英語でディベート 大学入試改革を控え…城北埼玉

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 城北埼玉中学・高等学校(埼玉県川越市)は、大学入試改革でセンター試験に代わる新テストが2020年度入試から始まるのを前に、受験1期生の現高校1年を対象に3年前から英語の授業カリキュラムを一新。「読む・聞く・書く・話す」の4技能を向上させるため、外国語指導助手(ALT)による授業を中学1年から各学年に導入し、英語でディベートができるレベルを目指している。

「書く・話す」など4技能 ALT指導で鍛える

生徒にアドバイスするALT
生徒にアドバイスするALT

 大学入試改革では、現在の大学入試センター試験に代わり、2021年1月に「大学入学共通テスト」が行われる。英語では従来の「読む」「聞く」に、新たに「書く」「話す」を加えた総合的な4技能の力を測るため、英検やTOEFLなどの民間試験を導入。共通テストでは、当面は従来型のマークシート式試験と併存させ、25年から民間の検定試験に全面移行する予定になっている。

 城北埼玉では、新テストの受験1期生となる現高校1年が、中学に入学した2015年度から、英語のカリキュラムを全面的に見直した。その柱の一つが、外国人のALTと日本人英語教師によるチーム・ティーチング(TT)方式の授業を中1から高3の全学年に導入。中学1年から学年ごとに週1時間ずつ組まれ、段階的にレベルアップしながら、最終的に「高校生の間に英語でディベート(討論)ができるようになる」ことを目標としている。

 英語でのディベートに着目した理由について、英語科主任の野澤茂雄教諭は、「『読む・聞く・書く・話す』の4技能すべてを駆使するのがディベート。新しい入試制度に対応するのに最適だと考えました」と話す。そのため同校では、ディベート教育の専門的スキルを持つALTを新たに採用したという。

主張と反論 一つのテーマで3ステップ授業

ALTが反論の仕方を実演する
ALTが反論の仕方を実演する

 城北埼玉中に入学後、新カリキュラムで英語を3年間学んできた高校1年の生徒たちが、この春から、いよいよ実際にディベートの授業を受けている。

 授業では、一つのテーマごとに三つのステップを設けている。1回目の授業は、まず自分の主張をまとめる「Opinion」。2回目は相手の主張に反論する「Attack」。そして3回目で、自分への反論に切り返す「Defense」の授業が行われる。

 ディベートの授業が始まった当初の4~5月は、「サッカー、柔道、野球のどれが好き?」「犬と猫のどちらが好き?」など好き嫌いをテーマに、まず英語による自己アピールに慣れることを目指し、6月からは実際に意見をぶつけ合う討論形式を取り入れ始めたという。

 6月上旬、高校1年C組の教室をのぞくと、「映画とテレビ番組、どちらが良い?」をテーマにシリーズ2回目の授業が行われていた。

 前の週の1回目の「Opinion」の授業では、「映画」「テレビ番組」それぞれの制作費・スタッフ数、観賞に必要な経費などをまとめた資料が配布され、それらを参考に生徒たちは、どちらを支持するか自分の意見をワークシートに書いた。

 取材に訪れた2回目の「Attack」の授業では、冒頭15分ほど、ALTが反論の仕方について説明。反論には、相手の主張が「テーマの本質を捉えているか」などを問う「Value attacks」と、「事実かどうか」などをただす「Probability attacks」の二つがあるという。

ペアで向き合い討論 「難しかった」初体験の高1

 説明の後、生徒たちは机を並び替え、2人ずつペアを組んで向き合い、討論を始めた。前回の授業でまとめた自分の主張を互いに英語で読み上げてから、日本語で説明。それからワークシートを交換し、相手への反論を書き込んだ。ワークシートには、「君は(  )と言うが、私はそれが重要なポイントとは思わない。なぜなら(  )だから」など、ディベートの基本に沿って記入欄が設けられている。

 授業中、ALTの外国人教師2人と日本人教師が席の間を回り、生徒の質問を受けたりアドバイスをしたりしていた。回収されたワークシートはALTがチェック。記載された反論について評価を加え、後日返却するという。

 基本的なディベート形式に沿った授業を、初めて体験した勝見(かつみ)知峻(ともたか)君は「反論を考えるのは難しかったです。先生に何度も質問しながら、何とか書きました」と振り返った。

