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【特集】「自主自立」を糸口により確かな学力と人間力へ…國學院久我山

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 國學院大學久我山中学高等学校(東京都杉並区)の國清英明校長は今年、就任2年目を迎えた。規律正しい校風や男女別学の環境、前校長が注力したグローバル教育の流れを引き継ぎながら、今後は生徒の「自主自立」を促す教育で学力と人間力の養成に力を入れるという。同校の特色や今後の抱負について、國清校長に聞いた。

規律正しい校風と男女別学のメリット

「新たな教育にもしっかりした基礎力の育成で臨みたい」と話す國清校長
「新たな教育にもしっかりした基礎力の育成で臨みたい」と話す國清校長

 國清校長は東京理科大学数学科を卒業し、1979年に数学科教員として同校に赴任した。以来、42年にわたり同校で教育に携わり、校長就任の前年まで数学科教員として教壇に立った。授業にオリジナルのプリント課題や計算力診断テストなどを取り入れて学力強化に取り組み、もともと文系重視だった國學院久我山に「理系に強い学校」の評価をもたらした功労者の一人だ。その経験を踏まえ、「近年の新たな教育にも、しっかりした基礎力の育成で臨みたい」と話す。

 國清校長の語る「基礎力」には学力の面と人間力の面があるという。その人間力を磨くうえで、まず同校の特長として「規律を重んじる校風」を指摘する。

 同校には「規律を守り誇りと勇気をもって責任を果たそう」「(たゆ)まぬ努力に自らを鍛えたくましく生きよう」といった実践目標があり、時間厳守、あいさつ・礼儀など、社会のルールやマナーを重視した生活指導を日々行っているという。

 「今どきの中高生は厳しいと感じることもあるでしょうが、こうした『鍛錬』は社会に出た後に生きてきます。例えば、悪天候などで電車が遅延した場合、遅延証明書を発行してもらえば遅刻扱いにはなりません。しかし、交通機関の乱れの可能性も踏まえて遅れないように来れば、より評価されます。人や周囲のせいにせず責任を持って行動する姿勢が、結果的に自分を助けることになるのです」

体育祭の応援は男女合同で行われる
体育祭の応援は男女合同で行われる

 また、共学化の流れが強まるなか、同校が採用している「男女別学」にも、人間教育の長所を見いだしている。

 「私は男子校としての久我山に奉職したのですが、同性同士のコミュニケーションは気持ちで通じ合える部分があります。言いたいことをダイレクトに伝え、反発もダイレクトに返す。そうした積み重ねで、良い人間関係の作り方が学べます。また、共学の環境では男子が主、女子が従の立場になりがちですが、別学ならリーダーから実行役、裏方まで全て同性でやるため、かえって生徒本人の特性が引き出しやすい。もちろん、異性の目を気にせずのびのびと自分の得意分野に打ち込めることもメリットでしょう」

 その上で、男子部と女子部が同じ敷地内にあるため、男女の協働や交流が可能になるというメリットも加わるという。

 「文化祭や体育祭は男女共同で実行委員会を作りますし、男子の野球やサッカーの大会出場や女子のダンス発表会などは、互いに『我が校の仲間の成果』として共有できる良さがあります」

自立心を育成して自学自習の姿勢を身に付ける

数学を英語で学ぶ「Math in English」の取り組み
数学を英語で学ぶ「Math in English」の取り組み

 國清校長は、学力の面でも基礎力を重視する。「多くの学校がグローバル教育として、英会話授業の充実やネイティブの講師の採用に力を注いでいます。本校も数学を英語で学ぶ『Math in English』や留学生に学校周辺の史跡を案内する『英語で地域探訪』などを導入していますが、文法の知識や読解力といった基礎がなければ、トータルな英語力は育ちません」

 國清校長が教えてきた数学でも、基礎力の重要性は変わらないという。「近年は双方向対話型授業、つまり教員と生徒や生徒同士の議論が重視されますが、その前提としてしっかりした計算力やテキスト内容の理解が必要です」

