生き方のヒントをつかむ「中学講演会」…共栄学園

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 共栄学園中学高等学校(東京都葛飾区)は9月28日、宇宙航空研究開発機構(JAXA)の技術アドバイザー清水幸夫氏を講師として招き、「中学講演会」を開催した。この講演会は、各界の専門家に経験を語ってもらい、生徒に将来の生き方についてのヒントを与えるのが狙いだ。当日の講演の模様と、これまでの「中学講演会」から生徒たちが学んだことなどを紹介する。

宇宙への関心をかきたてられる生徒たち

「宇宙」について語ったJAXAの清水幸夫氏
「宇宙」について語ったJAXAの清水幸夫氏

 午前11時40分の開演を前に、会場の講堂には中学1~3年生約260人に、保護者、地域住民らを合わせ約300人が詰めかけていた。清水幸夫氏がこの日語ったテーマは、「小惑星探査機『はやぶさ2』が目指すもの」。

 清水氏は、「はやぶさ2」がJAXAの開発した小惑星探査機で、2014年に打ち上げられ、今年2月に地球から約3億キロ離れた小惑星リュウグウに着陸したこと、表面物質の採取に成功し、20年末に地球に帰還する予定であることなどを紹介した。

 話は、小惑星イトカワに着陸した初代「はやぶさ」の偉業にも及んだ。学校周辺の地図をスクリーンに映写して、清水氏は「イトカワは長さが540メートルしかないんです。この川に入ってしまうくらいですね」と、生徒たちにも分かりやすくサイズ感を説明。また、燃料漏れなどさまざまなトラブルを克服しながら、約3億2000万キロの旅をして7年がかりで奇跡的に戻ってきたことなどを、エピソードを交えて語った。

 さらにアメリカの民間企業が催行する宇宙旅行の話題にも触れ、「すでに夢物語ではなくなっています。誰もが宇宙へ旅することができる時代になりつつあるのです」と語った。最後の質問コーナーで、生徒たちは「はやぶさ2が地球に帰ってくるとき、東京から見えますか」「宇宙旅行の費用はいくらくらいですか」と、熱心に問いを投げかけていた。

どう考え、どう行動するか考えるための機会に

「実体験から来る重みがある」と言う市川先生
「実体験から来る重みがある」と言う市川先生

 同校の「中学講演会」は、各界の専門家の話を聞かせて、生徒に将来の生き方についてのヒントを与えようと、2013年に始まり、毎年5、6回開催している。

 これまでも弁護士、キャビンアテンダント、落語家らによる、「やさしい法律入門と弁護士になるには」「キャビンアテンダントの仕事」「落語の世界へようこそ」などの講演を開いてきた。いずれも仕事の内容や働く姿勢などを体験に即して分かりやすく語ってもらうのが特徴だ。

 特に「中学講演会」の40回記念として5月に開催された、北朝鮮拉致被害者の蓮池薫氏の講演は、生徒、先生ともに深い印象を残したという。「今の中学生たちは、『拉致問題』という言葉を聞いたことがあっても、実際にそれがどのように起こったのか、詳細に触れる機会が少なくなっています」と、中学2年担当の市川真一郎先生は話す。「蓮池氏の話で初めて何がどう起こったかを知り、『そんなことが許されていいのか』と泣きながら質問している生徒もいました。非常に重いテーマではありますが、国際問題について改めて考えるためのヒントになったと思います」

 3年A組の渕上雄介君は、この講演会がこれまでで最も印象深かったという。「今の時代にこんなことが起こっていいのか、とショックを受けました。自分や自分に近い人に同じようなことがあったら、どうすればいい、身を守る方法はあるのか、といろいろ考えさせられました」。中学講演会は、保護者や地域住民にも開かれている。保護者が聴講し、帰宅後あらためて親子で話し合った家庭もあったという。

 講演会を長年聴講してきた市川先生は、「皆さんのお話には、実体験から来る重みがあります。仕事について理解するだけではなく、生徒たちがこれまで知らなかったことに気付き、自分だったらどう考え、どう行動するか考えるための機会となっています」と話す。

自分で調べて発見することの大切さ

宇宙の講演会の成果を語る理科担当の田邉先生
宇宙の講演会の成果を語る理科担当の田邉先生

 渕上君のクラスメートで、ともに科学部に所属する淺沼順貴(あさぬまじゅんき)君、井関隼鳳(いせきはやたか)君にも、この日の講演について感想を聞いた。

 淺沼君は「物の見方が変わりました。空、宇宙とは、見上げればそこにあるもの。でも、そこには惑星があったり、生命があったりするんですよね」と話す。井関君は「太陽系以外の惑星のことについても、知識を得ることができました。自分でももっと宇宙のことを調べてみたいと思います」と言う。渕上君も「生命というものに興味を感じました。地球以外にも生命があるとしたら、どういう生物がどのように誕生したのか、ぜひ知りたいです」と興味を広げていた。

 3人は、数々の失敗や挫折を繰り返しながらプロジェクトを進める研究者たちの姿勢にも引き付けられた。淺沼君は「テレビのニュースからでは分からないことも聞けました。何度つまずいても、そこであきらめてはいけないんですね。研究者の方々の熱意を感じました」と心打たれた様子だった。

 講演後に生徒たちの声を聞いていた理科担当の田邉美紗樹先生は、「宇宙と言われても具体的なイメージが湧かない生徒にとっても興味深い内容だったようで、理科に関心を持ってくれるきっかけになったと思います」と話した。

 「『日常生活の中でも、疑問に思ったことをそのままにしておかず、必ず自分で調べる、できるだけその場に行って確かめてみる姿勢が大切』とおっしゃった清水先生の言葉もとても印象的でした。今回の講演をきっかけに、教科書に書かれていることを学ぶだけでなく、自分で調べて発見することが大事なのだと、学んでくれたらと思います」

 生徒たちはこの日も講師から本物の経験を受け取ったはずだ。成長のきっかけはすでに生徒たちの胸の中にある。

 (文・写真:足立恵子 一部写真提供:共栄学園中学高等学校)

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940484 0 共栄学園中学高等学校 2019/12/10 05:21:00 2019/12/10 05:21:00 https://www.yomiuri.co.jp/media/2019/12/20191209-OYT8I50034-T.jpg?type=thumbnail

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