多彩な部活動、協調性や思いやりの心育む…明治学院

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気持ち通じ合い、曲が完成する達成感

 明治学院中学校・明治学院東村山高等学校(東京都東村山市)では、バラエティーに富んだクラブ活動も大きな魅力の一つだ。生徒たちはそれぞれの目標に向かって、励まし合いながら、協調性や思いやりの心を育んでいるようだ。

譜面を見ながら練習をする中学ハンドベル部員
譜面を見ながら練習をする中学ハンドベル部員

 同校には中学に22(体育部13、文化部7、同好会2)、高校に27(体育部14、文化部13)の多彩なクラブ活動がある。そのうち、同校の教育理念の礎であるキリスト教とのつながりも深いハンドベル部、道場の畳がカラフルな色に張り替えられた柔道部など、四つのクラブ活動の様子をのぞいた。

 大小さまざまなベルの音色が、きらびやかにメロディーを奏でる。譜面をにらみ、素早くベルを振り上げる生徒たちの額には汗がにじむ。

 7月下旬の放課後、中学棟3階の音楽室では、中学ハンドベル部の生徒たち十数人が練習に励んでいた。「膝も使って体全体でうねるようにベルをグーッと回すので、演奏するとヘトヘトになる。『運動系文化部』だって自分たちで言っています」と顧問の稲垣和良教諭は話す。

 ハンドベルは半音を含めて音を一つずつ響かせる大小60~70ほどのベルがセットになった楽器。一番大きく最も低い音を出すベルは約8キログラムもあり、それを両手で持ち上げるパートになると、大人の男性でもきつい。

 教会の塔のベルを響かせるための練習用として、英国で生まれたといわれるハンドベル。「キリスト教に基づく人格教育」を理念とする同校では、入学式やクリスマスの集いなどで、ハンドベル部が登壇して曲を奏でている。近隣の教会礼拝へのボランティア出演など、ステージは年間十数回に上るという。

 音程順に置かれたベルに沿って一列に並び、1人の生徒が通常3、4個ずつ受け持つ。ただ、難しい曲になると、目の前のベルだけでは間に合わず、別のパートの生徒たちとベルを受け渡しながら、複雑なパズルを組み合わせるように演奏する。

 「息が合わないとグチャグチャになるから、コミュニケーションを取るのが大変。でも、そこがまた楽しい。気持ちが通じ合って、一つの曲が完成したときの達成感は最高です」と、部長を務める中学3年の中野桜さんは話す。

 そんな日々の中で、自然と仲間意識も培われる。「先輩も後輩もあだ名で呼び合い、一番仲のいいクラブって言われます」と中野さん。

 賛美歌からディズニー映画のテーマ曲まで、レパートリーは20曲以上。来年の夏休みには、同校の海外ホームステイの一環として、高校ハンドベル部による隔年の米国演奏旅行が行われる。ホストファミリーに感謝を込めて各地で演奏し、フィナーレに小さな黒人教会で奏でる予定だ。

昔の武蔵野の里山、ビオトープで再現

 コナラやアカマツなどの木立。モツゴやメダカが泳ぎ、トンボが舞う池。草花のわきを静かに流れる小川……。散策すると、ほっと息をつける一角が同校にある。自然環境を人工的に再現した「ビオトープ」だ。

 実はこのビオトープを提案したのは、中高の自然科学部(中学18人、高校9人)。5年前の明治学院創立150周年記念事業のアイデア募集に、「自然観察の場に」と応募したところ採用された。荒れ果てていた竹ヤブが伐採され、2015年春、小さいながら雑木林と水辺の空間に生まれ変わった。

中高の自然科学部が管理し観察するビオトープ
中高の自然科学部が管理し観察するビオトープ

 「昔の武蔵野の里山のような雰囲気を再現したい」と同部顧問の吉田理美(りみ)教諭は話す。だが、維持管理を任された同部の生徒たちは、ビオトープが誕生して以来、さまざまな課題にも直面し、それを一つ一つ乗り越えてきた。

 竹ヤブに元々あった池の水は当初、「生き物なんていないと思うくらい茶色く濁っていた」と、部長を務める高校2年の笹山健太君は振り返る。しかし生徒たちは、池の堆積物中の微生物に水浄化作用があることを発見。それを培養し、ゼリー状の“バクテリアマット”にして、池にまいたところ、翌日、水底までほぼ透明になったという。「実験もいろいろやって楽しかった」と笹山君。

 池のオタマジャクシから成長し、水辺に上がったカエルが乾いた土の上で干からびそうになっていたこともある。そこで近くの狭山丘陵に出かけてコケを採取し、池の周囲に張り付けた。水辺本来の湿り気のある環境が生まれ、コケのおかげで種子が流されず発芽しやすくもなった。ホタルブクロやタマノカンアオイなど狭山丘陵の自然の珍しい草花も育ってきたという。

 ビオトープの観察を通して思わぬ発見もある。落ちていたハクビシンのフンから、近隣のキウイ農家が食害に遭っていることも知った。今後は低木と高木が交じる森林の階層構造もつくるなど、「さらに自然の里山の姿に近づけたい」と吉田教諭は夢を描いている。

