【特集】大学の単位を先行取得、進路実現をサポート…明治学院
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明治学院中学校・明治学院東村山高等学校(東京都東村山市)は昨年9月から、「推薦進学コース」の高3生を対象に、明治学院大学の単位を先行取得できる講座を開始した。ほかにも、大学の学部長訪問や模擬授業など、生徒の進路や夢の実現をサポートする多彩な高大連携を進めている。進路を決めた生徒の声とともにこれらの取り組みを紹介する。
高大接続科目で、大学1年生の単位を先取り

明治学院では、高校2年次に「受験コース・理系」「受験コース・文系」「推薦進学コース」の3コースに分けて、生徒の希望する進路に応じたプログラムを展開している。
「受験コース」は理系・文系ともに、国立大学や難関私立大学の受験に必要な学力を養成するため、入試問題の演習を中心とした授業を実施する。さらに、始業前の時間を活用した「朝講習」や、志望大学に合わせた春・夏・冬休み中の講習など、生徒の目標に応じた指導を行っている。
一方、「推薦進学コース」は、大学での研究に求められる基礎力の育成を目指し、独自の授業「アカデミック・リテラシー」を実施する。この授業ではフィールドワークやディベート、プレゼンテーション、リポート・論文に焦点を当て、充実したカリキュラムを用意している。
同校は、この3コース制を土台として、さらに生徒のキャリアデザインをサポートする多様な取り組みを進めている。その一つが、昨年9月から始まった「明治学院大学単位認定講座『教養原論』」だ。「推薦進学コース」の高校3年生を対象に「アカデミック・リテラシー」の授業の一部を高大接続科目とし、明治学院大学の履修単位として認定する制度だ。
講座の目的は、「文学」「社会学・社会福祉学」「経済学・経営学」など、大学の各学問の課題に対するアプローチの多様性を理解させることにある。同大の各学部の教員が、それぞれのテーマに基づいて全14回の講義を行い、生徒は、講座で習得した知識に基づき、自らの見解を表現する力を磨く。この講座を受けることによって、「推薦進学コース」の生徒は、スムーズに大学での学びに移行できるととともに、大学の教育理念である「Do For Others(他者への貢献)」に対する理解が深まるという。
学部長訪問や模擬授業を経験して進路を絞り込む

単位の先行取得制度以外にも同校は、毎年6月の第4週に、生徒が大学で学びたいことや興味のある分野に出会うきっかけとなる取り組みを続けている。
高校1年次では希望者を対象に「明治学院大学学部長訪問」を実施している。大学の六つの学部から希望の学部を選び、学部長の話を聞き、質疑応答する。
また、高校2、3年次では、「学部学科説明会(大学を知る会)」と「模擬授業」を開催している。生徒は希望の学部の説明会と模擬授業を二つずつ選んで参加できる。今年は「恋愛関係の社会心理学」(社会学部)、「判例は答えじゃない!」(法学部)などの模擬授業が行われ、生徒の関心を引き付けた。
このほかにもオープンキャンパスを始め、卒業生が自身の経験を語る会や、社会で活躍する人物を招いてキャリアを語ってもらう講演会を開くなど、多様なキャリア教育プログラムを実施している。
進路指導主任の松原洋教諭は、「こうした取り組みの目的は、生徒が本当に行きたい大学や学科はどこか、よく考えたうえで進路を決定できるようサポートすることです。明治学院大学を選ぶとしても、『行けるから行く』のではなく、『行きたいから選んで行く』という理由で進学してほしいと考えています」と話す。
同校は推薦入学の志望学科を、第3志望までしか受け付けていない。生徒自身が本当に行きたい学科をじっくりと考え、開示される推薦枠と照らし合わせて志望を固めてもらうためだ。第1志望への進学が難しいと思われる場合は、受験に挑戦するようアドバイスすることもあるという。

「本校は受験校と大学付属校、両方の要素を兼ね備えた『半付属校』です」と松原教諭は同校を特徴づける。「明治学院大学の学部・学科と、自身の学びたいことや将来の夢が合致した生徒は推薦進学できる。その一方で、希望の学部・学科がある外部の大学に進学したい生徒には、受験にチャンレジできる環境も整えています」
明治学院大学を希望する生徒は、志望理由書、小論文、面接によって判定される「系列校特別推薦入学試験」を受けて優先的に進学できる。対象は、高校3年間の評定平均値が、受験コースと推薦進学コース全員の上位8割までの生徒で、成績上位者から希望学科を受験できる仕組みだ。また、上位8割を下回る生徒にも、評定平均値や出席日数などの条件付きで、受験可能な学科が用意されている。
そのほか「指定校推薦」や、明治学院大学への推薦入試の権利を有したまま他大学を2大学2学科まで受験できる「特A推薦」といった制度もある。「受験コース」「推薦進学コース」いずれの生徒もこれらの制度で出願できる。
学びたいことを見つけられるよう大学選びをサポート
夏休みを目前に控えた昨年7月18日、同校を訪れ、進路を決めた高校3年生に話を聞いた。
「推薦進学コース」を選択した清水大晴君は、オープンキャンパスをきっかけに、明治学院大学への進学を決意した。「もともと理系なので、『受験コース』に進もうと考えていましたが、オープンキャンパスに行ったとき、明治学院大学の校風が自分に合っていると感じ、推薦進学を希望しました」と話す。
同じく、「推薦進学コース」を選んだ清水菜南美さんもオープンキャンパスに行き、学部長訪問も経験した。「学部長訪問では、大学の授業の内容や学部長の経験を、ざっくばらんに聞くことができました。アットホームな雰囲気で、とても楽しかったです。今はまだ、将来の夢は決まっていませんが、明治学院大学なら夢を見つけられそうだと感じ、進学を決めました」と笑顔を見せた。
一方、「受験コース」を選んだ石川美咲さんは、「中学に入学した時は、明治学院大学に行こうと思っていましたが、大学が家から遠いことと、自分の学びたいことが集中的に学べる外部の大学が見つかったので、受験コースを選びました」と話した。
ここ数年の進学の傾向について松原教諭は、「2020年から実施される大学入試改革の影響や、私立大の入学定員管理の厳格化によって明治学院大学のブランド力が上がったことで、内部進学者が増加する傾向にあります」と話す。「しかし、生徒にはネームバリューではなく、学びたいことや興味のあること、将来の夢に関わる分野を見つけて、進学先を決めてほしい。そうした進学をサポートできる取り組みを行っていきたいと考えています」
(文:籔智子 写真:中学受験サポート)
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