中学女子部「CCクラス」2年目の確かな手応え…國學院久我山

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 國學院大學久我山中学高等学校(東京都杉並区)の女子部の中学に開設された「CC(カルチュラル・コミュニケーション)クラス」が2年目を迎えた。グローバル教育と英語教育に、同校の強みである日本文化の学びを加えたアクティブラーニング型の授業は、教室を日々活気付けているという。この取り組みの現状を取材した。

教員の投げかけに複数の生徒が即座に答える

高橋副校長(左)と横山女子部長
高橋副校長(左)と横山女子部長

 國學院久我山は従来、男子部・女子部ともに、最難関大学を目指す「STクラス」と「一般クラス」の2コース制を取っていたが、女子部は昨年度、「一般クラス」を改編し、「日本を学び、世界に貢献できる人材育成」をコンセプトにした「CC(カルチュラル・コミュニケーション)クラス」を中学に新設した。初年度は42人、2年目となる今年度も43人をこのクラスに迎えている。

 導入2年目を迎えた「CCクラス」について、女子部長を務める横山聡教諭は大きな手応えを感じている。

 「改めて、生徒たちの吸収力のすごさを感じています。昨年の3学期、中1の『グローバル・イシュー:学校へ通えない子供達』の授業で、英語のドキュメンタリー番組を見ました。字幕なしでしたが、生徒たちは状況を理解し、共感している。英語力だけの問題ではなく、遠い国の出来事に関心を持ち、知ろうとする姿勢ができていると感じました」

 「グローバル・イシュー」は、「CCクラス」の特別なカリキュラム「グローバル・スタディーズ(以下、GS)」の一つだ。GSは、テーマごとに設定した五つのユニット(単元)で構成される通年のアクティブラーニング型授業で、テーマごとにレクチャーや調査、討論、プレゼンテーションなどの探究活動を4~6週かけて行う。年度の最後となるユニットが「グローバル・イシューズ」であり、難民や教育格差、環境問題など人類が直面するさまざまな問題を考えていく。

 こうした特別なカリキュラムだけでなく、普段の授業でも生徒の積極性は増しているという。「教員の投げかけに複数の生徒が即座に答えるなど、双方向の授業ができます。臆することなく発言する積極性と相手の意見を聞く態度が育っており、生徒間の議論も活発です」

日本文化を外国人にしっかり伝えられるよう学習

玉川上水について、そのなりたちや太宰治とのかかわりなど複数の視点から理解する授業
玉川上水について、そのなりたちや太宰治とのかかわりなど複数の視点から理解する授業

 「CCクラス」は、「Diversity(他の国の文化や伝統を尊重し合える人)」「Friendship(英語を意欲的に学びフレンドシップを深められる人)」「Communicator(日本の文化や伝統を学び世界に発信できる人)」の三つを教育目標としている。同校はルーツが國學院大學であるだけに、日本文化をしっかりと学び、発信する「Communicator」の要素はとりわけ重要だ。

 昨年度まで女子部長として「CCクラス」の導入を主導した高橋秀明副校長は、「CCクラスは昨年突然できたわけではありません。國學院久我山の女子部として教えてきた教育をベースに、バラバラだった授業を体系的に組み直して、日本の文化を外国人にしっかり伝えられる学習となるように工夫しています」と語る。

 例えば、自分たちで縫った浴衣で日本舞踊を学ぶ。国語科と社会科では、学校の近くにある玉川上水をテーマに、上水のなりたちと上水に関係する太宰治の作品と歴史を学ぶ、というように、一つのトピックを複数の視点から眺めることで、日本の文化や、歴史と文学を深く理解していくといった構成になっているという。

 実際のGSの授業はどのように進められるのか。横山教諭は「GSのテーマは、内容や時期に応じて、さまざまなものを教材に活用します」と話す。「最近行った中2の授業では『日本の魅力を考える』というユニットで、新聞のテレビ欄から日本を紹介する番組を調べ、旅行パンフの内容を基に日本の魅力を分析しました。文化の多様性についての意見交換では、ラグビーワールドカップでニュージーランドチームが行った『ハカ』も話題になりました」

