自利利他を行動基準に強い心を育む…清風

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 仏教系の男子校である清風中学校・高等学校(大阪市)は、創立者の教えである「安心、尊敬、信頼」を教育目標とし、ぶれることのない人間教育を実践している。生徒たちは高野山での修養行事などを通じ、自分で考え、目標を立てる姿勢を身に付けていく。2018年春に開設する国際コースの内容も含め、平岡弘章副校長に教育方針を聞いた。

「安心、尊敬、信頼(徳、健、財)」とは

教育方針、教育目標が刻まれた石版の前に立つ平岡弘章副校長
教育方針、教育目標が刻まれた石版の前に立つ平岡弘章副校長

 2016年秋に完成した新校舎を訪問すると、エントランスに掲げられた「清風魂」の文字とともに、教育方針、教育目標が刻まれた石版が目に入った。

――清風が目指すのは、どんな教育ですか。

 教育改革という言葉や、今までの教育、これからの教育という言い方を最近よく耳にします。清風には、今までもこれからもありません。創立以来、一貫した教育方針があります。

 それは人生行路の落後者にならないことです。そのためには「安心、尊敬、信頼」、この三つがあればいいのです。具体的にどうしたらいいか。それは「徳、健、財」の三つを守ることだと生徒に繰り返し伝えています。

 「徳」は運とも言い換えられます。生徒にこう聞きます。「もし、君が神様だったら、どっちの生徒に運をやりますか。必死に勉強している生徒と、テレビを見ながらゲームをしている生徒のどちらでしょうか」。つまり周りの人から応援してもらえる生活をすることが徳です。

 「健」は、へこたれないこと。任されたらしっかりやることです。「財」はお金を大切にすること。生徒には「将来1000万円、2000万円の借金をすることもあるだろう。借金は期限より1日早く返す。それも財布の中を見せて返す。保証人にはなるな。頼まれたら理事長に禁じられていると断れ。お金でなく知恵を貸せ」と具体的に話します。

2016年秋竣工の新校舎。「大阪上本町駅」から徒歩3分の立地にある
2016年秋竣工の新校舎。「大阪上本町駅」から徒歩3分の立地にある

 人の生きる道は、四つあります。まず「悪人の道」。自分に良く他人に悪い関係です。商売の良くない側面がそうです。自分にも他人にも悪いのは「愚者の道」です。そんな人はいないと思いがちですが、怒って我を失った人はこうなります。自分には良くないが他人には良いのが「善人の道」です。多くの学校では善人になりましょうと言いますが、清風では絶対言ってはならないと教えています。それは長続きしないからです。最後が「福の神の道」です。自分も他人もうれしい関係です。仏教に由来する言葉では「自利利他」と言います。清風の生徒には、この道を歩むように言います。

 「自利利他」は行動基準です。生きていく上での道具です。その人との関係が、「自利利他」であるか整理して考えれば、自信を持つことができます。自分の行動に確信を持つことができれば、心を強くできます。自分が納得し、他人のためになることをしていけば、必ず成功します。人生行路の落後者になることはありません。

修養行事を通し、目標を掲げることを学ぶ

毎朝、グラウンドで全校生徒が朝礼を行う
毎朝、グラウンドで全校生徒が朝礼を行う

――どういった機会に生徒たちに伝えているのですか。

 毎朝、朝礼を行っています。グラウンドに、全校生徒3000人が集合し、般若心経を唱え、校長先生の話を聞くことは、創立時から変わることのない朝の習慣です。

 創立者の教えである教育目標の「安心、尊敬、信頼」つまり「徳、健、財」について繰り返し話します。清風で6年を過ごすと、多くの生徒が「先生、その話の続きは僕が話せます」と言うようになります。清風魂をしっかりと身に付け、卒業していきます。

 知ることだけでなく、生徒自身が考え行動することも大事です。中学に入学し、新しい生活に慣れた5月に、2泊3日で高野山の宿坊で修養行事を行っています。参拝し、講話を聞き、最終日に自分の目標を掲げ、誓いを立てます。

 道を歩むためには目標が必要です。切符を買う行為ひとつでも、目的地があるから買えるのです。修養行事は、この1年、そして先々、どこに向かっていくかを定め、自分自身と向き合う機会です。

 教員は生徒たちのために最高の環境を用意したいと考え、生徒に普段とは異なる厳しさを持って接します。食事中は沈黙。レクリエーションなどもありません。

 2年生は奈良の法隆寺を、3年生は伊勢神宮を参拝し、やはり誓いを立てます。

根底を見定める 表現を鍛える

法隆寺に参拝する2年生
法隆寺に参拝する2年生

――学習面ではどんな特徴がありますか。

 世の中が変わるからといって右往左往することなく、根底にあるものを見定めるのが清風の考え方です。これはIT教育という新しい分野にもあてはまります。流行に左右されるプログラムを学ぶのでなく、コンピューターがどういったもので、どう動いているのかを学ぶ。例えば、スーパーコンピューター「京」の開発責任者である井上愛一郎先生に、大局に立ったコンピューターの基礎を学んだりします。電子黒板はないし、タブレットも使いませんが、最先端のIT教育だと自負しています。

 また、大きな特徴として論文指導があります。読書・論文指導部を設置して、本を読んで感じたことや分かったことを表現するトレーニングに力を入れています。

 これは、生徒たちの傾向として、文章作成に限らず、アウトプットの方法が身に付いていないと感じたからです。読書だけでなく、美術や技術、音楽などを通じ、自分で感じたことや分かったことを他人に伝える。この取り組みが小学生時代に十分でなかった生徒が増えています。ですから、中1から高1まで必修で、毎月、課題に取り組ませます。

 論文指導は、表現力を養うことが目標ですが、つづる技術も磨かれますので、結果的に、大学進学時のAO(アドミッション・オフィス)入試にも大きな効果を上げています。

お客様でなく、文化交流のための留学

――国際コースについて教えてください。

 清風国際コースは、2018年春に初めての新入生を迎えます。

 コースの特徴は、中学3年生の1月に、21か月間の海外留学をさせることです。一人一人異なる学校に留学します。留学先の学校では、英語を学ぶお客様でなく、異文化を共に学ぶ仲間として迎えられます。そのため本校では留学に旅立つまでに、茶道の表千家の先生に指導を受けるなど、日本文化に親しませます。英語を教えてもらいに行くのではなく、世界の人たちと文化交流をし、その結果、語学力もアップするのです。詳細は、今後、学校のサイトや説明会で公開していきます。

――数少ない男子校ですが、共学化の可能性はありませんか。

 男子校だからといって、異性に対する思いやりに欠けるかもしれないという心配は不要です。男女別学だからこそ、ジェンダーフリーの体験ができます。男子校では、共学校では女子がするだろうということを男子がします。女子校では男子がするだろうということを女子がします。

 思春期に男女別学の学校で過ごすことで、大人になっても固定的な性的な役割分担にとらわれることなく行動できると考えます。男女別学の学校が共学化する流れはありますが、清風は、今後も男子校であり続けます。

(文と写真:水崎真智子 写真提供:清風中学校・高等学校)

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199830 0 清風中学校・高等学校 2017/06/01 05:20:00 2017/06/01 05:20:00 https://www.yomiuri.co.jp/media/2019/01/20170526-OYT8I50015-T.jpg?type=thumbnail

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