高大連携広げ「行きたい大学に行ける学校へ」…麹町女子

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 麹町学園女子中学校高等学校(東京都千代田区)は、東洋大学を始めとする複数の大学との高大連携に取り組んでいる。連携大学への進学を前提としたコース作りも行い、「行きたい大学に行ける学校へ」と改革中だ。高大連携を成功に導く独自の「強み」や取り組み、今後の展望などを山本三郎校長に聞いた。

高大連携は「三方よし」の方針

高大連携のあり方について語る山本校長
高大連携のあり方について語る山本校長

 麹町女子の山本三郎校長は、帝塚山学院中学校高等学校(大阪市)の校長だった2007年、関西学院大学との連携を締結し、同大への進学を前提とする「関学コース」を設置した。この年は、文部科学省が「大学への早期入学及び高等学校・大学間の接続の改善に関する協議会」からの報告を受け、従来から一部大学で行われていた「飛び入学」とそれを超える幅広い高大連携のあり方が示された年でもある。

 「その当時、九州、四国などの学生が関西を飛び越えて東京に行ってしまうケースが増え、関西の大学は学生集めに苦慮していました。そこで、あらかじめ一定数の学生の入学が見込める高大連携が注目されたのです」と、山本校長は当時の状況を振り返る。

 山本校長によると、この高大連携の動きが現在、首都圏でも加速している。少子化の進行に加え、20年の大学入試改革によって、中・高校、大学ともに入試動向の先行きが読めなくなっているからだという。

 「入試改革の影響は大学ばかりでなく、保護者や中・高校にとっても大きい。どんな勉強や対策をしたら受験を突破できるのか、不透明感が広がっています。ですから、中・高在学中から大学の情報が入手でき、進路の保証につながる高大連携は、大学、保護者、中・高のそれぞれにメリットがある“三方よし”の方針なのです」

スーパーグローバル大学など複数大学と連携

最初に「学校間教育連携協定」を締結した東洋大学
最初に「学校間教育連携協定」を締結した東洋大学
2019年に行われた女子栄養大学との高大連携の締結式
2019年に行われた女子栄養大学との高大連携の締結式

 麹町女子は、山本校長を迎えた翌年の16年に最初の「学校間教育連携協定」を東洋大学と締結した。同大は14年に文科省の「スーパーグローバル大学(SGU)」の指定を受けている。SGUは、国際化を進め、世界レベルの教育研究を行う大学を重点支援するため文科省が指定する大学で、37校(関東では17校)が指定を受けている。

 「SGU指定の有無は、2020年以後の大学の行く末を左右すると言われています。本校としてもぜひSGUとの連携を実現させたいと、就任当初から考えていました」

 17年度には高校に、同大への進学を前提とする「東洋大学グローバルコース」を新設した。40人から始まったコース生の数は年々増え、今年度は89人になるなど、改革の効果を上げている。

 高大連携を進めるうえで、山本校長が特に配慮しているのは、従来型の指定校推薦制度の弱点を克服することだったという。

 「これまでの指定校推薦制度の多くは、大学との交流がほとんどなく、大学のことを直接知る機会がありません。そのため、『イメージが良い』『通いやすい』など表面的な理由で大学を選びがちで、入学後に『思っていたのと違う』と学習意欲を失いかねない面がありました。そうしたミスマッチをなくすために、高大連携の取り組みでは学習の一環として大学を理解する機会をさまざまに設けています」

 「東洋大学グローバルコース」の場合、高1で東洋大学の各キャンパスを訪問し、学部説明会・見学会や模擬講義などを経験して生徒が進路を考える足がかりを作る。高2、高3では各学部の教員による出張講義を受け、研究リポートの作成を行う。これによって大学での学びをより深く理解し、進学の目的意識を高めようというものだ。

 同校は東洋大学以外にも、高大連携の取り組みを広げている。17年には東京女子大学及び共立女子大学と連携。19年には女子栄養大学及び成城大学と連携した。

 いずれの大学に関しても、進学を志望する生徒を対象とした説明会や見学会、出張講義などを中学時代から経験させることにしており、早期に進学先を意識して大学を知ってもらうためのプログラムをそれぞれの大学と連携して充実させつつある。

