【特集】未来を切り開く力を育む土曜の探究学習…清泉女学院

スクラップは会員限定です

メモ入力
-最大400文字まで

完了しました

 清泉女学院中学高等学校(神奈川県鎌倉市)は今年度から、隔週土曜日に「ライフナビゲーションプログラム」と名付けた授業で、独自の探究的な学習を開始した。この授業で高校生は主に大学の出張授業や職場見学などのキャリアプログラムに参加し、中学生は3年かけて自分が興味のある社会問題を研究、発表する「My Story Project」に取り組む。6月12日、同校を訪れて中学2、3年生の活動ぶりを見てきた。

教科の枠を超えて探究に取り組むプログラム

2人1組でデータのグラフ化に取り組む中2生
2人1組でデータのグラフ化に取り組む中2生

 同校は今年度、学習体制を刷新した。月曜日から金曜日の授業を65分に拡大して、教科中心の時間割を組み、新たに月2回程度、土曜日の午前にまとまった時間を使って、「ライフナビゲーションプログラム」と名付けた探究的な学習の授業を実施している。

 教頭の小川幸子先生は、土曜日の活動について、「通常の授業は金曜日までに完結し、土曜日は普段あまり考えないようなことを考えたり、自分のことを見つめたり、周りの人と考えをシェアしたり、そんな豊かな時間を作りたいと思いました。そこで、今まで平日45分間のホームルームの時間に入っていた『ライフナビゲーションプログラム』の探究活動を、土曜日に移し、内容を拡充して行うことにしたのです」と話す。

 同プログラムの中で、中学生が3年かけて取り組むのが、各生徒が関心のあるテーマを研究し、その成果を発表する「My Story Project」だ。名称には、「自分の歩む道を自ら考え、他者に伝える物語」の意味を込めているという。1、2年は事前学習として、調べ学習の仕方や情報の扱い方などを学び、3年の4月から本格的に自分の決めたテーマで探究活動を行っていく。

 取材に訪れた6月12日は、2年と3年で「My Story Project」の準備講座が開かれていた。

 2年生は2人1組になって、学校のタブレット端末を使い、データをグラフ化する作業に取り組んでいた。使われるデータは、毎日の学習時間や睡眠時間、携帯電話の利用時間など、事前に生徒たちに行った生活習慣についてのアンケートが元になっている。

 生徒たちは、それらのデータを読み取りながら、「教科別の学習時間は、円グラフが比較しやすいかも」「通学時間は棒グラフが分かりやすいと思う」などと互いに話し合い、意見を出し合ってグラフを作成していた。

 中学入試・広報部の佐伯亜里沙先生は、「この授業では情報収集の方法や、集めた情報の比較、分析について学び、同時にパソコンのスキルも身に付けていきます。『My Story Project』では、自分が研究したことを相手に分かりやすく伝える必要があります。グラフを作る時もそのことを意識するように指導しています」と話す。

3年生は探究成果をプレゼンする活動

スライドを使いこなしてプレゼンテーションをする中3生
スライドを使いこなしてプレゼンテーションをする中3生

 3年生はこの日、約2か月間かけて取り組んできた探究成果のグループ発表を行っていた。この授業では、探究型学習プログラムの教材を制作している企業にサポートを受け、プレゼンテーションワークに取り組む。5、6人で構成するグループごとに、プレゼンテーションのテーマ決め、情報を集め、整理するなどの準備を進めてきた。

 それぞれのグループが考えたテーマは、「テレビドラマの裏側はどう作られているか」「テニスで脳トレをする」「朝スッキリ起きる方法」などと身の回りにある関心事から、戦争や文化、経済に関するものまで多彩で、生徒たちの関心の広さがうかがえた。

 発表は、どのグループもスライドをうまく使いこなして行い、聞いている生徒たちは、プレゼンテーションの内容や表現の仕方などを評価シートに記入し、最後は全員で振り返りをした。

