生徒一人一人の将来を見守る進路指導…東星学園

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 東星学園中学校・高等学校(東京都清瀬市)は、カトリックの教えに基づいて「一人一人に丁寧に向き合う」教育を実践している。この考え方はキャリア教育にも生かされており、生徒一人一人の目標や学力を踏まえた進路指導により、2018年度の卒業生40人を38学科・専攻へと進学させている。大矢正則校長と山浦慈大進路指導部長に同校の教育のあり方を聞いた。

志望に沿ったオーダーメイドのカリキュラム

 ――「一人一人に丁寧に向き合う」とはどのようなことですか。

「一人一人に丁寧に向き合う教育」を実践している大矢正則校長
「一人一人に丁寧に向き合う教育」を実践している大矢正則校長

 大矢校長(以下、敬称略) 人はそれぞれ、神によって計画された使命によって生かされているというのがカトリックの考え方です。その「使命」を自ら見つけ出す手伝いをするのが、学校の務めと考えています。

 ――その考え方は、教育の現場にどう生かされていますか。

 大矢 本校は1学年あたり30~40人、1クラス20人前後の少人数の学校です。また教員も全員で25人ほどなので、お互いに全員の顔と名前を覚え、日常的にコミュニケーションを取っています。このことが、生徒一人一人の学力や目標を踏まえたきめ細かい授業や、精神面、健康面のサポートにつながっています。

 また、苦手な科目や単元をフォローする補習や、授業よりレベルの高い内容を学ぶ講習も中1から行っていますが、これらも教員と生徒が個別に話し合い、ほぼ個人指導のような形になっています。職員室も出入り自由にしており、勉強の質問や相談事に訪れる生徒が日々、数多くいます。

 高3になると、週34時間の授業のうち10時間が、進学先を踏まえた選択授業になります。これらも選択者が1人だけでも授業を行うため、ほとんどオーダーメイドのようなカリキュラムになります。

世の中を学ぶさまざまな取り組み

 ――進路を見定めるためのキャリア教育も重要ですね。

 大矢 中2の3学期から進路関連の面談を始めますが、「どんなことに興味があるか」からじっくりと思いを聞き、「だったら、こういう方面がいいんじゃないか」などアドバイスを繰り返し、少しずつ進路を考えていきます。これも日頃の関係性があってこそできることです。

 キャリア教育では、生徒に幅広い選択肢を提示することを重視しています。中3では、東京・池袋のサンシャインシティで行われる「職業体験博」に参加します。医療福祉、マスコミ、警察官、公務員など30種類以上の職業について話を聞き、仕事体験もできるイベントで、意識していなかったジャンルを含め、さまざまな仕事の情報に触れることができます。

 高1からは、関心のある大学のオープンキャンパスに行くことを奨励していますが、担当の教員もできる限り大学訪問を行い、感じ取った校風や、聞いてきた話などを生徒と共有するようにしています。

 ――学校内ではどんなキャリア教育をしていますか。

キャリア教育について語る山浦慈大進路指導部長
キャリア教育について語る山浦慈大進路指導部長

 山浦進路指導部長(以下、敬称略) 高1の秋に実施する「演劇型進路講演会」では、専門の劇団の方に、大学入試のシステムや勉強法などを紹介する短編劇を演じてもらい、大学の広報の先生に学習面の準備について話していただきます。

 高校では、大学や専門学校の先生を招いて模擬授業を行います。文系・理系を始め、福祉、デザイン、工学など、さまざまな分野の先生の授業を2コマまで受講することができます。また、大学に進学した卒業生を招いての進路講話など、将来をイメージしながら進路を探る機会を度々設けています。