 続く3回目の「Defense」の授業でこのテーマは終了。その後は「メガネとコンタクトレンズ、どちらが良い?」「歴史と数学、どちらが良い?」などのテーマで進められる予定という。指導するALTのスコット・エイキン講師は「まだ最初なので、ディベートのルールについては、あまり厳格に言いませんでした。今後は、『必ず一つ以上のデータを使う』『ルールに則って主張する』など課題を増やしていきます」と話していた。

学年ごとに行われるイングリッシュキャンプ
学年ごとに行われるイングリッシュキャンプ

 同校では学年ごとに英語研修合宿「イングリッシュキャンプ」が行われているが、11月の高1のキャンプでは、生徒全員が競うディベート大会も催される予定。ディベートのトレーニングは高校2年以降も続けられ、英語の4技能にさらに磨きをかけていくという。


英会話やプレゼン力 中学3年間で基礎学ぶ

力の入るディベート大会
力の入るディベート大会

 高校からのディベートの授業に対応できるように、中学の3年間では、英語の基礎的な会話力やプレゼンテーションなどのスキルアップを図っている。

 中学1年でのALTの授業では、ジェスチャーを交えたゲームで英語に親しんだり、外国人に道案内する課題に取り組んだりして、英語での基本的なコミュニケーションに慣らしていくという。中1の生徒たちに聞くと、「知らない言葉も出てきて、初めてのことに挑戦するのが楽しい」「英語を勉強すると、ほかの国の文化に触れられる」「大人になっても役に立つと思う」と、それぞれ興味を感じている様子だった。

 中学2年になると、ALTの授業では、特に英語でのプレゼンテーションに力を入れる。好きなスポーツ選手や行きたい国など、自分について人前で伝えられるようにプレゼンテーション用の資料を作成し、発表する。

 中学の「イングリッシュキャンプ」では、学年ごとにテーマを設けている。中1は教師やクラスメートに質問して人となりをつかみ、第三者に紹介する課題に挑戦。中2では、ALTが重要単語で作成したオリジナル英文や、教科書の課題文を音読するトレーニングを行い、発音や単語力を鍛える。中3は福島県の英語研修施設「ブリティッシュヒルズ」で合宿し、様々なアクティビティーを通して実践的なコミュニケーション力を付けるという。

オンライン英会話も導入 GTECスコアが上昇

3人のALTがついて授業を行っている
3人のALTがついて授業を行っている

 通常の授業でも、特に「聞く・話す」の技能を向上させるため、教師と生徒が英語で質疑応答をするなど、英会話の実戦訓練にも力を入れている。

 高校では、昨年の夏期講習からインターネットによるオンライン英会話を取り入れた。1回25分間で4日間、海外のネイティブ講師のレッスンを受ける。高校英語科担当の林克明教諭は「生徒の中には最初は気が進まなかったけど、受けたら楽しくなり、春休みにリピート受講した者もいました。全体的に英語へのモチベーションが高まったと思います」と手応えを感じ、今後は中学の授業への導入も検討しているという。

 高校1年の木村(きむら)滉亮(こうすけ)君は最近、スクールバスが発着する西武新宿線・本川越駅で、外国人に観光スポット「小江戸通」への道順を聞かれたという。「時間もあったので目的地まで案内してあげました。ふだん授業でやっていることを生かし、英会話にも挑戦しました」と話す。

 成果はデータにも表れている。同校では、中高生対象のスコア型英語4技能検定「GTEC for STUDENTS」を全校で受験しているが、特に、新カリキュラムで学んできた現在の高1から、顕著なスコアの伸びが見られるという。

 「これまでの取り組みがさまざまな面で実を結んでいます。(大学入試改革後の)受験でも飛躍が期待できると思います」と、野澤教諭は自信をのぞかせた。

 (文・写真:上田大朗、一部写真提供:城北埼玉中学・高等学校)

 城北埼玉中学・高等学校について、さらに詳しく知りたい方はこちら

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40292 0 城北埼玉中学・高等学校 2018/09/07 05:20:00 2018/09/07 05:20:00 https://www.yomiuri.co.jp/media/2019/01/20180904-OYT8I50063-T.jpg?type=thumbnail

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