6年間の寮生活で努力の楽しさを知る…秀明

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 秀明中学校・高等学校(埼玉県川越市)は、6年間を通した全寮制で独自の理想教育を行っている。この寮生活を体験し、今春社会人になったOGが昨年12月、同校に恩師を訪ねた。在学中の思い出を語り合う2人の会話から、「あえて不自由な環境」に身を置いて自らを磨く、寮という教育環境の特長が見えてきた。

「あえて不自由な環境」で志を持って頑張る

卒業生の内海さん(左)と福川教頭
卒業生の内海さん(左)と福川教頭

 同校を訪ねたOGは2015年に卒業した34回生の内海野乃子(ののこ)さんだ。内海さんは上智大学総合グローバル学部を経て、昨年4月、読売新聞東京本社に入り、広告局で広告営業の仕事に取り組んでいる。内海さんの中1、高3時代の担任だったのが、国語科教員の福川章子教頭。久しぶりに顔を合わせた2人は、当時に返ったように話を弾ませた。

 福川教頭(以下、敬称略) 当時からよく笑う人でしたね。規律の厳しい寮生活で、勉強に追われながらも前向きに頑張っていた頃を思い出します。

 内海さん(同) 今思っても、朝から晩まで勉強していた印象が強いです。7時間の授業後、寮で食事してから再登校し、3時間の授業や自習。携帯電話は学校に預けっぱなし。テレビも、今は夜の自由時間に1時間ほど見られるそうですが、当時は食事の時間にNHKが見られるだけでした。家に帰るのは金曜の午後から月曜の朝まで。でも「(つら)い」というより、「勉強できる時間が確保されている」という感覚が強かったですね。

 福川 物もお金も豊かな時代に、あえて不自由な環境で志を持って頑張る。仲間との切磋琢磨(せっさたくま)を通じて、社会性や自立心を身に付ける。6年間を寮で暮らす学校生活は、それなりに覚悟がいるので、入学面接では本人の意思を確認します。内海さんはどうして秀明に入学しようと思ったの。

 内海 一人っ子のせいか、親と離れて友達と生活を共にする全寮制に憧れがありました。それに学習環境の充実やイギリス研修にも魅力を感じ、小学生ながらに「成長できそう」と思ったんです。最初はホームシックにもなりましたが、割とすぐ適応して「この環境でどう挑戦しようか」と考えるようになりました。ただ一つ、早朝の運動は最後まで辛かった。毎日6時半に起きて、学校の敷地の周りをランニング。3キロ・メートルくらいでしたかね。

 福川 実際は1.2キロだそうですよ。

 内海 そうなんですか。本当に朝が苦手で、同室の友達の助けでなんとか起きていました。でも、結局サボることはなかったなあ。

 福川 なんだかんだ言いながら、決めたらやるのよね、あなたは。

 内海 自分でも負けず嫌いなところはありますね。

「小さな目標」を絶対実行することは今も癖に

食堂に足を運び、一緒にランチを楽しむ
食堂に足を運び、一緒にランチを楽しむ

 福川 学校では、進路や将来といった「大きな目標」と、当面取り組む「小さな目標」を意識するように教えています。

 内海 「小さな目標」がとても励みになりました。定期試験や小テストなど色々ありますが、特に「秀明博士」ですね。各教科で学期ごとに学年3位以内に入るともらえる称号です(現在は2位以内)。得意な国語で最初に獲得し、「次は苦手な数学、次は……」というように。毎日の目標や予定を書き込む「自学自習ノート」が役立ちました。「小さな目標を立て、絶対実行する」は、今でも癖になっています。

 福川 苦手克服のため、担当の先生の所に毎日のように来ていましたね。

 内海 それがやりやすいのも、寮生活の利点です。放課後の夕食前に分からないことを聞きに行きました。

 福川 6年間で5教科すべて制覇しましたね。うれしい時はすごく喜ぶので、教えがいのある生徒でした。

 内海 頑張っただけ結果に返ってくるのが楽しく、厳しさや辛さが気になりませんでした。試験前は、週末も家に帰らず寮で勉強していました。

 対談の途中、2人は寮や食堂に足を運び、「よく家に電話をかけた」という寮の入り口の公衆電話や、文具、菓子、軽食などを買った購買を、懐かしげに見やった。

 内海 食べることが一番の楽しみ。空き時間にはお菓子ばかり食べていた気がします。特に中華まんが人気ですぐに売り切れるので、放課後にみんな大急ぎで買いに行く。「中華まんダッシュ」という言葉もあったくらいです。

