【特集】オリジナル予定帳で自己管理の基本を身に付ける…城北埼玉

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 城北埼玉中学・高等学校(埼玉県川越市)は、生徒の自己管理能力を育てるため、中1と中2にオリジナルのスケジュール帳「JSノート」を使わせている。このノートは導入以来、約10年間、生活指導上の使い勝手や生徒の声をもとに、少しずつ改良を続けているという。中1クラスの副担任を務める出合英之入試広報部長に、ノートの特色や活用法を聞き、実際に使っている生徒たちの感想も聞いた。

年々改訂を重ねてきたオリジナル仕様

JSノートと生徒の成長について話す出合入試広報部長
JSノートと生徒の成長について話す出合入試広報部長

 出合教諭によると、「JSノート」を導入したのは「生徒の忘れ物が多い」という指導上の課題が発端だったという。「翌日の持ち物リストを配ったり、家庭との連絡ノートを作ったり、試行錯誤した末、当時の中1の学年主任の提案で、生徒の自主的な生活管理のためのスケジュール帳を作ることにしました」

 市販の物を使わずオリジナルの仕様にしたのは、実際の指導状況に合わせるためだ。「一般のダイアリーは土日の欄が小さい。本校は土曜も平日同様に授業があり、日曜の家庭学習も重視しているので、平日と同じスペースが欲しい。また、中学生は毎日の連絡事項を一覧できる方が分かりやすいなどの事情も踏まえ、『学校で使いやすいものを作ろう』ということになりました」

 そうして生まれた「JSノート」は、B5判より短辺がやや長く、学校のプリントが貼れるサイズだ。あまり厚くするとページのとじが外れやすくなるため、1学期で1冊(72ページ程度)とした。

 「JSノート」の記入欄は1週間分が見開きとなっている。最初に1週間の予定記入欄があり、日ごとの記入欄にはホームルームの連絡事項を受けて書く「連絡・準備・宿題」欄、家庭学習の教科・内容・時間を書く欄、その日の「日記」、そして「起床」「家庭学習開始」「就寝」という三つの時刻の記入欄がある。「この三つの時刻を毎日できるだけ同じにする『3点固定』を生活指導の基本にしています」と出合教諭は強調する。

 生徒は就寝前や朝のHRの際、「JSノート」に記入し、毎朝、担任に提出する。担任はクラス全員のノートを空き時間にチェックし、検印やコメントを入れて下校時に返す。「JSノート」を使っているのは主に中1、中2生で、自己管理の基本が身に付いた中3生以上は各自市販のスケジュール帳を使っている。

 記入欄の構成は、生徒の使い勝手や指導の便宜に合わせて改訂している。毎年年度末に中1、中2の担当教員で会議を行い、これまでに5回の改訂を行ったそうだ。

 「日記」の書き込み欄は当初1行だったが、後に2行に増やした。「日記は出来事のキーワードだけでなく、自分の気持ちを入れた文章にするよう指導しているので、2行は必要だろうと考えました」

 家庭学習欄の大きさもかつては毎日4行だったが、平日は3行に減らした。「平日の家庭学習は夜なので、4科目を前提にするのは負担だろうと3行にしました。日曜は時間があるので4行のままです」

 また今年度から、巻頭に学期と長期休暇分の月間予定表を追加した。「従来は月間予定表をプリントで配り、巻末の空欄ページに貼るようにしていましたが、記入する毎に1度は見るようにと巻頭に設けました。自分で書き込むことにより、先々の予定を意識し、自律的・計画的な行動ができるようになれば、という考えです」

記録することで自分の暮らし方と向き合う

JSノートは生徒が「3点固定」を習慣付けるのに役に立っている
JSノートは生徒が「3点固定」を習慣付けるのに役に立っている

 「JSノート」は、生徒の自己管理ツールであるだけでなく、教員が生徒の暮らしぶりや気持ちを把握するためにも重要な役割を果たしている。

 「まずチェックするのは『3点固定』の時刻に乱れがないか。そこで大まかな生活ぶりが分かります。また、『日記』の文面にトラブルや悩みの兆候が含まれていることがあります。必要と感じればコメントで生徒と面談の時間を決め、早めに対応するようにしています」

