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【特集】探究サイエンス入試導入で科学教育に弾み…山脇学園

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 山脇学園中学校・高等学校(東京都港区)は来春、新たに「探究サイエンス入試」を導入する。同校は、本格的な設備を持つ「サイエンスアイランド」を活用して科学教育に力を入れており、この入試でも、「未知の世界に臨む生徒、探究心を持って課題を追究する生徒」を集めたい考えだ。探究・校外プロジェクト主任で生物が専門の大島悠希教諭に、入試の詳細や在校生の科学への取り組みを聞いた。

求む「理科が好き、探究が好きな子」

探究・校外プロジェクト主任で生物が専門の大島悠希教諭
探究・校外プロジェクト主任で生物が専門の大島悠希教諭

 山脇学園中学校・高等学校は、英語学習の「イングリッシュアイランド」、主体的な教養を育む「リベラルアーツアイランド」と並んで8年前に、科学的探究エリア「サイエンスアイランド」を開設し、科学への志と技術を育むためのさまざまな取り組みを行ってきた。このサイエンスアイランドの充実した学習環境を活用し、科学を通じて社会に貢献したいという「志」を持つ生徒を迎えようと、2020年春から、新たに「探究サイエンス入試」を導入することとなった。

 実施予定日は2月2日で、募集定員は10人。入試科目は理科の学科試験(100点)と課題研究(150点)の二つだ。

 学科試験は30分の記述テスト。小学校での学習状況を確認するのが目的であるため、基礎知識を問う内容となっていて難問奇問はないという。大島教諭は「小学校で学ぶ理科の知識と計算力、読解力を普段からしっかり学習することが大切です」とアドバイスする。

 課題研究の試験は、60分で課題に対して仮説を立て、実験し、発表シートをまとめる試験だ。「たとえば『脈拍数を変化させるには』という問いであれば、脈拍の平均値を出せるかなど、科学の基礎的な態度ができているかが評価のポイントになります。そして、運動する、怖い思いをさせる、好きなことを考えるなど、課題に対してどう考えたかも重要です。さらに発表シートにまとめて、知識や考えを人に伝える能力を備えているかも評価のポイントです」と大島教諭は説明する。

 オープンキャンパスや説明会では課題研究の試験について詳しい解説をしている。また、8月24日には、試験の体験ができる「探究力チャレンジ講座」が開講され、受験生らがサンプル課題に挑戦した。「理科が好き、探究することが好きな人には、ぜひ挑戦してほしいですね」と大島教諭は科学に関心のある生徒が来春受験することを心待ちにしている。

好奇心を持って探究する力を育む中学3年間

カヤックで調査活動を行う「西表野生生物調査隊」
カヤックで調査活動を行う「西表野生生物調査隊」

 「探究サイエンス入試」で入学する生徒だけでなく、山脇学園の門をくぐった生徒たちには、さまざまな科学教育のプログラムが待っている。

 中学1・2年次には、通常の理科の授業に加え、週1時間、実験中心の授業「サイエンティストの時間」がある。この授業の狙いは科学する心や学ぶことの楽しさを発見することであり、実験を通して技術力、考察力、表現力を身に付けていく。

 中3以後も、さらに科学を学びたい生徒は、進級時に選択するチャレンジプログラムで、「科学研究」を選ぶことができる。科学研究チャレンジプログラムを選んだ生徒は、以後1年間、サイエンスアイランド内の継続研究室で、本格的な研究活動に取り組むことになる。

 科学研究チャレンジプログラムを選んだ生徒は、5月の修学旅行で「西表野生生物調査隊」として沖縄県の西表島に向かい、6日間かけて野生生物の調査活動を行う。その間、シュノーケリングで沖縄の海に潜ってサンゴを観察し、夜には星空を観測する。また、カヤックとトレッキングでジャングルや洞窟内を探検したり、数々の絶滅危惧種と遭遇したりする。いかにも探究心をそそるプログラムとなっている。

