「男子の成長のきっかけは、AIにだって分からない」…日大豊山

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 毎年500人近い卒業生を送り出す日本大学豊山中学校・高等学校(東京都文京区)は、大学進学や将来の仕事を考えてもらうさまざまな仕掛けを学校生活の中で充実させている。2012年度の卒業生で、今年司法試験に合格して母校を報告に訪れた河合光雄さんに、中高の6年間に受けたさまざまなキャリア教育や在学中の思い出を、恩師らと語ってもらった。

さまざまな成長のきっかけを6年間にちりばめる

司法試験に合格した卒業生の河合さん
司法試験に合格した卒業生の河合さん

 日大豊山を2012年度に卒業した河合光雄さんは、中学受験で同校に入学して6年間を過ごした後、慶応大学法学部に入学した。3年生の時に北京大学で1年間の交換留学も経験し、帰国後、慶応大学大学院法務研究科を18年度に卒業して、19年の司法試験に合格した。

 「僕は国際弁護士を目指しています。経済弁護士として日本、中国、米国の3か国を経済で取り持っていく中で、平和に貢献したいと思っています」と抱負を話す。

 「今はこんなに立派になっていますが、本当に英語ができなくて私を困らせましたね」と、6年間英語を教えた真利久ファルハン教諭が笑う。「中1のテストで犬を『bog』と解答したりして、bとdの区別さえついていなかったんですから」

 河合さん自身も、「中学に入学した初日、後ろの生徒とふざけて、先生に早速怒られたのを覚えています。中学の頃のテストはいつも一夜漬けで、最低限しか勉強しなかったです」と頭をかく。

 現代社会を教えていた広報部長の田中正勝教諭も、「彼のように幼かった少年が、何かきっかけを見つけると急に成長していきます。ですから、本校では、さまざまな成長のきっかけを6年間にちりばめています」と話す。

 同校のキャリア教育の一番の特色は、早くも中3で、日本大学の学部見学を行うことだ。早い時期から大学を意識することで、学部のミスマッチを防ぐ狙いがあるという。付属校ならではの大きなメリットと言える。

 「世の中では、大学に入ったものの学部選びを間違い、やめてしまう学生がいると聞きます。早いうちから大学を実際に見学して、自分が何を目指すのか、何を学びたいのか考えてほしいのです」と田中教諭は話す。

中3の学部見学で、日大の理工学部を見学する生徒たち
中3の学部見学で、日大の理工学部を見学する生徒たち

 中3のとき、河合さんは理系に進もうと考えて、理工学部の見学に行ったが、その後、数学が苦手になったこともあり、高1くらいから法律を学ぼうと考えが変わったという。「学部を見学した上で、先生のアドバイスもあってよく考え、文系を選択したのが良かったと思っています」

 同校では中3から、日本大学への推薦を目指す「進学クラス」と、難関大学を目指す「特進クラス」に分かれ、高2からは、さらに文系と理系に分かれる仕組みを取っている。

 河合さんは、中学の時は進学クラスだったが、高1からは難関大を目指す特進クラスを選択した。きっかけは成績の掲示だったという。「テストの上位30位の名前が校内に掲示されるのです。自分の努力が可視化されて、成績が上がっていくのが楽しくなって、勉強するようになったのです」

 成績が上がっていくと、他大学に挑戦しようという気持ちが膨らんだ。「どうせやるなら上を目指そうと、慶応大学のFIT入試を目指しました。知的財産管理技能検定3級を目指したのもその頃です」

 真利久教諭は、「担任として見ていて、学校の授業とは別に勉強を始めている姿に成長を感じていました。最初は特進クラスの中でも成績は下の方だったのですが、どんどん伸びていきましたね」と振り返る。

