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【特集】学習体制のリノベーションで未来を「生きる力」を育てる…清泉女学院

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 清泉女学院中学高等学校(神奈川県鎌倉市)は、2021年度から学習体制をリノベーションする。生徒一人一人の「生きる力」を養うことを目的に、土曜日の総合的な学習・探究の時間を充実させて課題解決力を磨き、授業を65分に拡大して思考力・判断力・表現力を高めるという。この改革の概要について、中学入試・広報部長の瀧康秀教諭と、進路指導・研究部長の芝崎美保教諭に聞いた。

「ライフナビゲーションプログラム」で自分らしい表現を

学習体制のリノベーションについて語る芝崎教諭
学習体制のリノベーションについて語る芝崎教諭

 清泉女学院は2021年度、学習体制のリノベーション(革新)を実施する。来年度から中学で実施される新しい学習指導要領にも示されている、変化の時代を前向きに受け止めて「生きる力」、社会の課題に主体的に関わって貢献できるような力を育むのが狙いだ。

 同校はこのために数年前から進路指導・研究部を中心に検討を重ね、その具体化に取り組んできたという。進路指導・研究部長の芝崎教諭は、「本校では、従来からアカデミックな授業を行ってきました。リノベーションの目的は、これに加えて将来さまざまな分野で求められるであろう、思考力・判断力・表現力を伸ばす協働学習の充実にあります」と話す。

 今回のリノベーションには大きく言って二つの柱があるという。一つは、中高6年間をかけて取り組む「ライフナビゲーションプログラム(総合的な学習・探究の時間)」の一新。もう一つは、全学年の授業時間を65分に拡大することだ。

 新しい「ライフナビゲーションプログラム」では、土曜日にまとまった時間枠を設け、年間10回程度、じっくりと探究活動に取り組ませる予定だ。「探究には、細切れの時間活用ではなく、2~3時間通して取り組むことが必要だと考えました。平日の65分授業で思考力・判断力・表現力を高め、土曜日は探究活動を集中して取り組める時間を取りました」と芝崎教諭は話す。

 特に、中1・2は探究のスキルを養う時間と位置づけられ、プロジェクト担当の教員が、探究活動の基本形をテキストや動画にまとめ、各教員がそれをアレンジして授業を展開する予定だという。

 新しい「ライフナビゲーションプログラム」の大きな狙いは、キャッチフレーズの「Visions for the Future(未来へのビジョン、将来を見通す力)」が示すように、社会で起こっていることに関心を持ち、一人一人が自分の生きていく未来社会に対してより良い提案をすることにあるという。

中3の論文発表は、2020年度からさまざまな表現方法で発表する「My Story Project」に変わる
中3の論文発表は、2020年度からさまざまな表現方法で発表する「My Story Project」に変わる

 中学では3年間をかけて「My Story Project」に取り組む。生徒は自らの興味に応じて社会の課題を探究し、その結果を中3で発表する。「課題の発見→情報収集→整理・分析→まとめ・表現、というプロセスを重視し、考えを自分らしい方法で表現することで、課題を解決していく力を養います」と芝崎教諭は話す。

 これまでも同校では探究活動の成果を中3で論文形式で発表していた。今回の「My Story Project」は、発表の形を論文に限定することなく、ICTなども活用したさまざまな表現方法で、自分の考えを発表するという形に発展している。

 「ダンスや音楽、動画、あるいはジオラマを作る、実験をするなど、表現方法は問いません。自分の興味があることを探し、自分らしい表現で発表する。その経験が将来のビジョンにつながることが理想です。ですから、『My Story Project』では成績評価はしません。そういう自由な表現の場を設け、振り返りをして、続く高校生活で改良を重ねていく。そうすることで、単なる職業選びではなく、もっと広い視野で将来のライフテーマを発見することに役立ててほしいと考えています」

 来年度の実施に向けて、コロナ禍の中でも、中1~3生が新しいライフナビゲーションプラグラムに移行する準備を進めている。「中3は、すでに『My Story Project』のテーマ探しに取り組んでいますが、休校期間中も『音楽をテーマにしてみようと思います』『動画を作る上での注意があれば教えてください』など、オンライン学習期間中から活発な発信や質問があり、今後が楽しみです」と芝崎教諭は話した。

65分授業で論理的な思考力や多様なものの見方を育てる

授業の65分への拡大でグループワークにも余裕が生まれる
授業の65分への拡大でグループワークにも余裕が生まれる

 リノベーションのもう一つの柱である授業時間の65分化は、ライフナビゲーションプラグラムに必要な力を生みだす土台を作るものだ。

 また、新学習指導要領にある「生きる力」を伸ばすことについても、同校が以前から行ってきた教育の中にすべて含まれており、枠組みを変えれば対応しうるものだと芝崎教諭ら研究部は結論付けた。

 芝崎教諭は、「これまでの45分授業では、ドリルなどの反復によって知識を身に付けることはできても、応用に至るのは難しく、今後求められる記述や情報量の多い問いに対して、自分の意見を解答にまとめるためには、授業時間をさらに有効に使うことが必要だと感じている」と話す。

 現在、平日は45分授業7コマとなっているが、来年度からは65分授業5ないし6コマとなる。これによって週の授業時間は1440分から1625分になる。これに伴い、国語、数学、英語の授業時間は標準授業時数の約1.5倍を確保できる。

 「65分という枠の中で、じっくりと考える時間をつくり、グループワークや対話、プレゼンテーションなどを通して、論理的な思考力や多様なものの見方を育てることを目指しています。大切にしたいのは『なぜ』という疑問を持ち、粘り強く問題に取り組む姿勢です」

 授業を65分に拡大することで、授業の導入から、演習ないし実験、発表、振り返りまでの一連の流れを、1コマの授業内で余裕をもって行えるようになるという。また、授業の進度も速まるため、中学3年次から高校の学習を開始することができ、卒業後の進路への準備にも余裕が生まれるなど、さまざまなメリットがあるという。

 こうした改革を推し進めるのに大きく役立つのがICT環境だ。中学入試・広報部長の瀧教諭は、「本校は4年前からICT環境の整備に取り組み、現在、中3、高1、高2の全員がクロームブックを活用しています。教員間でも、授業の動画に加え、生徒の作品やコンテスト、部活動の様子などを共有し始めたことの意味は大きく、教科の枠を超えた全体の動きが把握しやすくなりました。今回、新型コロナウイルス感染症対策の休校期間、多くの教員がICTリテラシーを高め、その利用価値を認識したことも、リノベーションの議論を大きく前進させました」

 「生徒たちが社会に出るころ、職業や人の生き方は想像以上に変化していることでしょう。そうした未来に生きるためにも、今、好きだと思うことや関心を寄せていることを掘り下げて考え、表現すること、本校での学びが自分のライフテーマを見つけるきっかけになることを願っています」と芝崎教諭は力を込めた。

 (文:山口俊成 写真:中学受験サポート 一部写真提供:清泉女学院中学高等学校)

 清泉女学院中学高等学校について、さらに詳しく知りたい方はこちら

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1384406 0 清泉女学院中学高等学校 2020/08/05 05:21:00 2020/10/26 11:21:47 https://www.yomiuri.co.jp/media/2020/08/20200803-OYT8I50031-T.jpg?type=thumbnail

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