsのことを知らない」と感じたことから、保護者参加の講演会や文化祭などで、SDGsの紹介やフェアトレード製品のバザーを実施することも構想している。

 他校との共同活動にも手を広げている。共同宣言の議論で意見が出た「対等の立場で理解を深めた上での支援」を行動に移すため、メンバーの1人が校外活動で知り合った首都圏の学校2校に声をかけ、鉛筆などの文房具をマタピラ小へ送る活動を始めた。

テレビ電話で、マタピラ小の子供たちとライブで交流する生徒たち
テレビ電話で、マタピラ小の子供たちとライブで交流する生徒たち

 さらに、こうした取り組みを広く知ってもらうため、日本マラウイ協会(東京都新宿区)が毎年開催している交流行事「マラウイを語る集い」に昨年度初めて参加し、今年度もオンラインで開催された「集い」に参加した。中高生の立場から「今自分たちができること」をテーマに発表をしたそうだ。

 

 今回の共同宣言について、安藤教頭は「生徒たちの活動に広がりを与えた」と話す。「晃華学園は、『ノーブレスオブリージュ』の精神を大切にし、人のために人と共に生きる女性を育てる学校です。今回の活動を経て、『人のために』と思い立ったことを行動に移すハードルが低くなりました。例えば、コロナ禍で献血者が減っている現状を踏まえて校内の高校生に献血を呼びかけたり、近隣の児童養護施設への寄付運動を立ち上げたり、中高生の自分たちにできることから始めています」

 松元教諭も、生徒たちの成長に期待を寄せる。「今回の活動は良い原体験になったはず。マタピラ小の子供たちとつながった経験、共に活動した経験が、将来、社会をより良くするための行動を引き出すことでしょう」

 (文:上田大朗 写真:中学受験サポート 一部写真提供:晃華学園中学校高等学校)

 晃華学園中学校高等学校について、さらに詳しく知りたい方はこちら

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1803160 0 晃華学園中学校高等学校 2021/02/02 05:01:00 2021/02/02 05:01:00 https://www.yomiuri.co.jp/media/2021/01/20210128-OYT8I50029-T.jpg?type=thumbnail

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