 「SNSの様々な広がり」をテーマにしたグループは、聞いている人が飽きないように、スライドの画面の配置や配色を特に工夫したそうだ。メンバーの一人は、「情報収集からスライド、原稿作りまで、一通りの作業を経験し、どうしたら効率よくできるかを学ぶことができました。それを今度は自分の『My Story Project』の活動に生かしていきたいです」と話した。

 「清泉の校章から見るデザインと補色残像」について発表した生徒は、プレゼンテーションの構成をする際、知識をひけらかすだけの内容になっていないか、細心の注意を払ったという。「今回のワークを通じて、自分の考えを伝える時に、ただ自分の思いを話すだけでは自己満足になってしまう。相手にどれだけ理解してもらえているか、客観視する大切さを学びました」

「My Story Project」について説明する佐伯先生
「My Story Project」について説明する佐伯先生

 佐伯先生によると、このワークのグループ分けは、生徒が提出した「My Story Project」のテーマに沿って、教員で決めたという。「普段はあまり接点のない生徒同士でも、協働作業をする中で、意外な共通点があることに気付いたり、新しい一面を発見したりして、考え方の幅を広げていくことができます。また、プレゼンテーションを外部の人から評価してもらうことも、学校の指導とは違う形で、生徒の視野が広がるのではないかと考えています」

 3月には、中3生全員による「My Story Project」の発表会が行われる。小川教頭によると、発表の方法はプレゼンテーション、論文、動画、絵、ダンスなど形式を問わないそうだ。

 「昨年度は、『世界史にみるバレエの歴史』をバレエの動きを交えて紹介したり、『江の島龍伝説と地形に残る龍』を解説するために、江の島周辺のジオラマを制作したり、各々が自分らしさを発揮していました。発表は中学生全員に公開しているので、今の3年生も先輩たちの表現を参考にしながら、より進化したものを見せてくれるのではと期待しています」

柔軟な知性を備え、協働して問題解決できる人物へ

「ライフナビゲーションプログラム」の探究活動について話す小川教頭
「ライフナビゲーションプログラム」の探究活動について話す小川教頭

 高校からの「ライフナビゲーションプログラム」は、大学の出張授業や職場見学、社会人の卒業生から仕事について話を聞くなど、キャリアプログラムが中心となる。1年では、中3のプレゼンテーション学習をサポートした企業が制作した問題解決プログラム「企業インターンIntensive」を実施する。これは実在する企業でインターンをするという設定のもと、各社から与えられた指令(課題)をチームで解決し、最後にプレゼンテーションを行うというものだ。

 小川教頭は今後、「ライフナビゲーションプログラム」にコミュニケーション講座や各種ワークショップなど、生徒が主体的に学べる体験プログラムを取り入れて、充実させていく予定だという。

 「これらの学びを通じて、生徒たちには『自分は将来何をやりたいのか』『自分は社会の中で何をして、どのように他者と関わっていくのか』『そのために自分は今何をしなければいけないのか』について考えてほしいと思っています。これから求められるのは、今までになかった問題に直面しても、広い視野を持って多角的に考えられる、柔軟な知性を備えた人です。また、自ら課題を発見し、周りの人と協働して、解決できる人です。生徒たちには、『ライフナビゲーションプログラム』の活動を通じて、その土台となるものを築き、自分の未来を切り開いてほしいと願っています」

 (文:北野知美 写真:中学受験サポート)

 清泉女学院中学高等学校について、さらに詳しく知りたい方は こちら

スクラップは会員限定です

使い方
「教育・受験・就活」の最新記事一覧
2247746 0 清泉女学院中学高等学校 2021/08/04 06:00:00 2021/08/04 06:00:00 https://www.yomiuri.co.jp/media/2021/07/20210730-OYT8I50022-T.jpg?type=thumbnail

会員校一覧

東日本 共学校ページTOP

── 女子校ページTOP

西日本ページTOP

ピックアップ

読売新聞購読申し込みキャンペーン

読売IDのご登録でもっと便利に

一般会員登録はこちら(無料)