 夏休みの3者面談や試験終了後などに行う定期的な面談も、「JSノート」を見ながら行う。「成績が下がった科目は、学習量が少ないことが多い。家庭学習の欄に書いてあっても、聞いてみると『教科書を見ただけ』だったりします。そうして原因と結果を生徒と共有した上で、学習指導を行います」

 「日記」欄は、生徒と教員が対話を交わす場にもなっている。「好きな物事や本などの話が出れば、『こういうのもいいよ』と勧めますし、真面目な話には、もちろん真面目にコメントします。書いてきたことは否定せず、同意しながら激励することに努めます。1クラス30人以上いるので毎日見るのは大変ですが、生徒の個性も分かるし、毎日全員とコミュニケーションできる。教員の楽しみでもあります」

 担任が休みの日は副担任がノートをチェックし、コメントで対話を行う。また、英会話授業の前の日にはネイティブの教員がチェックを担当する。「日記」とコメントは英語で書かれ、授業で取り上げることもあるという。

 出合教諭は「『JSノート』は確かに生徒の成長につながっているという手応えを感じます」と話す。「毎日の記入を通して自分の暮らし方と向き合い、自己管理や時間管理を意識するようになります。また、ウソをつくとノートとの整合性が取れなくなるので、『やっていない』『分からない』などと正直に言うようになります。成長の様子は、宿泊行事にも表れます。中3担当時に修学旅行の引率を行いましたが、皆、時間を守るし、自己管理もしっかりしており、ほとんど注意する必要がありませんでした」

 書き終わった「JSノート」は、その学期の成果物と共に生徒に返却する。「学習や学校生活をまとめたポートフォリオになります。ノートを見直しながら『これだけのことをやったんだなあ』と感慨深げな顔をする生徒もいます」

先生も舌を巻く生徒たちのノート活用法

オリエンテーション合宿でJSノートの使い方を学ぶ生徒
オリエンテーション合宿でJSノートの使い方を学ぶ生徒

 生徒は「JSノート」をどう捉え、どう活用しているのだろうか。中1の彼島大貴君は「『これだけ勉強した』と確認できて達成感があるので、宿題だけでなく予習、復習もやるようになりました。記入は数分間で終わるので面倒ではないし、一日の振り返りができるのも面白いです」と話す。学習の習慣付けに役立っているという印象だ。

 同じく中1の小鉢雄大君は、「予定を書き込んで眺めながら一日の過ごし方を考えます。また、1週間の予定を見渡すと十分にできていない科目が分かるので、次の週に力を入れてやります。家庭学習の時間配分もしやすいです」と話す。そのうえでさらに「予定をタイムテーブルのように書き込める欄が欲しい」と欲張りな注文を付けた。

 中2の島田智史君は、「全部の欄を埋めるのを楽しんでいます」と話す。「宿題の提出日などを前提に勉強の予定を組んでいくと、日によって結構空き時間があると分かります。そこを苦手科目などの自主学習に使うようになりました」と積極的な活用ぶりだ。

 島田君は「JSノート」のおかげで悩みを乗り切れたこともあったという。「部活に入った頃、対人関係の悩みを書き込んだら、すぐ先生から『話しましょう』と返事があり、相談できました」

 3人の話を聞いていた出合教諭は、「思っていた以上に活用している。『そんな使い方があったか』という発見もありました」と頬を緩ませる。「ノートの付け方は、例年4月の新入生オリエンテーションで詳細に指導するのですが、今年度はコロナで中止です。やむなくホームルームでの説明にとめたため、やや心配していましたが、意図がしっかり伝わっていて安心しました。生徒の希望は次回の改訂会議で議題にしたいです」

 「私は最初にノートを配るとき、『命の次に大事にしてほしい』と、半ば本気で言います。毎日の時間の使い方は、生き方にも関わる重要事。自分を育てるツールとして、このノートを活用してくれればと思っています」

 (文:上田大朗 写真:中学受験サポート)

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1587336 0 城北埼玉中学・高等学校 2020/11/04 06:00:00 2020/11/04 06:00:00 https://www.yomiuri.co.jp/media/2020/10/20201029-OYT8I50022-T.jpg?type=thumbnail

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