部活動を通し、良き社会人へと自分を磨け…城北埼玉

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 城北埼玉中学・高等学校(埼玉県川越市)は、部活動を人格教育の一環と位置付けて奨励している。部・同好会の数は運動系20、文化系29と多彩で、加入率も中学9割、高校8割と高い。今回は運動系部活の中から、一昨年発足した自転車同好会と、歴史ある少林寺拳法部を紹介する。

身に付けた力は社会に出てからも大きな財産

 「本校では人間形成と大学進学指導を教育の2本柱としておりますが、そのうちの人間形成において、部活動は大きな役割を果たすと考えます」。部活動の教育的な狙いについて、入試広報部の奥貴行教諭はこう語る。

 「部活動では、クラスメートのような友達関係に縦のつながりが加わり、校内外の人々との交流やマナーを学ぶことも必要となります。日々の活動が、良き社会人としての訓練になるわけです。文化系の部活動は自己の興味領域の探究や創作が、個性や能力の発現を促し、運動系は地道な練習やチーム内の支え合いを通して、やり抜く力を育てる。いずれも、社会に出てから大きな財産となります」

 勉強との両立も気になるところだが、同校では「武を尊重した文の優先」をモットーに掲げており、学力向上への配慮も怠りない。

 「部活動は午後5時50分終了とし、勉強の時間を確保します。生徒によってはその後、校内で自習や講習に取り組みます。部活と勉強どちらも頑張る習慣の積み重ねで、自主性や自己管理能力、集中力を付けていきます。実際のところ、部活動に熱心な生徒は勉学でも好成績を挙げる傾向があります。本校において、勉学と部活は密接に結びついているのです」

「自分の力でこんな所まで」自転車同好会

自転車同好会顧問の木下幸一教諭
自転車同好会顧問の木下幸一教諭

 自転車同好会は2017年に発足した。顧問の木下幸一教諭は、7年前から健康づくりと趣味を兼ねてロードバイクを楽しんでいたが、生徒の「やってみたい」という声に応えて同好会を作った。

 「好奇心旺盛な生徒が多いせいか、初年度から結構、部員が集まりました」。現在、部員は中学7人、高校12人の計19人だ。

 活動は月・火・水・土の週4日。取材当日には学校の周りの道路(1周2km)を周回するトレーニングを行っていたが、その他にも近隣の彩湖や榎本牧場、ホンダエアポート、荒川サイクリングロードなど、20~50キロメートルの道のりを日常的に走る。日曜などには自由参加のロングライドも行うという。

学校の近辺の道路を周回してトレーニングする自転車同好会員たち
学校の近辺の道路を周回してトレーニングする自転車同好会員たち

 「秩父の正丸峠や弓立山を走ったり、往復約100キロメートルほどの葛西臨海公園や東京ディズニーランドに行ったりもします。すごい距離に感じますが、やってみると意外と走れるし、達成感が高い。人力で最も速い移動手段という点も、生徒たちの心をつかむようです」

 5月、10月には学校対抗の県大会。6月の「Mt.富士ヒルクライム」や8月の「筑波8時間耐久レース」など一般のレースにも参加する。昨年の筑波では、参加クラス「AB」で優勝、準優勝に輝いたという。

 部員の椎橋奏斗君(高3)は、中3の時にクロスバイクを買ってもらった。埼玉県所沢市の自宅から50キロメートル以上離れた同県小川町まで走った。「自力でこんな所まで行けるんだ」と夢中になって、同好会が設立された時に入会した。現在はチームとしての活動にも魅力を感じているという。

 「メンバーは力にばらつきがあるので、力のある者が風よけとなってチームを引っ張るなど、補い合う工夫をします。また、他チームに声をかけて危険を知らせることもあり、競技者全体の仲間意識も生まれます」

 勉学との両立については、「勉強時間が少ないという焦りがかえって努力のきっかけになり、短い時間に集中したり、『あと1時間頑張ろう』と粘ったりできるようになりました」。

 奥教諭が語った「武を尊重した文の優先」を、生徒もしっかり意識しているようだ。

 次期部長候補という高2の荒木優一郎君は、部活をやめていた中3のとき、担任だった木下教諭に勧誘を受けた。荒木君は「それまで自転車に関心はなかった」というが、入会するとすぐに夢中になった。