 その基礎力を鍛える方法として、國清校長がこれまで以上に力を入れたいと考えているのが自学自習だという。「ただ、取り組むのは生徒自身なので、自主性や自立心をさらに高めることが、当面の課題です」

 そこで、現在取り組みつつあるのが、学校行事や部活動を通した自主性、自立心の育成だ。就任1年目の昨年度は、文化祭や体育祭に対する教員の関与を減らし、生徒会主導で準備や運営を行う方針を打ち出した。

 「生徒会執行部が、文化祭のコンセプトや企画について全教員約100人の前でプレゼンテーションを行い、丁々発止の議論にもなりました。体育祭も、企画や進行を生徒に任せる方向を打ち出しています。初の試みで準備がやや遅れたこともあり、進行はややギクシャクしましたが、生徒も教員も徐々にノウハウを蓄積し、慣れていくでしょう」

今年はオンラインで開催された文化祭
今年はオンラインで開催された文化祭

 今年度は新型コロナウイルスの感染予防のため体育祭は中止となり、11月初旬の文化祭は学校ホームページ上で動画などをオンデマンド配信することになった。

 「生徒主体の企画・運営の姿勢は変わりません。今後も時間をかけて教員は裏方にまわり、生徒主役の行事を作っていきたい」

 部活動では、生徒同士が教え、学び合う仕組みを確立したい考えだ。「現在、ほとんどの部活動は中・高別々の実施ですが、剣道部と柔道部は練習場の関係で共同でやっていて、自然に高校生が中学生を指導するようになっています。そうした縦のつながりを他の部にも広げたいと考えています。体育祭も現在は中・高別スケジュールですが、6学年の縦割りチームを考えています。ゆくゆくは学習面でも、高校生が中学生に教える仕組みを作りたいです」

 こうした学校の動きを受け、生徒側にも自主自立を目指す動きが出始めているという。「風紀委員会から『下校指導を自分たちで出来ないものか』と申し出があり、試しにやらせてみました。しかし、一斉に駅へ向かう数百人の生徒を生徒の手で『指導』するのは難しく、諦めて戻ってきました。ただ『指導ではなく、生徒自身が考えて行動するよう普段から啓蒙(けいもう)しなければ』という気付きを得たようです」

これらのつまずきや課題はあるが、自主自立を育む取り組みについて「良いスタートが切れている」と前向きな受け止め方をしている。「これまで通り、規律正しさは守りながら、『与えられる』学習や学校生活から生徒を脱却させたい。それがひいては進学実績に反映し、社会人としての素養を育てることにもなると思っています」

一人一人の個性を踏まえた声かけやアドバイスも

 コロナ禍による長期休校も、生徒の自主性やそれを育てる学校のあり方について考える契機になったという。

 同校も年度初めの2か月は対面授業が不可能だったため、課題配布による家庭学習やビデオ会議システム「Zoom」、動画共有サービス「YouTube」を活用したオンライン授業で対応した。

 「改めて認識したのは、『学校は知識を教えるだけの場所ではない。同じ場を共有して考えを交換し、議論を行うことにこそ意味がある』ということです。また、生徒の自主性の差異がはっきり表れた期間でもありました。自分の目標と学習習慣を持っている生徒は、存分に勉強に集中できたでしょう。反面、まだそうした意識を持てていない生徒は心配が残ります。フォローアップをしっかり行わなければなりません」

 「生徒一人一人の個性を踏まえた声かけやアドバイスを一層心がけ、気になる生徒には必要なサポートを行っていきます。『知識の伝達だけでなく対話が必要』と教員一同意識しながら、自立へ向け背中を押す教育をやっていきたいと思います」

 (文:上田大朗 写真:中学受験サポート 一部写真提供:國學院大學久我山中学高等学校)

 國學院大學久我山中学高等学校について、さらに詳しく知りたい方はこちら

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1690589 0 國學院大學久我山中学高等学校 2020/12/14 06:00:00 2020/12/14 15:47:53 https://www.yomiuri.co.jp/media/2020/12/20201210-OYT8I50011-T.jpg?type=thumbnail

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