【特集】ジャーナリストの「新聞塾」で思考力と文章力を磨く…清風

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 清風中学校・高等学校(大阪市)は昨年度、ジャーナリストの藤浦淳氏を常勤顧問に迎えて「新聞塾」を設置し、新聞を題材に生徒の論理的思考力と文章力を養う学習に取り組んでいる。生徒たちは「新聞塾」講座を通じて知った社会の諸問題から、自らの関心に沿ったテーマを見つけ、探究しているという。平岡弘章副校長と藤浦氏にこの取り組みの狙いを聞いた。

文章に対する姿勢を中高生に伝えたい

「新聞塾」を運営するジャーナリストの藤浦常勤顧問
「新聞塾」を運営するジャーナリストの藤浦常勤顧問

 藤浦淳氏は清風高校の卒業生で、大学卒業後は産経新聞社に入って記者経験を積み、大阪本社で文化部長や夕刊の編集長を務めた。夕刊編集長時代には、学校などで新聞を教材として活用するNIE(Newspaper in Education)事業にも取り組んだ。

 ――清風で「新聞塾」を開講することになったきっかけは。

 藤浦常勤顧問(以下、顧問) 清風でのNIEとして、2017年から年1回発行している「清風新聞」の制作指導にあたったのがきっかけです。生徒が記者になり、学校を取材して記事を書き、文化祭で配布するのですが、手に取った人たちからは「本物の新聞のようだ」という声が上がったものです。

 当時は文化部長で、新入社員の採用活動を担当し、新人教育に取り組むうち、文章に対する姿勢を若い世代に伝える必要があると感じ、早期退職して私塾を開く計画を考えていました。NIEについて打ち合わせを行った折、平岡副校長に私塾の計画を話したところ、「本校の生徒に指導を」と要請を受けました。私も「中学高校時代こそ最適ではないか」と気付き、昨年4月から常勤顧問をお引き受けして「新聞塾」を開くことになりました。

 ――この「新聞塾」の部屋は、まるで大学の研究室のようですね。

 顧問 扉を開けてすぐのテーブルに半年分の全国各紙を置いています。山積みしてある新聞は、これから私がスクラップをします。その奥のソファでは、生徒の質問や相談を受けたり、議論したりします。全校生徒に開放しているので、休み時間や放課後には、調べ物をしたい生徒や新聞を読みたい生徒がやってきます。図書館と同じ階で、さらに奥まった場所にありますから、何かのついででなく、新聞塾にわざわざ足を運ぶ生徒たちです。

情報を理解し、考えて、意見を文章化する力

 ――「新聞塾」ではどんな授業や指導を行っていますか。

第1回の「新聞塾」を受講した生徒たち
第1回の「新聞塾」を受講した生徒たち

 顧問 基本は新聞を題材とした授業です。たとえば1週間の記事の本文だけを見て見出しを考えるなどのワークショップを行ったり、時事的なテーマを取り上げ、各自意見を発表してから全員でディスカッションしたりしています。

 昨年は中学で、倫理などの教科の先生と連携して新聞を使った授業を行いましたが、本格的に授業をスタートしたのは今年1月29日、希望者向けに「新聞塾」という連続講座を開催してからです。この第1回には40人の生徒が参加しました。ただ、新型コロナウイルスの感染拡大の影響で休校が続いたため、4回目以降はZoomを使ってオンラインで実施することにし、第1回に参加した高校生の中から希望者を募って、16人で再スタートしました。4月末から毎週土曜日に開講しています。7月末からは校内での新聞塾も再開しました。

 この講座では、ゲストスピーカーとして、新聞記者や大阪大学の研究者など社会で活躍する人たちを招き、高校生に向けて15分から20分程度、仕事について話してもらいます。新聞記者を招いた回では「新型コロナウイルスの感染拡大とデマ情報」をテーマに話し合い、正しい情報の見極め方について理解を深めました。講座は1時間の予定ですが、生徒の議論が盛り上がり、ゲストスピーカーへの質問など交流で延長することが多く、2時間になることもありました。

 ――新聞塾の授業を通して生徒に学んでほしいことは何ですか。

「本物の新聞のようだ」と声が上がった生徒の手による「清風新聞」
「本物の新聞のようだ」と声が上がった生徒の手による「清風新聞」

 情報を見て、理解し、考えて自分なりの意見にまとめ、その考えを文章にできるようにすることです。この力を身に付けることはスポーツに近いものがあり、毎日続けることが重要です。野球の素振りのように、コツコツと続けることで力になります。入門書を読んで理解しても、ボールは思うように飛ばないし、打てないように、実際にやってみることで力が付くのです。最初は名コラムを書き写すことだけでも力になります。

 ――インターネット全盛の今、紙の新聞にこだわる理由は何ですか。

 顧問 インターネットでは自分が検索した情報しか出てきません。紙に印刷された新聞や雑誌は、編集された情報が目に入るので、興味を広げるきっかけとなると考えています。

本物に触れる教育で生徒の可能性を広げる

 ――平岡副校長が藤浦顧問を招いたのはどういう考えからですか。

論理的思考力と文章力の重要性を語る平岡副校長
論理的思考力と文章力の重要性を語る平岡副校長

 平岡副校長(以下、副校長) 本校は、根本を重視し、本物に触れることを何よりも大切にしています。この教育理念から自然栽培の食材による「清風食堂」を実現し、世界を代表するスーパーコンピューターの開発者である井上愛一郎氏を顧問にAI教育を行っています。藤浦常勤顧問にはジャーナリストとして、小論文攻略法といった技術だけの次元を離れた、文章を書く姿勢というものを生徒に教えてほしかったのです。

 ――これから「新聞塾」で生徒に学んでほしいことは何ですか。

 副校長 特に論理的思考力と文章力です。本校は国語教育に特色があります。入試に小論文を課す大学が少なくなく、仮に希望する大学が小論文による試験がなかったとしても論理的思考力と文章力は、全ての生徒に必要だからです。

 本校には、高校生に論文指導を行う「読書・論文指導部」があり、読書活動の優秀実践校として2015年度に文部科学大臣表彰を受けました。論文指導部では、名作や古典を題材に生徒が感想や意見を展開していきます。この活動をさらに発展させ、「新聞塾」を通じて社会に近い題材にもっと触れてほしいと考えています。

 すでに成果は表れており、ある生徒はサッカーのワールドカップをきっかけにボスニア・ヘルツェゴビナに関心を持ち、どんな国か調べるうちに人権問題に着目し、このテーマを掘り下げました。読書・論文指導部とともに、その生徒の探究をサポートしたのが藤浦顧問です。この探究をAO入試でアピールし、2020年春に慶応大学に進学しました。

 本物と出会うことで、生徒は将来への希望を持ち、自らの可能性を広げることができます。人は、これがしたいというものに出会えれば、そのための努力ができます。好きなこと、強い関心のあることを見つければ、それを学ぶための大学はおのずと絞られ、合格するために受験勉強にも力が入ります。受験だから1日十何時間勉強しなくてはならないと思えばつらいものですが、夢をかなえるためであれば苦にならないものです。

 清風は人間教育で大学進学を勝ち抜く進学校です。

 (文・写真:水崎真智子 一部写真提供:清風中学校・高等学校)

 清風中学校・高等学校について、さらに詳しく知りたい方はこちら

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1410403 0 清風中学校・高等学校 2020/08/19 05:21:00 2020/10/27 10:23:22 https://www.yomiuri.co.jp/media/2020/08/20200814-OYT8I50019-T.jpg?type=thumbnail

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