 荒木君は自転車同好会の魅力は「多様性」という。「レースを目標に頑張る人も、サイクリングを楽しむ人もいる。僕はレースにも出ますが、沿道の緑を楽しんだり、目的地で遊んだりするのも好きですね」。他の部や生徒会との掛け持ち部員も多いが、「みんな、うまく自己管理して複数の活動を楽しんでいます」と話す。

 同好会の活動を通して荒木君は協調性を身に付けたともいう。「公道を走るので安全第一。『自分のことよりまず周りから』という意識がつきました」。この夏、部長に就任する予定だ。「少し規律を取り入れて、気楽な部分をちょっと引き締めたいと思います」と早くも抱負を語った。

地道な反復練習で技と心を鍛える少林寺拳法部

同校部活のOBでもある、少林寺拳法部顧問の谷嶋良夫教諭
同校部活のOBでもある、少林寺拳法部顧問の谷嶋良夫教諭

 次は1982年に創部した少林寺拳法部を見てみよう。同部は中学14人、高校12人の計26人からなる。顧問の谷嶋良夫教諭は創部4年目の部員であり、部員たちのよきOBでもある。

 「入部するのは、体格に恵まれた生徒ばかりではありません。運動が苦手で『自信を持ちたい』という生徒も多い。そうした子でも、高2の秋の新人大会には初段を取り、黒帯で出場できることを目指します」

 活動は水曜を除いて毎日だが、中・高ともに大会は年に6、7回あり、その合間に昇級・昇格考試もある。もちろん勉学との両立も必要だ。日々忙しい中で、着実に技量を上げるにはどうするか。

 「地道な反復練習しかありません。先輩を真似(まね)ながら一緒に体を動かし、基本の形(かた)を体で覚えます。指導をきちんと守れば伸びる。独りよがりで動くと、むしろ上達の妨げになります」

技量を上げるために地道な反復練習に励む少林寺拳法部員たち
技量を上げるために地道な反復練習に励む少林寺拳法部員たち

 指導の確かさは、全国レベルの入賞実績が裏付けている。昨年度は「全国高等学校少林寺拳法選抜大会」の男子団体演武で準優勝、17年度は「少林寺拳法世界大会」に出場し、男子単独演武級拳士の部で3位を勝ち取った。

 主将を務める高3の出山文策君は、元々「運動が苦手で泣き虫」だったという。入学時に部活紹介を見た両親に、「適度な緊張感と部員同士助け合って努力する雰囲気がいい」と勧められて入部した。地道な練習を積んで上達してきた経験から、「少々のことには負けない精神力が付いた。部での経験は社会に出ても役立つはず」と自信を語った。

 中学部長を務める中3の木幡泉希君は、小学生時代から少林寺拳法をやっていた。「入部した頃は、改めて基本をやることに意味を感じられませんでした。でも、先生や先輩の指導は理にかなっており、言う通りにやったら確かに上達できました」

 自分を成長させてくれた部への愛着を持ち、指導に協力するOBも多い。取材当日も、世界大会や全国大会での入賞経験を持つOBの大学生が指導に来ていた。

 「コツコツ努力する意味や、そこから得られる達成感を学んでほしい。そして数年後、後輩にそれを伝えに戻ってきてくれるとうれしいですね」と、谷嶋教諭は目を細めた。

達成感を経験し、自己肯定感を育む

 自転車同好会と少林寺拳法部は、歴史の長さが異なるが、日々の活動が達成感や自己肯定感をもたらし、成長を促すことでは共通している。奥教諭は、これも「人間形成の重要なポイント」と話す。

 「現代の日本には、自己肯定感を持てない子供が多いといいます。だからこそ、『自分はこれだけできるんだ』という達成の経験は重要です。本校の森泉秀雄校長が度々言う言葉ですが、『医者は悪いところを見つけて治し、教員は良いところを見つけて伸ばすのが役目』。好きなことに打ち込み、仲間と励まし合って成長できる部活動は、大きな学びと言えるのではないでしょうか」

 「文武両道」を目指す学校は少なくないが、中でも城北埼玉では「文」と「武」が互いに補い、高め合う関係が確立されているように感じた。

 (文:上田大朗 写真:中学受験サポート担当)

 城北埼玉中学・高等学校について、さらに詳しく知りたい方はこちら

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661397 0 城北埼玉中学・高等学校 2019/07/01 05:21:00 2019/07/01 05:21:00 https://www.yomiuri.co.jp/media/2019/06/20190627-OYT8I50007-T.jpg?type=thumbnail

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