「ブタの眼球の解剖」見て触って探求する理科…埼玉栄

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 埼玉栄中学校・高等学校(さいたま市)は、実験・観察を中心とした理科教育に力を入れている。中学では「医学クラス」を中心に、高校生向けに整備された理科室を活用した授業が盛んに行われ、生徒たちは自分で考え、探求する姿勢を養っている。同クラスの3年生が10月4日に行った「ブタの眼球の解剖」を取材し、担当教諭に理科教育の狙いなどを聞いた。

中学で「面白い」「楽しい」と感じた経験は後々まで残る

「得られた結果について考察し、文章でまとめる力を伸ばしていきたい」と話す宇野先生
「得られた結果について考察し、文章でまとめる力を伸ばしていきたい」と話す宇野先生

 埼玉栄中学校・高等学校は2016年度に、医学部進学を目指す中学1年からの「医学クラス」を設置した。現在、中3の医学クラス担任であり、理科を担当する宇野翔吾(うのしょうご)先生は、このクラスの授業を受け持つに当たり、「知識詰め込み型ではなく、実験中心にしよう」と計画を立てたという。

 「高校では理科の科目は選択制となるのですが、中学のうちは、生物、化学、物理、地学4科目について比較的自由に学ぶことができます。中学で『面白い』『楽しい』と感じた経験は後々まで記憶に残るものです」

 同校では中学生と高校生が同じ校舎で学んでおり、生物室、化学室などの理科教室も高校生向けに整えた設備を、中学の授業で活用することができる。この環境を活用して生物、化学、物理、地学の4科目を通して、できるだけ多くの実験を行っているという。

 この日の実験は、2時間連続の「生物」の特別授業だ。参加したのは中3「医学クラス」の男女それぞれ10人の計20人。

中学生でも、高校生と同じ高度な環境で実験に取り組むことができる
中学生でも、高校生と同じ高度な環境で実験に取り組むことができる

 まず、トレーに載せられたブタの眼球が、生徒たちに1人一つずつ配られる。「ビニール手袋をはめて、まずは触って感触を確かめてください」と、宇野先生が促す。「直視できないかも」と目をそらすようにして触っている生徒もいれば、「これがまぶたかな」と、さっそくあれこれ調べ始める生徒もいる。生徒たちは、まず眼球に筋肉が付いている様子を観察し、スケッチを行った。さらに、解剖ハサミとピンセットを使って筋肉の部分をはがし、眼球を取り出す。

 「解剖ハサミは、刃先が丸くなっているほうを下にして使ってください。神経を傷つけないようにするためです」と宇野先生が説明を加える。さらに、眼球を覆っている硬い強膜にハサミを入れ、中からガラス体、水晶体を取り出した。「水晶体の役割については、前回学びましたね。カメラのレンズのような役目を果たしている部分です」

 「意外に弾力がある」「中は黒いね」と、最初は恐る恐るだった生徒たちも、皆いつしか夢中になって一つ一つの部位を観察していた。

 「前回の授業で、視覚器である目の構造と働きについて学習しました。実際の眼球を手にしてその構造を確認すると同時に、解剖の基本的操作を学んでほしかったのです」と、宇野先生はこの日の授業の狙いを話す。

 目の構造と働きを学ぶために、生徒たちが前回使ったのは高校生向けの生物の教科書だという。「高度な知識を身に付けるというよりも、こうした解剖のような授業を通して、自分で考え、探求する姿勢を養ってほしいと考えています。今回の解剖でも、『言われたことだけでなく、興味のあることはどんどんやってみて』と生徒たちを励ましました」と宇野先生は語った。

好奇心が強い「医学クラス」の生徒たち

眼球のさまざまな部位を観察した後、考察を行う
眼球のさまざまな部位を観察した後、考察を行う

 解剖に参加した堀越(ほりこし)SEBASTIAN(セバスティアン)拓未(たくみ)君と、飯島百合子(いいじまゆりこ)さんに感想を尋ねた。堀越君は「実物を手にしたことで、授業で説明を聞いて学んだことが、とてもよく理解できました」と話した。元々理科に興味があり、「自分の好きなことを、人を救う仕事に生かすことができれば」と、医師を志すようになったそうだ。

 飯島さんは「目の働きとして、網膜に映る像は上下左右反転しているということを学んだのですが、実際に網膜を見て、『ここに映るのか』と、とても興味深く感じました」と言う。飯島さんは曽祖父が軍医だったと聞いて医学に興味を持つようになり、「難関大クラス」から「医学クラス」へと中3でコース変更を行ったという。

 「医学クラス」では中1の時に校外学習の一環として、帝京大学医学部への見学を行っている。飯島さんも同大の実験室でDNAの抽出を体験したそうだ。「人でも動物でも、DNAの変異は必ず起こり得るということを学び、それをテーマに夏休みのリポートを書きました。思いがけないこと、新しいことを次々と知ることができます」と飯島さんは学ぶ喜びを話した。

 「医学クラス」で学ぶことのメリットについて、堀越君は「医師を志す仲間の中でも人によって興味を持つ分野が異なり、お互いに話をしているうちに、自分の進むべき道をはっきりさせることができます」と言う。飯島さんは「皆が同じ目標を持っているので、モチベーションがぶれず、勉強の意欲を保つことができます」と語った。

 宇野先生は「医学クラスの生徒たちはやはり好奇心が強く、他のクラスの生徒だと教師の説明を聞いて終わってしまうようなところでも、『この部位はどういう働きをするんですか』と突っ込んで聞いてきたりします」と苦笑する。

 「医学クラス」で行われている先進的な取り組みに、他のクラスの教師たちも興味を抱き、学校全体で理科教育への関心が高まっているそうだ。「自分で考え、予測を立て、実践により検証する。こういったアクティブラーニングの取り組みは、理科に限らず、これからのさまざまな学習に生きてくるはずです。今後、得られた結果について考察し、文章でまとめる力をさらに伸ばしていきたいと考えています」と、宇野先生は抱負を語った。

 (文・写真:足立恵子 一部写真提供:埼玉栄中学校・高等学校)

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918551 0 埼玉栄中学・高等学校 2019/11/28 05:22:00 2019/11/28 05:22:00 https://www.yomiuri.co.jp/media/2019/11/20191126-OYT8I50000-T.jpg?type=thumbnail

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