大学を引き付ける「二つの強み」

高大連携した成城大学を訪問する生徒たち
高大連携した成城大学を訪問する生徒たち

 中学・高校にさまざまなメリットをもたらす高大連携だが、「学校としての強みを磨いて、大学に『この学校の生徒が欲しい』と思っていただけることで、はじめて大学との連携が実現します」と山本校長は話す。

 高大連携実現のために同校が磨き上げたのは二つの強みだったという。一つは、山本校長が就任直後に着手した「英語教育大改革」だ。

 文科省の「英語教育の在り方に関する有識者会議」の委員を務める予備校講師の安河内哲也氏を英語科特別顧問として招聘(しょうへい)し、16年から安河内氏が開発した独自のメソッド「アクティブイングリッシュ」による授業を全学年に導入した。

 「アクティブイングリッシュ」は、「読む」にウェートが置かれた従来の受験対策としての英語学習から脱し、「読む・書く・聞く・話す」の4技能を均等に高めて「使える英語」を習得することを目的としている。会話や暗唱などの発話練習に重点を置き、生徒の討論や発表を多用するアクティブラーニング方式の授業を行う。生徒のモチベーションを高める楽しさの要素にも配慮しているという。

 山本校長が安河内氏に注目したのは、「多くの学校が取り入れている『ネイティブ講師』『留学』『海外とのオンライン英会話』『海外修学旅行』の四つは、英語力向上の必須条件ではない。必要なのは毎時間の授業で4技能をバランスよく身に付けていくこと」という氏の言葉に共鳴したからだという。

 山本校長は「前例のない試みなので不安もあった」というが、成果は予想を大きく上回った。「アクティブイングリッシュ」導入前の15年は、英語実用技能検定2級の取得率が9.9%だったが、18年には48.4%にまで向上した。この躍進は教育界で大いに注目され、全国の中・高校や塾、大学などの関係者が同校を視察に訪れている。

 もう一つの強みは、オリジナルのキャリア教育「みらい科」だ。週1時間をあてて、時代の変遷に柔軟に対応していける能力や資質を磨くためのプログラムを実施している。

 中1から高2まで、学校のある千代田区でのフィールドワークや介護ボランティア実習、職業体験、卒業生の講演会、企業とのコラボレーション体験などさまざまなプログラムを通して「つながる力(人間関係・社会形成能力)」「自分を信じる力(自己理解・自己管理能力)」「出会う力(キャリアプランニング能力)」「しなやかさ(課題対応能力)」などを磨く。

 高1・高2ではその体験の集大成として「みらい論文」の作成に取り組む。生徒自身が自由に選んだテーマについてゼミ形式で調査・分析・議論を行い、1万字に及ぶ論文にまとめるのだ。

 「こうしたカリキュラム、特にアクティブイングリッシュは、大学の先生方にも評価をいただいているのでは」と山本校長は話す。

 近年、文科省は私大に対する入学者の定員管理を強めてきた。中高一貫校を中心に高大連携や大学の付属校化の動きが目立っているのも、このことが背景にあるとされる。

 「東洋大学グローバルコース」などの設置によって、同校は「行きたい大学へまっすぐ行ける学校」へと着実な改革を進めている。「今後も良い大学との連携を探り、それにふさわしい生徒を育てるべく努力を重ねます。多くのお子さんに麹町学園を選んでいただきたい」と山本校長は意欲を見せた。

 (文・上田大朗 一部写真提供:麹町学園女子中学校高等学校)

 麹町学園女子中学校高等学校について、さらに詳しく知りたい方はこちら

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621212 0 麹町学園女子中学校高等学校 2019/06/05 10:19:00 2019/06/05 10:19:00 https://www.yomiuri.co.jp/media/2019/06/20190604-OYT8I50089-T.jpg?type=thumbnail

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