 このプログラムでは東海大学沖縄地域研究センターと琉球大学熱帯生物圏研究センターの協力や指導を受けながら自然観察を進める。傷ついたサンゴの観察体験などから、環境保護につながる仕事をして社会で役立ちたいと考え、進学先の大学や学問領域を絞り込む生徒も少なくないという。

情報系・科学技術系・生命系に分かれ、研究に没頭

科学技術系の研究室で、ウクレレの自動演奏に取り組んでいるチーム
科学技術系の研究室で、ウクレレの自動演奏に取り組んでいるチーム

 1学期の授業と定期試験を終えた7月11日、サイエンスアイランドを拠点として放課後に理数系の研究に取り組む特任部「SIクラブ」の研究活動を取材した。

 継続研究室の廊下の壁には、西表島での研究資料が掲示してあった。生徒が事前の調べ学習をまとめたものだ。毎年、生徒はそれぞれ自分の関心を持つテーマについて仮説を立てて現地に行く。十分に準備することで、現地で深い探究ができるからだという。別の壁には、海の生物の写真が一面に掲示されていた。「2013年から毎年、西表島を訪問していますが、毎回、新種を発見します」と大島先生はうれしそうに話す。

 継続研究室で生徒たちは、情報系、科学技術系、生命系の三つのグループに分かれて活動していた。情報系の研究室では、毎年訪問する西表島の宿泊施設の模型をコンピューター上で再現する3Dモデリングに取り組むペアがいた。宿泊施設の構造があらかじめ分かれば、後輩が便利だろうと考え、スタートしたプロジェクトだという。

 科学技術系の研究室では、ロボット作りに取り組んでいるチームやウクレレの自動演奏に取り組むチームがあり、先生とディスカッションしながら改善アイデアを探っていた。

 高1の西山綾音さんは、中3のときSIクラブでロボットを研究していた。現在は飛行型ロボットの開発に取り組んでいて、「飛行型ロボットには、飛行機型とヘリコプター型と昆虫型とがあり、私が手がけ、伸ばしていきたいのは飛行機型です」と話した。飛行型ロボットの研究ができる大学への進学を希望しているそうだ。

マングローブの胎生種子の発芽と発根について研究発表したポスター
マングローブの胎生種子の発芽と発根について研究発表したポスター

 生物系の研究室では、マングローブの生育を観察するチームが胎生種子の発芽と発根の特性を研究していた。壁に掲示された研究ポスターは、琉球大学熱帯生物圏研究センター西表島研究施設との共同研究として、日本マングローブ学会の大会で、ポスター発表を行ったとき使ったものだという。

 SIクラブでマングローブを研究していた高1の柴田玲さんは、中3の3月に東京農業大学で行われた日本マングローブ学会の大会で口頭発表を行っている。大学の研究者たちと一緒に発表できる機会を持てたことは、大きな自信になったことだろう

 SIクラブの1期生には、西表島の研究活動でイリオモテヤマネコが絶滅の危機に瀕していることを目の当たりにし、東京農業大学に進学して野生動物保護をテーマに研究に取り組む卒業生がいる。SIクラブで石の面白さに気付き、地層の研究にのめり込んで、現在、千葉大学で地球科学を学び、研究者を目指している卒業生もいる。

 「私たち教員の指導は、生徒の自分探しをサポートすること。物理、生物、化学など理科の教員だけでなく情報や数学の教員もSIクラブに足を運び、見守っています」

 山脇学園では、「志を育てることなく人間を大成させることはできない」という山脇房子・初代校長の信念を受け継いで、生徒の「志」を養うことを教育の基本に据えているという。英語教育に強い女子の伝統校として知られるが、科学の道にも大いに「志」を立てて、新しい研究の世界を切り開いてほしい。

 (文:水崎真智子 写真:中学受験サポート 一部写真提供:山脇学園中学校・高等学校)

 山脇学園中学校・高等学校について、さらに詳しく知りたい方はこちら

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906818 0 山脇学園中学校・高等学校 2019/11/21 05:22:00 2020/11/27 16:24:46 https://www.yomiuri.co.jp/media/2019/11/20191119-OYT8I50009-T.jpg?type=thumbnail

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