先輩が語る社会経験から自分の未来を描け…麗澤

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 麗澤中学・高等学校(千葉県柏市)は9月28日、さまざまな職業の第一線で活躍する卒業生に話を聞く「職業別講演会」を開いた。主に高1生を対象に、卒業生の経験を聞いて自分の思い描く将来像を明確にし、それに向けて具体的な進路を考えてもらおうというのが目的だ。11回目となる今回は、20歳代から60歳代までの卒業生21人が学校に集い、仕事の面白さや大変さ、社会と仕事のつながり、中高時代の思い出や勉強法などを語った。

卒業生の人脈生かし、多様な業界から講師を招く

高1生全員254人が耳を傾けた大石教授の基調講演
高1生全員254人が耳を傾けた大石教授の基調講演

 職業別講演会は、同校のキャリア・進学支援プログラムの一環として2009年度に始まった。主に高校1年生が対象で、毎年、文・理選択やコース選択の検討を控えた9月下旬頃に実施している。

 初回は学校の近隣に在住・勤務する人々に講師を依頼したが、その後「卒業生にお願いした方がもっと幅広い職業の人を呼べるのでは」という意見があった。そこで、1937年度に卒業した1期生以来の膨大な人脈を生かせるよう、2年目からは同窓会「れいこう麗澤会」に協力を仰ぎ、毎年15人から20人程度の卒業生に講演を依頼している。今回も、医学・看護、工学、貿易関連、弁護士、理系の研究者、公務員、レストラン経営者、航空機パイロットなど、さまざまな業界で活躍する20歳代から60歳代までの卒業生21人を母校に招いた。

 この日の職業別講演会は朝9時半からスタートした。まず基調講演があり、続いて生徒それぞれが講師を選んで二つの「分科会」に参加するという、40分ずつ3コマのプログラムだ。

 最初に、三重大学医学部附属病院輸血部の大石晃嗣(こうし)教授が「麗澤高等学校卒業から血液内科医師へ ~在校生に伝えたいメッセージ~」と題して基調講演を行い、階段教室に集まった高1生全員254人が耳を傾けた。

 白血病を専門領域とする大石教授はまず、白血病の重要な治療法である骨髄移植の現状について触れ、「骨髄バンクや献血は多くの人々の善意に支えられている。高い関心を持ってほしい」とアピールした。また、「医療の仕事の魅力は、これまでの挫折や病気、老化や肉親の死まで、あらゆることが日々の診療に生きること」と語った。

 自らの高校・予備校時代の経験にも触れ、「夢を実現するには、エンジンに当たる『目標や志』と、ハンドルに当たる『効率的な勉強や練習の積み重ね』の二つが大事」と話した。また、目標を見つける方法としては、「好きなことや強みを紙に書き出してみる」「最後はメリット・デメリットより、自分の心の声に従うべき」などとアドバイス。受験勉強については、「分かったつもり」を減らす方法として「中学からの試験問題を、間違いがなくなるまで繰り返し復習する」「理解したことを紙に書き出す、また人に説明して質問を受ける」など、具体的にコツを紹介した。

高2も合流、20人から選んだ2人の講師に話を聞く

シンガポールで貿易会社を経営している菱沼さんの分科会
シンガポールで貿易会社を経営している菱沼さんの分科会
テレビ局でニュース番組のディレクターを務める大塚さんの分科会
テレビ局でニュース番組のディレクターを務める大塚さんの分科会

 基調講演の後は、高2生236人も合流して「分科会」に移った。20人の講師はそれぞれ教室が割り当てられており、生徒たちはあらかじめ自分の関心に合わせて選んだ2人の講師の話を40分間ずつ聞いた。

 51期卒業の菱沼一郎さんは、麗澤大学外国語学部を卒業し、シンガポールで貿易会社を経営している。日本の少子高齢化を踏まえて「今後は海外で物を売っていく時代。海外の文化や常識を理解し、現地で信頼される人になろう」と説いた。また、「語学の勉強で大事なことは」という生徒の質問には「とにかく使うこと」と答え、仕事で使うインドネシア語も「授業で習ったことはなく、実地に使ってマスターした」と語った。

