建学の精神をデザインに込めた新制服…東星学園

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 東星学園中学校・高等学校(東京都清瀬市)は、来年度から新デザインの制服を採用し、中1、高1から順次導入していく。新制服は、「人間の価値と使命を尊ぶ」「一人一人の生徒を神様の最高傑作として大切にする」という建学の精神を象徴したデザインで、独自性や品格を感じさせる仕上がりだという。新制服の企画を担った「制服検討委員会」の代表教諭に話を聞いた。

共学化10年を機にデザインを見直し

「多様な組み合わせで一人一人が輝ける制服ができた」と話す倉本教諭
「多様な組み合わせで一人一人が輝ける制服ができた」と話す倉本教諭

 同校の制服改定は、女子校から男女共学化した2008年度以来で約13年ぶり2度目となる。「制服検討委員会」の委員長を務める生活指導部長の倉本俊輔教諭は、「共学化から丸10年が過ぎた18年度に、『一度検討してみよう』という機運が生まれました。近年は生徒の感性の多様化が進み、制服に対する要望を多く耳にしていたこともあり、その年度末に、リニューアルの方針を正式決定しました」と経緯を説明する。

 翌19年4月、教員4人から成る「制服検討委員会」が設置され、プロジェクトがスタートした。委員会メンバーは20代から40代の若手教員たちだ。美術科教員である倉本教諭のほか、キリスト教の観点を反映させるために宗教科、国際感覚を取り入れるために英語科など、さまざまな分野の意見を生かす陣容にしたという。

 新制服の基本的なコンセプトはメンバーたちが協議して決めていった。最初の3~4か月は制服の展示会などを視察してトレンドや機能性などの情報を集め、それ以後は2週間に1度のペースで委員会の会合を開き、デザインの方向性を検討した。2回のサンプル製作を通して今年1月にほぼデザインを固め、3月に最終サンプルが完成した。

なお、前回の制服改定では、デザインなどについて生徒や保護者にアンケートを実施したが、今回はあえて行わなかったという。

 「本校は1学年30~40人の少人数教育のため、全教員が全生徒の顔と名前を知っており、彼らの気持ちも日頃の対話を通じて把握しています。そうした声を踏まえつつ学校の理念を柱にデザインを作り上げようと、委員会でじっくり話し合って進めました」

建学の精神を2本のラインで表現

中学生男女の正装
中学生男女の正装

 男子が詰め襟、女子がボレロだった旧制服に対して、新制服では男女共にブレザーが基本スタイルとなる。

 「本校では制服を『きちんと着こなすことで自分の身を守るもの』と考えています。現在の制服も同じ考え方ですが、箱に入ったような窮屈さもあって、つい詰め襟やボタンを外してしまう生徒もいました。『もっと着用しやすく着崩しにくい形を』という考えから、男女共にブレザースタイルを採用しました」

 ブレザーは、肌触りの良いタスマニアウールを主素材とし、ストレッチ性やはっ水性、ウォッシャブルといった機能性を備えた生地を選んだ。特に肩とわき部分は裏地によく伸びる素材を使い、動きやすく疲れにくい仕様にしてある。

 また、服装に対する感覚の多様化やジェンダーレス化の流れを踏まえ、女子のボトムスにはスカートとスラックス、首元の飾りもリボンとネクタイの2種類を用意し、本人の好みで選べるようにした。

 今回のデザインでは、建学の精神を美しい形で盛り込むことにこだわったという。「本校の建学の精神はキリストの愛の精神、つまり『人間の価値とその使命を尊ぶ』ことです。それに基づき、『一人一人の生徒を神様が造った最高傑作として大切にする』。この理念を表現するデザインを目指しました」

 建学の精神にある「価値」と「使命」のキーワードを、平行する2本のラインで象徴。それを縦横に組み合わせて「十字架」を表したチェック柄を、スカート、ネクタイ、リボンなどに取り入れている。この柄は一見無地に見えるが、光の当たり具合によって浮き立って見える。糸の色ではなく織り方の違いで柄を形成する「シャドーチェック」という手法によるもので、倉本教諭は「華美さを抑え、品格ある印象を作るための工夫」だと説明する。

高校生男女の正装
高校生男女の正装

 シャツの首元に斜めに入れた2本線も、「価値」と「使命」を表すオリジナルデザインだ。夏服ではネクタイやリボンの着用は自由だが、外した状態でも首元の印象を引き締めるアクセントになる。

 成長の個人差に伴って制服の買い替え時期も変わることに配慮して、中・高とも基本的に同じデザインだが、ネクタイやリボン、スカートのシャドーチェックに組み合わせたストライプの色や、スカートのひだに入れた十字架形の刺しゅうの差し色の違いで、中・高の区別を付けた。「中学生のピンクパープルは元気でエネルギッシュなイメージ、高校生のライトブルーは(りん)とした落ち着きを象徴しています」

 ブレザーの襟のデザインは、下襟の(かど)がやや上を向いた「セミピークドラペル」というタイプを採用した。倉本教諭によると「生徒が大きく羽ばたく」イメージを表現したという。また、表裏で光沢がやや異なる「タッサー織り」の生地の特性を利用し、光の加減で襟の縁取りがかすかに浮き出る工夫も盛り込んでいる。

 リボンの「たれ」の長さや随所に入れたラインの幅にも、ミリ単位でこだわった。「こうした目を引く要素は、寸法が少し異なるだけでも大きく印象が変わります。独自性と品格を意識し、入念に検討しました」と、倉本教諭は美術科教員らしいこだわりを見せる。

 夏季用のセーターベストは紺とグレーの2色、セーターはウール混の紺と麻混のグレーの2種類を用意する。くわえて、かねて要望が高かった夏用のポロシャツも導入した。猛暑に対応する速乾性と接触冷感機能を備え、着心地が良いものだという。いずれも、中・高、男・女共通のデザインとした。

 倉本教諭は「多様な組み合わせで、一人一人が輝ける制服ができたと思っています」と胸を張る。

在校生の評価も上々の自信作

夏用に要望が高かったポロシャツも導入した
夏用に要望が高かったポロシャツも導入した

 新制服は4月末に開催する文化祭「ヨゼフ祭」でお披露目する予定だったが、コロナ禍により中止となったため、創立記念日の5月1日に各生徒の家庭にメールで告知し、5月中旬に学校のホームページで発表した。生徒向けには、1学期最終週の7月25日から8月1日にかけて校内で展示を行った。

 「生徒や保護者の反応は上々です。特にブレザースタイルやポロシャツへの評価は高く、『早く着たい』『自分たちが着られなくて残念』という声が多く聞かれます」

 学校説明会のプログラムにも試着会を盛り込んだが、やはり新型コロナの影響で9月までは見合わせとなった。ただ、個別の学校見学は受け付けており、その際に制服も見ることができるという。

 「新しい制服を生徒集めの売りにするつもりはありませんが、本校の理念や多様性への考え方に加え、現代的な感覚も十分に反映した自信作です。これから入ってくる生徒にも、きっと気に入ってもらえるはずです」

 来春から新しい制服に身を包み、さっそうと登校する新入生の姿が目に浮かんだ。

 (文・写真:上田大朗 一部写真提供:東星学園中学校・高等学校)

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1464993 0 東星学園中学校・高等学校 2020/09/10 05:21:00 2020/09/10 05:21:00 https://www.yomiuri.co.jp/media/2020/09/20200909-OYT8I50019-T.jpg?type=thumbnail

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