「グローバルセミナー」で未来を探れ…麗澤

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 麗澤中学・高等学校(千葉県柏市)は7月4日、「グローバル」をキーワードに国際教養大学(AIU)、上智大学、立命館アジア太平洋大学(APU)、麗澤大学の4大学から講師を招き、「れいたくグローバルセミナー」を開催した。グローバル化への取り組みなど各大学の「今」を語ってもらい、生徒の進路選択の手がかりにしたい考えだ。講演後はAI(人工知能)と職業などをテーマとしたパネルディスカッションも行われ、生徒たちは次なる世界に向けての知的関心を大いに高められたようだ。

「世界の変化、痛烈に感じた」

セミナー会場の「はなみずきホール」
セミナー会場の「はなみずきホール」

 「安全保障、テロ、食料問題、資源枯渇、産業構造の変化、感染症など、さまざまな社会的課題が蔓延(まんえん)する現代社会にあって、必要とされるのは、人種や世代、性別を超えた同僚と意思疎通を図りながら、協力して物事に粘り強く取り組めるグローバル人材である」

 国際教養大学(AIU)の三栗谷俊明キャリア開発センター長は、「れいたくグローバルセミナー」の会場となった麗澤大学「はなみずきホール」で、約50人の生徒と保護者を前に口火を切って、こう語った。講演テーマは「『各大学で学部が取り組むグローバルの今』~国際教養大学の視点でひもとく~」だ。

 さらに三栗谷氏は、こうしたグローバル人材を育むために、学生に1年次の寮生活を義務付けて「人間力」を鍛え、少人数教育や100%英語での授業で「多角的視点と思考力」を養い、1年間の留学を必須とすることで「アイデンティティー」を深め、多彩な進路先と多様な入試制度によって「個」を確立させるなど、同大が目下、実施している数々の具体的な取り組みを紹介した。

国際教養大学(AIU)の三栗谷俊明キャリア開発センター長
国際教養大学(AIU)の三栗谷俊明キャリア開発センター長

 続いて登壇した上智大学、立命館アジア太平洋大学(APU)、麗澤大学の講師もそれぞれに、「グローバル人材となるための三つの資質」「世界の将来像を見据えての大学選択」「グローバル人材になるために海外へ踏み出す勇気」などについて講演し、参加者の関心を引き付けた(講演概略は記事最後に)。

 また、セミナーの第2部である「次代の求めるグローバル」と題したパネルディスカッションでは、4人の講師をパネリストとして、主にAI(人工知能)の発達と将来の職業のあり方について議論が交わされた。

 セミナーを聴き終えた生徒たちからは、「次代を、自分の将来としてすごく近く感じた。気になっていたことを改めて考えてみることを通して、まず普段の生活での意識を変えようと思った」「世の中が本当にどんどん変わっていくことを痛烈に感じた」などの声が上がっていた。

実りある学びの場の実現へ

第2部のセミナー「次代の求めるグローバル」での質疑応答
第2部のセミナー「次代の求めるグローバル」での質疑応答

 今回のセミナーを立案、推進してきた重松雅治教諭によると、セミナー開催のきっかけは、上智大学の曄道(てるみち)佳明(よしあき)学長による過去2度の講演が刺激的で示唆に富み、非常に好評だったこと、加えて重松教諭の母校・立命館アジア太平洋大学からも講演のオファーがあったことだ。

 また、昨年度に実施された国際教養大学の校内説明会をきっかけに生徒たちの間で、「グローバル」への関心が非常に高まっていたことや、麗澤大学がTHE(Times Higher Education)の日本の大学ランキング国際性分野で第4位になったことも重なって、「今、この4大学によるセミナーを実施することで、生徒、保護者、教員にとって実りある学びの場とすることができるのではないかと考えました」。

近い将来よりもっと先の自分を

 今回のセミナーは進路指導の一環として実現されたものだが、大学選択に役立つ情報提供の場という位置づけを、大きく超える特徴がある。それは各大学が今、グローバルというテーマに具体的にどう取り組んでいるのかをストレートに語ってもらった点だ。