外部から講師を招いてお茶の歴史や文化、いれ方や味わい方を学ぶ
外部から講師を招いてお茶の歴史や文化、いれ方や味わい方を学ぶ

 さまざまな科目に関わる内容のため、多くの教員が協力して教材作成やレクチャーを行う。外部から講師を招くこともあり、『日本文化を知る・伝える』というユニットでは日本茶インストラクターを招いてお茶の歴史や文化、いれ方や味わい方の体験学習を行ったそうだ。

 来年度から始まる中3のGSでは「グローバルな視点を育てる」を年間テーマに、世界の文化や社会状況について学ぶ予定だ。これに「働く」という視点も加え、グローバル企業や世界で活躍する日本人などを取り上げる構想となっている。さらに高1では「多様性」をテーマに社会や企業、大学の国際化を探究し、GSの最終学年となる高2では、外国人留学生とのディスカッションや協働作業などを盛り込むという。

 「どんな場所でも、どこの人とも協働できる資質を育てます。高3では文系・理系問わず広い視野で将来を意識し、自信を持って受験に取り組めるでしょう」と横山教諭は自信を見せた。

さまざまな体験・交流プログラムで実践的な英語力を

外国人大学生とディスカッションなどを行う「グローバル・リーダーシップ・ワークショップ」
外国人大学生とディスカッションなどを行う「グローバル・リーダーシップ・ワークショップ」

 「CCクラス」ではこのほか、英語力やコミュニケーション力の強化を目指して、希望制だったプログラムを必修化したり、新たな交流・体験プログラムを充実させたりしている。

 中1・2生を対象とする、英語による数学の授業「マス・イン・イングリッシュ」は希望制から必修プログラムとした。中3生を対象とする「グローバル・リーダーシップ・ワークショップ」も必修化していて、外部施設に2泊3日し、外国人大学生とともに英語によるディスカッションやプレゼンテーションを行う。

 今後は、高1を対象として、同じ高1の海外留学生を交えて英語で交流や協働作業を行う2泊3日の「エンパワー・プログラム」を行う。また、高2を対象として、英語研修施設「TOKYO GLOBAL GATEWAY」(江東区)で、生活場面を想定した英会話のトレーニングや、英語による探究活動のプログラムも予定している。

 高2では8泊10日のニュージーランド修学旅行を実施する。現地で「日本文化を伝える」をテーマとした活動を計画しており、横山教諭は「日本のどのような文化をどんな方法で伝えるのか、全て生徒自身が考え、実行する旅行にしたい。ハードルは高いですが、CCクラスでの学習の集大成と位置付けています」と語る。

 高橋副校長も、「CCクラス」の生徒の将来に大きな期待をかける。「6年間真剣に学べば、かなりタフな頭脳と精神が育つはず。今後は自分の人生を自らデザインする時代になります。感性を磨きつつ、そのための判断力、行動力を身に付けてほしい」

 「CCクラス」は今後4年かけて全学年に設置される予定だ。そのための教員側の準備も着実に進められている。「CCクラスの実施状況は書類や動画に残し、今後CCクラス担当となる先生方にも見ていただいています。クラス運営や教材作成にはアイデアが必要です。教員全体で意識を高め、幅広い分野での人材募集も視野に陣容を整えたい」

 高橋副校長によると、男子部にも改革の動きがあるという。「女子部はクラスが少ないため先に踏み切りましたが、男子部ならではの進化も図りたい。女子部で得た手応えやノウハウを踏まえ、近々着手する予定です」

 まだ始まったばかりの「CCクラス」だが、國學院久我山の伝統に新しいページを加えつつあるようだ。

 (文:上田大朗 写真:中学受験サポート 一部写真提供:國學院大學久我山中学高等学校)

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954300 0 國學院大學久我山中学高等学校 2019/12/18 05:22:00 2019/12/18 05:22:00 https://www.yomiuri.co.jp/media/2019/12/20191216-OYT8I50040-T.jpg?type=thumbnail

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