投げられる相手の痛み感じ、ともに成長

畳が新しくなった道場で稽古に励む中高の柔道部員
畳が新しくなった道場で稽古に励む中高の柔道部員

 鮮やかなイエローと淡いブルー。この夏休み中の7月31日、同校の柔道場の畳が明るくカラフルな色に一新した。

 「国際試合の雰囲気に近づけました」と柔道部顧問の有田英生教諭。近年の柔道の国際試合では、畳の色は場内が黄色、場外は赤が主流だ。ただ、赤だと目がチカチカしそうなので、そこは淡いブルーにしたという。

 畳が張り替えられた翌日、道場を訪れると、中高の柔道部(中学14人、高校14人)が稽古に汗を流していた。「新しい畳は気持ちいい」と中学3年の平山りささん。実は同校の柔道部は女子が目立つ。特に中学は14人中11人、高校も半数の7人が女子だ。

 新入生のとき、道場見学に行った平山さんは、「先輩たちがたくさん話しかけてくれて、どこよりも歓迎してくれた」と温かい雰囲気に感激し、入部を決めた。学年間の上下関係はまったくなく、仲がとても良いのが自慢だという。その一方、団体戦のメンバー選びのときなどは、力を出し切って「戦うときは戦います」と平山さん。

 中学から初心者として柔道を始めた部員が大半だが、中には運動が苦手で最初は前転もできない生徒もいる。しかし、「中高の6年間続ければ、勝てるようになります」と有田教諭は長い目で見守る。

 とはいえ、厳しい稽古に音を上げるときもあるようだ。「つらくて1日だけサボった日もあった。でも、やっぱり続けようと頑張ってきました」と平山さん。来年3月の昇段審査で、あこがれの黒帯を取るのが次の目標だという。

 柔道場の壁の貼り紙に書かれている言葉がある。「他者を感じる力」だ。武道として、あいさつをはじめ礼を重んじることはもちろんだが、それに加えて、有田教諭は生徒たちに次のことをよく話しているという。

 「投げられたら、やっぱり痛い。でも、投げられる方は『上手になってほしい』と思って、投げられてくれている。自分だけが強くなればいいのではありません。相手の痛みを感じ、感謝の気持ちを忘れてはいけない。そして、次は自分が犠牲になって投げられる。それがお互いの成長につながるのです」

 日々の稽古を通じて、生徒たちは心身を鍛えるとともに、相手の身になって思いやる心も育んでいるようだ。

高3最後の夏、全員で踊った全国大会

基本の動きを繰り返す高校ダンス部の1年生
基本の動きを繰り返す高校ダンス部の1年生

 自然と涙があふれてきた。昨年8月、横浜市のパシフィコ横浜。大ホールのステージ裏で、当時、ダンス部員で高校3年だった鳥居(あきら)さん(現立教大理学部1年)は、仲間のメンバー8人と踊り終え、やり遂げた充実感にひたっていた。「結果よりも、あんな大きな舞台で、仲間たちと踊れたことが何よりもうれしかった」と1年前を振り返る。

 高校ダンス部の夏の甲子園ともいわれる「ダンススタジアム2017」に昨年、関東・甲信越代表として出場した。メンバーは当時3年だった女子9人。強豪校は通常1~3年生の選抜チームで出場する。しかし、「うちは3年になると全員が出ます。1、2年生はどんなに上手でも支える側に回ってもらいます」と顧問の窪田りり子教諭は話す。出場した9人は、12人以下の少人数チームで踊る「スモールクラス」へのエントリーだった。

 3年生はみんなレギュラーというと甘く聞こえるが、全国大会に出るには全員が高いレベルに達する必要があり、むしろハードルは高い。「2分半の演技のために、生徒たちは地味な練習を何万回も繰り返します。うまい子も下手な子も励まし合って、チームとして成長してくれるんです」と窪田教諭。

 例年、明治学院大に内部進学せず他大学を目指す生徒は、受験勉強のため早いと2年の秋の文化祭後に引退していた。しかし昨年の3年生は、「ダンススタジアム」に出場した9人中7人が受験生。それでも夏の本番まで、早朝7時半に登校し、みんなでグラウンドを走り、放課後は厳しい練習に汗を流した。

 「ときには、みんなで開脚しながら、英単語の問題を出し合ったりしていました」と鳥居さん。受験を控え不安もあったが、逆に少ない時間に勉強に集中できた。その姿を見て、受験勉強をしながらダンスに打ち込む後輩たちも増えたという。

 今年の3年生も見事に予選を勝ち抜き、全国大会の「ダンススタジアム」へ出場した。そして、来年は次の後輩たちが挑む。「今は気づかないかもしれないけれど、みんなで踊れることに感謝して、一日一日を大切にしてほしい」。鳥居さんはそんな言葉を贈った。

(文・写真:武中英夫)

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41837 0 明治学院中学校・明治学院東村山高等学校 2018/09/25 05:20:00 2018/09/25 05:20:00 https://www.yomiuri.co.jp/media/2019/01/20180921-OYT8I50000-T.jpg?type=thumbnail

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