 その狙いについて、重松教諭は、「近い将来のことよりも、もっと先の自分が働く頃の将来を考えてもらいたかったのです。それが彼らの興味を駆り立て、自分の学びたい分野、進みたい道を探す手助けになればと考えました」と話す。

 大学を単なるブランドとして見るのではなく、自らの将来を切り開くのに役立つ進路を探すつもりで見てほしい、今回のセミナーも、そのつもりで耳を傾け、さまざまな問題意識を持ってほしい――という考えだ。

セミナーが生徒の意識を変える

セミナー「次代の求めるグローバル」に熱心に聞き入る参加者
セミナー「次代の求めるグローバル」に熱心に聞き入る参加者

 同校は、これまでにも生徒、保護者を対象とするさまざまなセミナーを開催してきた。今年5月にも、早稲田大学の若手研究員が物理学の最先端について語る「麗澤サイエンスカフェ」を実施している。重松教諭は、これらのセミナーを進路指導のための「知的好奇心への刺激」と「既成概念への挑戦」と位置づけている。

 重松教諭によると、セミナーに参加した中高生には大きな意識変化が起きているという。セミナー終了後に実施したアンケートでは、「本当に参加して良かった。予測できない将来に対する不安が少し楽しみになるなど、考え方が変化するほどの話だった」「人と違うということを恐れないで自信をもって生きていきたい」「20年、30年後の自分や世界について、しっかりと考えてみようと思った」など、自分に生じた変化を前向きにとらえる回答が多かった。

 「理系セミナーを実施した際、生徒の中にはその日の晩にインターネットで論文を読み、分からなかった点を調べたという生徒もいました。自分が進みたい道の厳しさを学んだ生徒、研究に対する現実を知って戸惑う生徒、最先端の研究に触れて思いを膨らませる生徒もいました。生徒の意識変化は十人十色ですが、変化が起きていることはほぼ間違いありません」(重松教諭)

 生徒たちの変化はきっと前進の証しだ。同校の教育は、その一歩を進めさせる力となる。

(文:松下宗生 写真:中学受験サポート担当)

【AIU以外の3大学の講演概要】

■上智大学

 「上智大学におけるグローバル化の取り組みのご紹介」というテーマを掲げた上智大学の三輪義彦学長補佐は、「20年後の雇用環境、国家間の関係、政治経済のバランス・オブ・パワーなど、注意深く分析しても予測と解決が難しい社会の到来が予想される」と語った。そのうえでグローバル人材に求められる資質として(1)豊かなコミュニケーション能力(2)複合的視座(3)展望力を挙げ、「今の学生たちはグローバル人材となる準備を進めてほしい」と要望した。

■立命館アジア太平洋大学(APU)

 APUの伊藤健志学長室課長は「自由・平和・ヒューマニティ」「国際相互理解」「アジア太平洋の未来創造」という三つのテーマで話した。生徒たちの進路選択を念頭に、「入れる大学ではなく、自分と世界の将来像から世界地図を広げて大学を選択すること」とアドバイス。英語はリテラシーの一つに過ぎないことや、数学、歴史、地理、アートなどの基礎を高校時代に固めておくことの大切さを強調した。また、自らの体験を踏まえて「大学卒業後は卒業生ネットワークが最大の財産」と締めくくった。

■麗澤大学

 最後に登壇した麗澤大学4年の櫛山万葉(かずは)君は「大学4年間の可能性と“グローバル人材”への1歩」というテーマで語った。同大入学後のさまざまなボランティア活動のこと、それを通じて知り合った仲間とともに、英語力を磨きながらネパール地震の救済ボランティアまで踏み込んだ経歴を紹介。グローバル人材になるには「まずは海外に踏み出すことでは」と生徒たちに訴えた。

206490 0 麗澤中学・高等学校 2017/10/06 05:20:00 2017/10/06 05:20:00 https://www.yomiuri.co.jp/media/2019/01/20170929-OYT8I50006-T.jpg?type=thumbnail

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