 福川 中華まんダッシュ、今もやってますよ。「一人でたくさん買い占めないように」というルールも作ったり。

 内海 食堂のメニューではカレーが人気で、私も大好きでした。夜間学習後のヨーグルトやポテトチップスなどの夜食も楽しみでした。

 福川 学校でも食は重視し、食堂には免許を持った調理師と管理栄養士を常駐させ、国産食材を使い、味付けにもこだわっています。生徒にも評判が良いですよ。

 福川 進路のことも、いろんな先生に相談していましたね。

 内海 初めは全く白紙で、「何をどう考えたらいいですか」から相談しました。中高生は悩みが増える時期なので、授業の質問から日々の相談事になっていくことも多かったです。いつでも先生に相談できるのはとてもいい環境でした。

 福川 本校は医療系の進学を目指す生徒が多く、「受験のハードルが高い」「親の言う通りに家業を継いでいいのか」「他にやりたいことができた」など、勉強と人生が絡み合った悩みも少なくありません。個別に相談に乗る一方、保護者との「共育」も重視し、密に連絡を取り合って生徒の状況を共有し、問題があれば早めに対処します。

 内海 私は国語が得意だったので、文系の上位を目指そうと上智を第1志望にしました。それに、以前から海外のことに関心があったので、世界のことが学べればと総合グローバル学部を目指しました。

 福川 でも、英語には苦労していましたね。

 内海 実は大の苦手でした。克服のきっかけになったのはイギリス研修です。ホームステイ先に一人で滞在したものの、コミュニケーションが全然うまくいきませんでした。でもその悔しさをバネにして高校で英検2級を取り、大学でもアメリカに半年間留学しました。

 福川 そこでも負けず嫌いが発揮されましたね。

「6年間の寮生活」アピールして就活を突破

毎日の目標や予定を書き込む「自学自習ノート」
毎日の目標や予定を書き込む「自学自習ノート」

 内海 私はもともと意志が弱く引っ込み思案な子供でしたが、秀明の6年間で忍耐力と継続力、コミュニケーション力が育ち、「やると決めて努力すれば絶対にできる」と自信が持てるようになりました。

 営業の仕事を志望したのも、寮生活で人と関わり、対話する楽しさを知ったことが大きいです。家で読売新聞を購読しており、父の仕事の影響で広告業界にも関心があったので、狭い門ですが「読売の広告営業しかない」とあえて1社に絞りました。社員の方が登壇する説明会などに必ず出向いて、その方に会いに行って「入りたいんです」とアピールし、面接では「人生の土台になった6年間の寮生活」を語って、私の人間的な面に目を向けてもらいました。これが入社の決め手になったと思っています。

 福川 入社の報告を聞いたとき、「ああそうだ、こういう子だった」とあらためて思いました。これからどんな仕事をしていきたいですか。

 内海 秀明で手に入れた強みを、今後も生かしたいです。やりたい仕事を「任せてほしい」と食らいつき、やりとげるまで離さない。「頑張れば結果が出る」と自信が持てたからこそできる働き方だと思います。

 福川 親戚のお子さんにも、秀明を薦めてくれましたね。今は高3で、医療系の大学を目指して頑張っています。

 内海 「成長できる環境が整っている。厳しいけど、やる意志があるならおすすめ」とアドバイスしました。この言葉を、中学受験を考えている皆さんにも送りたいです。

 (文:上田大朗 写真:中学受験サポート)

 秀明中学校・高等学校について、さらに詳しく知りたい方はこちら

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1013500 0 秀明中学校・高等学校 2020/01/23 05:22:00 2020/01/23 05:22:00 https://www.yomiuri.co.jp/media/2020/01/20200122-OYT8I50007-T.jpg?type=thumbnail

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