委員会活動や部活動も大きな成長につながる

在学中の思い出を語り合う真利久教諭(左)と河合さん
在学中の思い出を語り合う真利久教諭(左)と河合さん

 高校に進んで学力を高めていくのと並行して、河合さんは委員会活動に打ち込んで、先生たちも認めるリーダーシップを身に付けていった。

 「僕は高1、高2と風紀委員長をやりました。あまり注目されない委員会をどうやって盛り上げようかと考えて、さまざまな活動をしました」

 特に河合さんが大きな力を発揮したのは文化祭の警備だった。予算をとり、トランシーバーを10台以上購入して、校舎全体を見回り、来場者の誘導や出演者のサポートを行ったという。真利久教諭も、「その時の指示や人員配置のスケジュールなどが的確で素晴らしかったのです」と評価する。

 文化祭の後も、河合さんが真価を発揮したエピソードがある。菓子メーカーのキャンペーンに応募して当選した同校に、アイドルグループが来ることになった。生徒で作っていたグループの解散コンサートがあったので、このアイドルグループをサプライズゲストとして呼ぶことになったそうだ。

 「アイドルが来ることが事前に広まってしまうと、混乱が起きかねないので、風紀委員長の河合君や一部の生徒にしか知らせませんでしたが、彼は完璧な警備を指揮してくれました。冷静で合理的判断ができ、裏方を支えられるリーダーに成長していったのです」と真利久教諭は目を細める。

 河合さんは「日大豊山は、委員会でも何でも自由にやっていいよという雰囲気なんです。だから、のびのびやりたいことができて楽しかった」と懐かしそうに振り返る。

世界に触れる体験で、視野を広げる

「男子はどこに成長のきっかけがあるか分からない」と話す田中教諭
「男子はどこに成長のきっかけがあるか分からない」と話す田中教諭

 河合さんが国際弁護士を目指そうと思い立ったきっかけも、すでに中高時代にあった。「それは高2の夏に参加したケンブリッジ研修です」。このプログラムでは、日本大学の各付属校から選抜された生徒が参加して、ケンブリッジ大学で寮生活をしながら勉強する。

 「いつもの環境から離れて、世界から刺激を受けました。この研修で視野が広がり、積極的に外の世界に出ようという気持ちが出てきました。大学時代に北京大へ留学したのも、この経験が土台にあったからでした」

 田中教諭は、「河合君の参加したケンブリッジ研修のほか、語学研修ホームステイや、海外修学旅行など、世界に触れる経験をたくさん用意しています。こうした経験が生徒の視野を広げ、人生を大きく変えることもあります」と話す。なかには、海外大学へ進学する生徒もいるという。

 河合さんは在学中を振り返って、「意識的に自分を変えようとは思っていませんでしたが、6年間いろいろな友達や先生と関わる中で、次第に変わっていったと思います。成長のきっかけがいろいろなところにちりばめられていました」と語る。「そして、男子校なのが素晴らしく良かった。良くも悪くも、ありのままの自分を思い切り出せました」

 真利久教諭は、「河合君たちの学年は、個性的な仲間が多かったのですが、ちゃんとみんな居場所があって、学校生活を楽しんでいましたね。卒業式では、どうしても『仰げば尊し』を歌いたいとみんなで企画してくれて、先生も生徒も号泣でした。そのくらい河合君は学校生活を(おう)()していました」と語る。

 田中教諭は、「男子の成長って、AI(人工知能)がどんなに進歩しても想定できないと思うんです」と笑う。「どこに成長のきっかけがあるか分からないから、キャリア教育やグローバル教育など、さまざまな仕掛けをしていますが、やはり仲間や先生との関係の中で育っていくのだと思っています。彼の中高時代の仲間は、今、公務員から芸能人まで、幅広く活躍しています。今、人生のスタートラインに立った河合君には、すでに仲間たちという支えがあるのです」

 同校で学ぶ多くの生徒たちも河合さんのように、日々の学校生活の中から自分の将来の夢を見つけられるに違いない。

 (文・写真:小山美香 一部写真提供:日本大学豊山中学校・高等学校)

 日本大学豊山中学校・高等学校について、さらに詳しく知りたい方はこちら

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967665 0 日本大学豊山中学校・高等学校 2019/12/24 05:21:00 2019/12/24 05:21:00 https://www.yomiuri.co.jp/media/2019/12/20191223-OYT8I50067-T.jpg?type=thumbnail

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