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【特集】コロナ禍をバネに成功させたICT教育の進化…明治学院

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 明治学院中学校・明治学院東村山高等学校(東京都東村山市)は昨年、コロナ禍をバネに大きくICT教育を推進した。今年度から、中学、高校の新入生全員に1人1台のiPadを配布したほか、休校期間中のオンライン授業などを通して教師、生徒ともに急速にICTの活用に習熟したという。その経緯や伝統の英語教育に与えた効果などを取材した。

1人1台のiPadとコロナ対策でICT化が加速

「iPadの導入で生徒の授業への取り組みが積極的になりました」と話す高橋先生
「iPadの導入で生徒の授業への取り組みが積極的になりました」と話す高橋先生

 「当校はいわば『古い』学校で、決してICTが進んでいた学校ではありませんでした。生徒にタブレットを持たせることもなく、マルチメディア教室も1室しかなかったのです」と伊藤節子校長は率直に話す。

 数年前までは出欠を確認したり、天候やインフルエンザによる休校の連絡を一斉配信したりするために電子メールを使っていただけだった。2年前に、大学入試改革に伴ってポートフォリオ作成が必要になることを見越し、学校教育用クラウドサービスの「Classi」を導入したが、生徒個人のスマホや自宅パソコンを使うということで、教職員からは不安の声も上がったという。「導入後は、『こんなに何もないのにこんなに活用している学校は珍しい』と言われるくらい活用しました」と伊藤校長は苦笑する。逆を言えば、それほどゆっくりとICTの活用が進められてきたということだ。

 その流れを加速させたのは、今年度から中学高校ともに新入生に1人1台のiPadを持たせたことだ。ICT担当で英語科主任の高橋昭夫先生によると、同校は英語教材に、「プログレス21」を使っていて、その音声教材の提供方法が今年度、SDカードを専用のリピーターで読み込む方式からアプリに変更された。そこでアプリに対応するため中高の新入生からタブレットを配布することに決めたという。

 「しかし、休校がなければ当校のICT化は、もしかしたらここまでだったかもしれません」と伊藤校長は振り返る。新型コロナウイルスの感染拡大に伴う休校期間中、生徒への連絡や、プリントのPDF添付、健康観察などでいやが応でもClassiやiPadをフル活用することとなり、ICTの利便性、必要性を切実に実感したという。

定時の礼拝と授業動画の配信で乗り切る

ICTを活用して行われる英語の授業
ICTを活用して行われる英語の授業

 さらに休校延長が決まると、オンライン授業に踏み出すことを決定した。中高全体でGoogleのアカウント登録をし、5月の連休明けから時間割通り、全教科の「リモートラーニング」をスタートさせた。オンライン授業の方式は、保護者が在宅ワークをしていて、生徒がデバイスを使えない可能性を考え、自分のペースで学べるように、オンデマンドでの授業内容の配信とした。「オンライン授業というとライブ配信のイメージがあるため、高橋先生にも相談して、当校ではリモートラーニングという名称にしました」

 同校は、ヘボン式ローマ字を考案した宣教師ヘボン博士の英学塾を源流としている。キリスト教校にふさわしく、一日の始まりとなる礼拝は定時配信し、視聴した旨の連絡を受けることで、生徒の生活リズムを整えるようにした。

 一方、オンライン授業の配信内容は個々の先生たちに任せた。体育科の先生たちはリズムに乗って行うストレッチ動画を配信して、家庭で保護者も一緒に行うよう促し、家庭科では裁縫の手元が見えやすいようクローズアップの動画を制作するなど、それぞれの教科がさまざまな工夫を図った。

 年配の先生の中にはICTへの戸惑いもあったが、7週間のリモートラーニング期間を経て、生徒も教員もICTを使いこなせるようになったという。「今、当校もやっと時代に追いつきました」と伊藤校長は振り返った。

ICT教育で生徒の学習姿勢が積極化

生徒1人1台のiPadが学習を効率化する
生徒1人1台のiPadが学習を効率化する

 iPadの導入以後、生徒の学習への取り組みに変化を感じると高橋先生は話す。「授業では、板書やノートに写す時間を減らし、パワーポイントでスクリーンに投影しています。授業で使用したプリントやパワーポイントはPDF化して、生徒のiPadにGoogle Classroomで配信します。生徒は復習をしやすく、欠席した時にも自宅で確認出来るようになりました。授業中にアンケートを行って、すぐに結果をまとめることも簡単にできるようになり、生徒の授業への取り組みが積極的になりました」

 高橋先生が担任するクラスで「iPadを持つことで学習が効率的に行えるようになったか」というアンケートを取ったところ、9割以上の生徒が「非常にそう思う」「どちらかと言えばそう思う」と回答したという。

 また、休校期間に実施したオンラインでの音読テストでも大きな収穫があったそうだ。「音読している様子を自宅で動画撮影し、Google Classroomで提出させました。撮り直しができるので、生徒は自分の声を聴き直し、手本の音声と何回も聴き比べ、良かったものを提出したようです。今まで、生徒が自分の音声を聴くということはあまりありませんでしたが、聴き直しをして修正していった効果か、例年より音読のレベルが高くなりました」

 ICTの活用が進む一方、これからの課題も明らかになってきた。同校の英語教育はヘボン博士以来の長い伝統がある。耳と口だけでなく全身を使って学んでいくスタイルが特徴であり、「当校の英語教育は、体育に近いと思います」と高橋先生は言う。ペアワークやグループワークなどの共同学習授業も、創立以来のやり方を発展させながら受け継ぎ、実績を上げてきたものだが、生徒同士の密を避けるために、従来通りの方式を取ることは難しい。

 高橋先生は「今後はGoogleドキュメントやスプレッドシートなどの共同編集の機能を使って、一つのファイルを複数人で同時に編集作成するグループワークなど、共同学習のツールとしてiPadを活用していくことを考えています」と語る。

 ただ、通常授業に戻った現在、生徒たちも対面授業の良さを改めて実感している様子があるという。「デジタルネイティブと言われる今の子たちですが、オンライン授業の方がいいと言う生徒は殆どいませんでした。リモートラーニングの期間にも、一人じゃない、仲間がいるんだという気持ちになれるよう、授業でQuizizzというオンラインツールを用いて、単語クイズをリアルタイムで行うなど工夫をしたのですが、やはり生徒たちの『学校に行きたい』『仲間に会いたい』という思いは大きいと感じました」

 伊藤校長は今後の学校の方向性について、「コロナへの緊張感や感染防止の気持ちは持ちつつ、生徒の活動、生徒同士の交流は出来るだけ可能にしたい」と語る。「やはり生徒は生徒同士でいる時が一番生き生きしています。獲得したICTリテラシーをうまく活用し、体育祭や文化祭を始め、生徒の多彩な学校生活をこの広いキャンパスを生かしてできるだけ実現していきたい」

 (文:池野みのり 写真:中学受験サポート 一部写真提供:明治学院中学校・明治学院東村山高等学校)

 明治学院中学校・明治学院東村山高等学校について、さらに詳しく知りたい方はこちら

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1770502 0 明治学院中学校・明治学院東村山高等学校 2021/01/19 05:01:00 2021/01/19 05:01:00 https://www.yomiuri.co.jp/media/2021/01/20210114-OYT8I50028-T.jpg?type=thumbnail

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