創立100年、「気づき」の教育で可能性広げる…淑徳巣鴨

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 淑徳巣鴨中学高等学校(東京都豊島区)は1月で創立100周年を迎えた。宗教家の長谷川良信が築いた社会福祉施設に端を発する同校は、教育の場として進化しながら「感恩(かんのん)奉仕」を校訓として歩み続けてきた。昨年11月に開かれた学校説明会での説明内容と、生徒の無限の可能性を引き出す「気づき」の教育など、同校の特色を夘木(うのき)幸男校長に聞いた。

元気なあいさつは校訓「感恩奉仕」の表れ

教育の特色を語る夘木幸男校長
教育の特色を語る夘木幸男校長

 中学校説明会は、勤労感謝の日の2018年11月23日に開かれた。ボランティアのサポーターとして集まった多数の在校生が、会場の入り口や校舎内のあちこちで「おはようございます」と、訪れた小学生や保護者らに明るく声をかけていた。

 「生徒たちのあいさつには、本校の校訓である『感恩奉仕』の精神が表れています」と夘木校長は話す。「感恩」とは「自分を取り巻くすべての存在に『ありがとう』と感謝をする心」を意味し、「奉仕」は「感謝の心で恩返しをすること」を意味するという。「今日も元気に過ごせることに感謝しつつ、笑顔で人に声をかける。あいさつも、この奉仕の一つの形なのです」

 同校は、浄土宗の僧侶で社会事業家の長谷川良信が創立した。東京・西巣鴨の貧民街で救済活動を続ける中で1919年1月、前身となる社会福祉施設「マハヤナ学園」を開設した。その後、学園内に勤労女子の自立を支える夜学を開校。第2次世界大戦後は、巣鴨女子高校などと改名し、85年に現在の淑徳巣鴨高校に。男女共学化を経て、96年に淑徳巣鴨中学校が併設され、新たに中高一貫校として再出発している。

5学期制の短いスパンで自己を振り返る

 同校は仏教の教えに基づき、「すべての生徒の無限の潜在的可能性を引き出し、一人一人の自己実現を支援していく」ことを目指しているという。夘木校長は「生徒たちが本来持っている力を最大限に引き出す。そして、教えてもらうだけでなく、自分から気付き、その力を伸ばしていく。これが私たちの目指す教育です」と語る。

 眠っている自分の能力に気付き、生徒たちが未来の可能性を広げていく。その「気づきの教育」には、同校独自の仕掛けが設けられている。

 まず、中高一貫コースでは「3ステージ」制を採用している。「中1・中2」「中3・高1」「高2・高3」の三つのステージで、中学・高校間を途切れさせず、基礎・応用・実践と段階的に力を伸ばすカリキュラムが組まれている。

 さらに、1学年を通常の3学期でなく、5学期に分けているのも大きな特徴だ。3学期制では、期末試験で自分の弱点を発見しても、解決する前に夏休みや冬休みといった長期の休みに入ってしまう。「本校の5学期制では、5月、7月、10月、12月、3月に定期試験を行い、そこで気付いた課題を休みに入る前に授業で解決することができるのです」と夘木校長は話す。短いスパンで自分を振り返り、対応していく仕組みなのだ。

 生徒たちが自己を見つめ直し、可能性に気付くことにつなげるプログラムも用意されている。中学1年の「自分史ワーク」では、家族や教師ら周囲の人に取材して「自分史年表」を作り、未来の自分の姿を絵や文章で表現する。これまでの人との関わり、思い出をまとめることで自分の過去を整理し、肯定的にとらえて、未来につなげていく狙いがある。

 中学2年では、タブレット型端末「iPad」を使い、校内を撮影して学校紹介の動画を編集し、発表する「ムービーワーク」に取り組む。日常の中で自分の好きなものを見つけ、自分らしく表現することで伝える力を磨いていくという。

 そして中学3年では、自分でテーマを選んで「卒業論文」の執筆に挑む。これまで生徒が手掛けた卒論には、「AIと人間の共存」「優しさとは何か」といった難しいテーマから、「運命の人は『ビビッ』と来るのか」「インスタ映えする料理とは」といった身近でユニークなものまで、生徒たちが自分を見つめ、探った多彩な内容があるという。

 このほか、「未来の自分を思い描く機会に」と催されているのが、各界の第一線で活躍する人たちを講師に迎え、講演会や体験学習を行う「スポンサー講座」だ。2017年度には、東京大学教授、テレビ局プロデューサー、漫画家、脚本家、区議会議員、薬剤師、スタイリストなど幅広い分野の専門家が招かれ、15回にわたって開催されている。

盛んなクラブ活動から池江璃花子選手も輩出

学校説明会に集まった多数の保護者たち
学校説明会に集まった多数の保護者たち
生徒たちが学校の魅力を語る
生徒たちが学校の魅力を語る
全国中学校剣道大会の女子団体で優勝した剣道部
全国中学校剣道大会の女子団体で優勝した剣道部

 この日の中学校説明会では、「入試体験」も行われた。教室に集まった小学6年の児童らが、本番さながらの雰囲気の中で各教科の問題に挑戦した。終了後は解説も行われ、社会の担当教師は、「入試では時事問題に関連した問いも出します。教科書で勉強するだけでなく、日頃からニュースを見たり読んだりすることも大切です」など、受験に向けてのアドバイスをしていた。

 淑徳巣鴨の中学入試は、難関の国公私立大学を目指す「スーパー選抜コース」と、幅広い進路選択をサポートする「特進コース」に募集が分かれている。コースごとに特色ある大学受験対策を行っていて、近年は一橋大や筑波大などの難関国公立大、「早慶上理」といった難関私大への合格者数が順調に伸びているという。

 クラブ活動も盛んで、今年度は剣道部が全国中学校剣道大会の女子団体で優勝。バドミントン部も全国中学校バドミントン大会の男子団体とダブルスでベスト16に入った。空手道部はフルコンタクト流派のさまざまな大会で優勝など好成績を収めている。水泳部には、2016年のリオデジャネイロ五輪に出場した池江璃花子選手をはじめ、全国トップクラスの生徒が多数所属し、インターハイや国体、全国中学校水泳競技会などで上位入賞の常連となっている。

 「クラブ活動も、好きなことに思い切りチャレンジし、自分の可能性を見つける機会の一つです。自分が自信を持てること、人にアピールできることを持てば、勉強にも熱心に取り組むようになります」と夘木校長は話す。

 同校は中学・高校を合わせて生徒数約1600人と規模は比較的大きいが、家庭的な雰囲気に包まれているのが特色の一つだ。中学校説明会で学校紹介をした中学生たちも、「先生との距離が近い」「高校の先輩たちとも勉強や部活のことを気軽に話せます」などと自慢げに語っていた。同校が育んできた伝統に共感し、親子3代とも同校の卒業生という例もあるという。

 「以前のように敷かれたレールに乗っていれば、安心して生活できる時代ではなくなってきました。生徒それぞれが一人の人間として、自分に何ができるかを考え、それを実現させる力を中学・高校のうちに身に付けてほしいと思います」と夘木校長は語る。国際化やIT化が進む新しい時代を迎えても、同校が実践する「気づき」の教育は、生徒たちを励まし続けることだろう。

 (文・写真:足立恵子 一部写真提供:淑徳巣鴨中学高等学校)

 淑徳巣鴨中学高等学校について、さらに詳しく知りたい方はこちら

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416346 0 淑徳巣鴨中学高等学校 2019/01/31 12:44:00 2019/01/31 12:44:00 https://www.yomiuri.co.jp/media/2019/01/20190131-OYT8I50001-T.jpg?type=thumbnail

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