 中央大学総合政策学部を卒業し、テレビ局でニュース番組のディレクターを務める、77期卒業の大塚脩平さんは、インターネットコンテンツの隆盛を踏まえ、「テレビは情報発信の制限が大きいが、その分信用を得ているメディア。制限の中でどう面白くするかがやりがい」と語った。また、「社会人の基本は礼儀やルールを守ること。麗澤の生徒はそこがしっかり教育されているので、自信を持ってほしい」とエールを送った。

 分科会の終了後、生徒たちは講師たちと食堂棟「けやき」で会食した。先に席に着いていた生徒たちが拍手で講師たちを迎えると、講師たちは1人ずつ生徒たちへのメッセージを送り、一緒に食事を楽しみながら30分ほど個別の質問に答えていた。

先輩の話を聞いて進路のイメージが明確に

 受講した生徒たちは、今回の講演会をどう感じたのだろうか。高1の2人に話を聞いた。

 バスケットボール部に所属している横田敬祐君は、将来はトレーナーなどアスリートをサポートする仕事に就きたいと考えている。この日の「分科会」ではトレーニングスタジオを1人で運営している卒業生(66期卒)の話を聞いた。

会食中、生徒たちの質問に答える講師(左)
会食中、生徒たちの質問に答える講師(左)

 「アスリートに1対1で向き合い、いつでも対応する必要があるので忙しそうでしたが、面白そうな仕事」と、いっそう関心をかきたてられた様子だった。また、「スポーツを極めるだけでなく、体の仕組みや栄養学などの勉強も重要だと分かりました。スタジオ運営のためには経営も勉強しないと」と意気込みを見せた。

 教員志望の中澤果子さんは、「分科会」で麗澤幼稚園に勤務する卒業生(68期卒)と、柏市で中学校教諭を務める卒業生(71期卒)の講演を聞いた。

 「仕事の苦労や工夫のしどころはそれぞれでしたが、子供たちの成長に立ち会える喜びを聞いて、『自分がやりたい仕事だ』と確信できました」とにっこり。また、最初の基調講演で大石教授が語った「メリットとデメリットより、自分の心の声に従う」というアドバイスについては「これまで考えたことがありませんでした」と感銘を受けていた。

 毎年、講演会が終了すると同校は、講師や生徒、運営委員から意見を吸い上げ、その後の運営に生かしている。今年の講演会でも、いくつかの改善が試みられた。

 今回、高2生も合流させて2コマの「分科会」を受講できるようにしたのもその一つ。これまでは4年生だけを対象に1コマしか実施していなかった。

 「高1に進路を考えるきっかけを与えるのが主目的ですが、進路をある程度イメージした高2生がキャリア意識を深めるためにも有効と考えました。また、現在の志望以外にもさまざまな選択肢があると感じられるよう、分科会も2コマ受講できるようにしました。基調講演と合わせて3人の人生経験を聞ける仕組みです」と太田教諭は話す。

 会食時の質疑応答の時間も、今年新たに設定した。「講師の方々から『もう少し話せる時間が欲しい』というご要望が多かったためです。午後から部活などもあるため、講演時間を延ばすのは難しいのですが、せっかくの機会なので、対話の時間を極力設けたいと思いました」

 講師を務める卒業生たちも、母校で話ができる機会を喜んでいるという。「悩み多き高校時代を思い出し、後輩を励ましたくなるという声は異口同音に伺います。また、恩師や教員になった同級生との再会、さまざまな世代との対話など、同窓会のような楽しみもあるようです。毎年呼ばれるのを楽しみにしている方もいて、うれしい限りです」

 高1の中澤さんは「いろんなフィールドで活躍する先輩のメッセージをいただけるのは、麗澤の素晴らしいところ。自分もいつか、仕事のやりがいを伝えに帰ってきたい」と話した。

 参加した生徒たちは、先輩たちの姿に、将来先輩として母校を訪れる自分の姿を重ね合わせていたのかもしれない。

 (文・写真:上田大朗 一部写真提供:麗澤中学・高等学校)

 麗澤中学・高等学校について、さらに詳しく知りたい方はこちら

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918544 0 麗澤中学・高等学校 2019/11/29 05:21:00 2019/12/04 13:22:31 https://www.yomiuri.co.jp/media/2019/11/20191126-OYT8I50006-T.jpg?type=thumbnail

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