 大矢 校外学習でも世の中を学ぶことを重視しており、広い意味でのキャリア教育と言えるでしょう。中1で都心の博物館、中2で歴史ある川越(埼玉県)の街、中3で東京郊外の御岳山(みたけさん)の自然探索と、好奇心をさまざまに広げていきます。高校では社会問題に目を向け、高1で環境と平和をテーマに東京湾岸の埋立地や第五福竜丸の展示館などを巡り、高2では足尾銅山(栃木県)を訪ねて公害問題を学びます。地味かもしれませんが、非常にまっとうな学びと自負しています。

中3校外学習では御岳山の自然探索を行う
中3校外学習では御岳山の自然探索を行う

 また、高1、高3では幼稚園や老人ホームでボランティア実習を行います。助けを必要とする人々と触れ合うのが狙いですが、生徒は「自分の方が元気をもらった」と生きる力を得るケースもあるようです。SDGsや難民問題など、現在注目されている諸問題についても外部講師を招いてワークショップなどを行っています。

 各生徒の思考や意見発表を促すという意味では、中3と高2で行う学習旅行の準備も大切な学習機会です。生徒のみで構成する企画委員会を立ち上げ、行きたい場所を話し合わせ、さまざまな意見を一つにまとめていきます。

 ――心理面のサポートはどうでしょうか。

 大矢 学校にはスクールカウンセラーが4人常駐しています。うち1人は保護者専門のカウンセラーで、生徒や保護者の相談に常時応じています。

 職員室でも生徒のことを常に話題にしており、問題があれば関係の近い教員が中心になって早めの対策に動きます。また、校長、教頭、生活指導部長、養護教諭、カウンセラーによる「校内委員会」を週に1度開き、学習や心理面、健康面などで課題のある生徒へのサポートを個別に考え、対策を講じています。

学力向上の試みも意欲的に

高1校外学習で訪れた第五福竜丸の展示館
高1校外学習で訪れた第五福竜丸の展示館

 ――難関校への進学者も毎年出ています。学力向上について最近の取り組みがあれば紹介してください。

 大矢 3年前から、高い目標を持つ高2生を対象に特別講座「アカデメイア」を始めました。金曜の午後4時から7時まで時間を取り、授業の内容を超えた相当高度な講義を行います。今年、初年度の受講生3人が卒業しました。東京外語大、慶応大、早稲田大、東京理科大、日大芸術学部に合格し、進学しています。彼らから「早めに取り組んでよかった」「刺激になった」という感想をもらい、学校としても手応えを感じています。

 同じ曜日・時間帯に、登録制の自習教室「ストゥディウム」を実施しています。全学年の希望者が対象で、家庭よりも良い自習環境を望む生徒のために図書館と視聴覚室を開放しています。自習といっても1人で集中したい場合、友達と教え合いたい場合などがありますので、会話ができる部屋と禁止の部屋に分けています。また今年は、教員免許を持つ大学院生が常駐して適宜、指導に当たる試みも行っていますが、結構、生徒が質問に来ると言っていました。この指導は早稲田大学教育学研究科との提携関係で実現したもので、彼らには今後もさまざまな形で関わってもらうことを考えています。

 山浦 ストゥディウムでは、新聞コラムをテーマにした文章コンテストを活用し、希望者に対しての文章養成講座もやっています。また、本好きの有志生徒を集めて朝の読書会を行い、書評を書いた本を他の生徒に薦めるという試みも最近始めました。

 ――いろんな側面から生徒の成長をきめ細かくサポートしているのですね。

 大矢 人と関わることで、自分は自分になっていくものと考えています。それぞれの生徒にいろんな先生が関わり「あなたは、あなただから大切な存在だ」というメッセージを伝えながら、常に見守っている。そうした校風を今後も大切にしたいと考えています。

 (文・写真:上田大朗 一部写真提供:東星学園中学校・高等学校)

 東星学園中学校・高等学校について、さらに詳しく知りたい方はこちら

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822843 0 東星学園中学校・高等学校 2019/10/04 05:21:00 2019/10/04 05:21:00 https://www.yomiuri.co.jp/media/2019/10/20191001-OYT8I50056-T.jpg?type=thumbnail

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