【特集】独自の「到達度テスト」で中学英語の土台を築く…共栄学園

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 共栄学園中学高等学校(東京都葛飾区)は、英語4技能を支える文法力や 語彙(ごい) 力の土台を築くため、中学生を対象とするオリジナルの「到達度テスト」を実施している。今年で7年目を迎えるこのテストは、中学3年間で習得すべき文法・語彙を網羅したリストに基づくもので、高校進学前の「クラス分けテスト」の結果などにもその効果が表れてきているという。このテストを担当してきた英語科主任の中島大樹先生に話を聞いた。

英語の基礎学力を固めるための独自の「Can-Do-List」

「中学英語到達度テスト」の骨格となる「Can-Do-List」を作った中島先生
「中学英語到達度テスト」の骨格となる「Can-Do-List」を作った中島先生

 「高校生に英語を教えていた時に、基礎事項が身に付いている生徒といない生徒で、かなりばらつきがあると感じていました」と中島先生は振り返る。中学生の授業を担当することになった2015年に、英語科の先生たちから「全員がここだけは理解すべきだ、という基礎的な部分をきちんとチェックし、できるようになってから高校に上げよう」という提案があり、中島先生は、具体化を検討する役目を任されたという。

 中島先生が提案したのは、中学3年間で習得すべき文法・語彙を網羅した「Can-Do-List」に基づいて、生徒の理解度を図る「中学英語到達度テスト」を実施することだった。このリストは、中1で「一般動詞の文の否定文が作れる」「季節の英語が書ける」、中2で「不定詞と動名詞の使い分けができる」、中3で「現在分詞・過去分詞を使い分けられる」などの内容から成っている。

 中島先生は月1回ほど開かれる英語科会議で繰り返し「Can-Do-List」についてのたたき台を出し、他の英語科の先生の意見も聞きながらリストのブラッシュアップを図っていったという。「リストは中1から中3までを一気に作成しました。『中学3年間のトータルでこれを身に付けさせる』という意識を先生たちと共有したかったからです」

 約1年がかりで111項目からなるオリジナルリストが完成すると、さらに、このリストに対応する問題を英語科の先生11人が手分けし、夏休みなどを利用して作成。2016年に中1生を対象に初めて「中学英語到達度テスト」を実施した。

 その後も、学習指導要領の変化などに対応しながらリストの改良を重ね、現在は、中1で66項目、中2で27項目、中3で26項目の計119項目になっているという。

テスト結果をデータ化して授業改善に生かす

改良され続けている「Can-Do-List」
改良され続けている「Can-Do-List」

 このテストは中学1~3年の全生徒を対象とし、中1は各学期末、中2は3学期末、中3は2学期末の、各定期テスト最終日に実施される。解答時間は50分間で、リスト1項目に対して三つの設問が設けられ、そのすべてを正解すると「合格」となる。「1項目に設問三つとしたのは、一つや二つではまぐれやカンで当たってしまう場合があるからです」

 各テストは25項目前後から成り、全項目に合格するまで最大3回までテストを受けることができる。それでも合格できなかった場合は、不合格の項目について長期休みの家庭学習用にプリント課題が出される。

 「リストを一つ一つ潰していくことで、何を理解していて何を理解していないのかが生徒自身、明確に分かります。我々も生徒一人一人について理解をしっかり把握することができます」と中島先生は話す。さらに、テストの結果はクラスごとに項目別の合格率をデータ化し、分析して実際の授業で活用するという。「例えば、この年の中1のクラスは『月を書ける』という項目に70%近い生徒が合格していますが、『月と日を書ける』という項目になると32%まで落ちてしまいます。こういう傾向を把握していれば、復習の時間を設けることもできますし、普段の授業の中で苦手な項目を織り交ぜながら説明することで、日々の授業の質を上げていくことができます」

 到達度テストを繰り返す中で、生徒たちの勉強の仕方にも変化が見られるようになったという。「定期テストはどうしても教科書からの出題になるため、ただ本文を覚えるなどの表面的な勉強になってしまう子もいますが、到達度テストはそういうわけにいきません。そのためか、文法や語法のルールに対して『なぜですか』という質問が増えたり、『英語の勉強が楽しくなった』という声が聞かれたりするようになりました」

 「中学英語到達度テスト」の実施によって生徒の英語基礎力が上がったと推定できるデータがある。高校特進コースへの進学前に実施する「クラス分けテスト」で内進生と高入生の成績に変化が見られたという。このテストは中学校の学習の総復習で、英数国の3教科で実施しており、成績上位者は特進コースの「選抜クラス」に振り分けられる。「到達度テストが導入される前の2014年度卒業の内進生は、本テストの英語の成績上位20人中3人でしたが、到達度テスト実施後の19年度卒業生は、成績上位20人中14人を占めるほどになりました」と中島先生は話す。このほか、外部試験で大きく成績を伸ばした年もあったそうだ。

 「中学英語到達度テスト」では、中1、中2で3学期末、中3で2学期末に到達度に応じた表彰も行っている。全リスト一発合格者には「Perfection」、一発ではないものの100%に到達した生徒には「Achievement」、95%以上を正答した生徒には「Persistence」と書かれた賞状が贈られ、生徒たちは達成感を得ることができる。

 「到達度テストを通して、英語がすごく苦手だという生徒が減り、底上げが出来ている感覚があります。何を勉強すればいいか分からない生徒に気付きを与えることは確実にできていると思います」と、中島先生は手応えを語った。

地道に努力できる生徒が学力を伸ばしていく環境

「中学英語到達度テスト」では、到達度に応じて生徒の表彰も行う
「中学英語到達度テスト」では、到達度に応じて生徒の表彰も行う

 「実は、私も学生時代は英語が苦手でした。それでもルールや理屈を学び、徐々に問題を理解していく中で、英語を楽しいと思うことができました。だからこそ、英語が得意な生徒だけでなく、苦手な生徒を伸ばすことも我々の使命だと思っています」と中島先生は話す。「今、英語が苦手でも、日々しっかりと単語や文法を覚え、一つ一つのテストを大切にして真面目に取り組める生徒は、到達度テストでもしっかり伸びていきます。地道な努力ができる生徒が共栄学園に合っていると思いますし、そういう生徒が伸びる環境を用意しています」

 同校は2022年度募集の入試から「英語入試」を導入する。すでに入学希望者に配られた英語の問題解説プリントは中島先生が作成したものだ。「塾に行っている人や英会話に通っている人が有利になってしまうのではなく、小学校や家庭での勉強を地道に頑張れる生徒がしっかり点を取れるように問題を作ったつもりです。学校としてもそういう生徒たちに入学して来てほしいと思っています」と中島先生は話す。「表面的な勉強をしていたら分からない言語の不思議に触れ、『なんでだろう』『どうしてだろう』と細かく疑問を持ちながら、他の教科でも、あるいは社会に出ても必要なスキルとして、『疑問に思う力』をどんどん身に付けていってほしいと思います」

 (文:熊谷那美 写真:中学受験サポート 一部写真提供: 共栄学園中学高等学校)

 共栄学園中学高等学校について、さらに詳しく知りたい方は こちら

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