e―ポートフォリオツールが学びを加速する…東洋英和

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 東洋英和女学院中学部・高等部(東京都港区)は、2018年度から中学部3年生を対象にSNS型のe―ポートフォリオ作成システムを導入した。パソコンやスマートフォン、タブレットなどさまざまな端末から、生徒は自由に、日々の活動記録をデジタルデータ化して保存できる。大学入試改革後は、高校でのさまざまな学びが入学選抜基準に使われる見込みであり、e―ポートフォリオの作成は目下の課題だ。同校の作成システム活用状況や、生徒たちの声をリポートする。

日々の活動を記録、共有して互いに高め合う

e―ポートフォリオツール活用の目的を語る森田正吾教諭
e―ポートフォリオツール活用の目的を語る森田正吾教諭

 同校が導入したシステムは、教育システム企画などを手がけるサマデイ社が提供しているe―ポートフォリオ作成ツール「Feelnote」。フェイスブックやインスタグラムなどのSNSと同様に、生徒は写真や文章を投稿し、学内限定で共有することができる。

 中学部3年学年主任の森田正吾教諭によると、2020年度の大学入試改革に向けて、文部科学省は高校でのさまざまな学びの記録を保存するe―ポートフォリオの普及を推進しており、すでに合否判定のデータや参考資料とする一部の大学があるという。

 そこで、少しでも早くから生徒が自身の活動を記録することに慣れ、大学入試に役立てることができるようにと、さまざまなツールを検討したうえで2018年度から「Feelnote」を導入し、活用を始めた。

 このツールを使うと、生徒は自身の活動を記録した投稿に対して、教員や他の生徒からフィードバックを受けることができるので、日々の学びについて、お互いに考え、高め合う環境が生まれるという。森田教諭は、「教員と生徒という縦方向のやりとりだけでなく、生徒間で投稿を共有し、刺激し合えるという横のつながりが生まれます。それが導入の決め手となりました」と話す。

 同校では、学内でのスマートフォン使用を禁止しているため、現在、生徒たちは自宅などから日々の投稿・閲覧を行っているが、活用を始めるにあたっては、まず教室で貸出し用の「iPad」からスムーズに投稿できるよう練習した。その後、上野動物園と国立科学博物館を訪れた学年行事の際に、現地からリアルタイムで投稿をさせるなど、段階を踏んで指導していった。

日記のように日々の活動を書きためる習慣

学内には生徒による投稿が展示されている
学内には生徒による投稿が展示されている

 ツールの活用を始めて約1年。活用法はどんどん広がっており、中間試験・期末試験の振り返りや、読んだ本の写真と感想を投稿する「おすすめの本の紹介」、冬休み中の出来事を投稿する「私の冬休み」などさまざまなテーマで活用されている。教師側からも、試験の範囲や時間割、学校行事で教員が撮影した写真を公開するなどして、生徒がツールを利用する機会が増えるよう積極的に工夫しているという。

 森田教諭は、「楽しくないと続けられないので、まずは学年行事で記録や投稿を楽しもう、というところから始めました。現在は日記のように、自身の活動を書きためることを習慣化することを促している段階です」と話す。

 生徒たちはこのツールをどのように活用しているのだろう。土屋咲歩さんは「和の文化」に関心があって、自分で作った和菓子の写真などを投稿している。また、読んだ本の感想を書いて、毎回投稿するよう意識しているという。「本について投稿すると、図書の先生と『この本が面白い』といった話ができたり、趣味に関する投稿から友人の知らなかった一面が見えたりして、面白いです」と笑顔を見せた。

 下林真璃奈さんは、模擬国連の練習会や、姉妹校の静岡英和、山梨英和と共に開催する「三英和交歓会」に参加した経験について投稿したという。「模擬国連には友人とペアで初参加し、次回に向けての反省を記録しました。三英和交歓会では、制服も生活環境も違う生徒たちと出会い、自分が生徒会に携わることになったらやりたいことなど、話し合った内容を記録しました。将来、見返したとき、『中3の時はこんなことがやりたかったのか』と思い出せるんだとも感じました」

キャリア教育や文章力アップにも活躍

ツールの活用法などについて話し合う森田教諭(奥)と土屋さん、下林さん
ツールの活用法などについて話し合う森田教諭(奥)と土屋さん、下林さん

 同校は「みらいダイアログ」と題した独自のキャリア教育プロジェクトを実施している。「みらいダイアログ」は、中学3年生が卒業生の職場を訪問し、その生き方に触れることで、自分の希望の進路、将来の生き方について考えを深めるプロジェクトだ。卒業生には「タイムマシーンで中学3年の自分に出会うことができたら、何を伝えたいか」という思いで対話をしてもらう。

 このプロジェクトは、生徒たち4~6人が1組になり、卒業生とコンタクトを取るところから始まる。その連絡手段としても「Feelnote」が有効利用されている。訪問メンバーで、SNSのようにお互いに閲覧できるグループをつくり、待ち合わせの日時や場所、卒業生への質問内容を連絡し合ったり、訪問時に撮影した写真、訪問後のグループ発表で使用するデータを共有したりしている。

 土屋さんは、その経験について「建築家として活躍する卒業生を訪問したところ、事前に投稿した質問内容をプリントし、それに沿ってお話ししてくださったのでスムーズに進められました」と話した。森田教諭は、「訪問時の写真や感想を投稿すると、卒業生も生徒たちの反応をリアルタイムで見ることができる。このツールならではの魅力だと思います」と語る。

 活動の記録・投稿は、生徒が人に読まれることを前提に文章を組み立てる練習にもなっている。森田教諭は今後の活用について、「生徒たちが投稿・共有からもう一歩進み、ツール上で議論できるようになることが理想です。高等部1年生になると全員が個人のパソコンを持つことになる予定なので、授業でもツールを使って意見交換する場を設けたいですね」という。下林さんも、「授業で使えるといいですね。また、先生や他学年の投稿が見られたら、もっと勉強になると思います」と話す。

 ICT(情報通信技術)の活用が、教師と生徒、生徒同士のコミュニケーションを加速し、生徒たちの将来を開くことを期待する。

 (文:籔智子 写真:中学受験サポート)

 東洋英和女学院中学部について、さらに詳しく知りたい方はこちら

449058 0 東洋英和女学院中学部・高等部 2019/02/19 05:21:00 2019/02/19 10:35:52 https://www.yomiuri.co.jp/media/2019/02/20190218-OYT8I50011-T.jpg?type=thumbnail

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