独自の総合学習AILで生きる力を鍛える…本庄東

メモ入力
-最大400文字まで

完了しました

 本庄東高等学校附属中学校(埼玉県本庄市)は、独自の総合学習「AIL(アドバンスド・インタラクティブ・ラーニング)」を導入して2年目を迎えた。3学年縦割りのグループで協力し合ってテーマを調査し、発表する活動だが、今年はテーマ設定も自由度が増して、いっそうレベルアップ。さまざまな発想が生まれ、磨かれ、リーダーシップが発揮される、このAILの授業の様子や、生徒の声を紹介する。

学年を超えた活動からリーダーシップや協調性が育まれる

 同校は、これまでもディベートやディスカッション、分担して調べた知識をパズルのように組み合わせて学ぶジグソー学習など、さまざまな角度から問題解決に取り組むプルーラル・アクティビティ(多元的学習活動)を各教科で取り入れてきた。昨年から導入した「AIL」はその集大成と言えるものだ。

「AIL2年目は、生徒の学びがさらに進化している」と話す高橋教諭
「AIL2年目は、生徒の学びがさらに進化している」と話す高橋教諭

 「AIL」では、まず中1から中3まで縦割りで約10人のグループを作り、その中で自分たちの調べたことやアイデアなどを模造紙にまとめて発表する。全部で36のグループが行う発表について生徒同士で投票し、賞を決める。企画力、発想力、調べる力、まとめる力、実行力が養成されるだけでなく、学年を超えたグループだからこそ発揮されるリーダーシップや協調性にも注目したプログラムだ。

 2年目を迎えた「AIL」について、指導を担当する2学年主任・高橋祐介教諭は、こう話す。「昨年は『環境』がテーマでした。そのうえで班ごとに地球温暖化、大気汚染などのサブテーマを教員が与えて取り組みやすくしましたが、今年は『昔の遊びから新しい遊びを考える』というテーマだけとしました。サブテーマは与えていないので、各班が自由にアイデアを出し合っています。その点が昨年よりレベルアップした点です。中2、中3は昨年、経験しているので、教員の手を離れ、自分たちで部活とはまた違った上下の関係を深めながら活動できています」

自由な発想で新しい遊びを創り出す

 6月下旬、「AIL」の授業を見学した。この日は、昔の遊びについて調べたことや、そこから発展して自分たちで考えた遊びのルール、その面白さなどを模造紙に書いて仕上げる最後の作業に取り組んでいた。

けん玉の玉を正六面体にした「角拳」についての発表
けん玉の玉を正六面体にした「角拳」についての発表

 あるグループは、けん玉の玉の代わりに正六面体を使った「(かく)(けん)」を考えた。グループ内で中1がけん玉のルール、中2がけん玉の歴史、中3が改良した「角拳」のメリットやデメリットなど、学年ごとに分担して調べたという。正六面体には1から6までの数がそれぞれの面に書かれているので、けん玉を楽しむだけでなく、すごろくなどの遊びにも使える工夫がなされている。また、六つの面に穴が空いているため、刺さる確率も高くなるという。発表用の模造紙には、遊ぶルールを考えるだけでなく、「上手な人と苦手な人との違い」というコラムや、上手に楽しむコツも書き込んであった。

 授業を見て回ると、「ここ、下書きしてあるから、マジックで清書してね」「こっち来て、これ貼ってくれる?」などと、中3の生徒が下の学年を優しくリードして進めていく様子があちこちで見られた。

「ダイヤモンドドッジボール」について模造紙にまとめる生徒たち
「ダイヤモンドドッジボール」について模造紙にまとめる生徒たち

 中1の根岸良輔君が所属するグループは、ドッジボールのコートを正六角形にし、中を三つのひし形に分けることで、3チーム同時に対戦できる「ダイヤモンドドッジボール」を考案した。2チームから同時にボールが飛んでくる場合があるので守備側は気が抜けず、面白さも倍増する。このアイデアを最初に出したのは、根岸君だという。

 「アイデアを出し合ったときに、先輩が僕のアイデアをいいねと言ってくれました。最後は投票で決めて、ぼくのアイデアが採用されたのですが、完全ではなかったので、先輩たちが補強してくれました」

 根岸君は2018年度から始まった総合入試の合格者だ。対話を読んで設問に答える教科融合型の出題で、問題解決力が試される。そのときの入試問題には、「昔の遊び調べ」という出題があったという。

 高橋教諭は、「根岸君のように総合入試で入学した生徒は、特に発想が柔らかく、面白いアイデアがあったようです。中1生の発想を生かして中3生がまとめていく様子も見られました」という。

中3の生徒がリーダーシップを発揮して、まとめ作業を進める
中3の生徒がリーダーシップを発揮して、まとめ作業を進める

 根岸君は、「みんなで話し合って進めるのは難しいけれど、自分の意見を認めてもらえるのがうれしかった。先輩から自分が思いつかない意見が聞けて、なるほどと思いました。話し合うことの大切さが分かりました」という。また、「先輩が一生懸命に取り組んでいる姿に、責任感の強さを感じ、すごいと思いました」とも。

 一度、先輩に注意されたこともある。「次の授業までにやってくるよう言われた宿題をやってこなかったのです。それで、授業中に宿題の作業をしたので、みんなの進行が遅れてしまい、迷惑をかけました。それで先輩に注意されたのです」

 しかし、注意すべきときは注意しても、変わらず優しく接してくれる先輩に感謝したという。「自分もあんな先輩になりたい」と根岸君は話した。

「AIL」を通してリーダーシップを発揮できるように

あみだくじと鬼ごっこを融合した遊びを、校庭で実際に確認する生徒たち
あみだくじと鬼ごっこを融合した遊びを、校庭で実際に確認する生徒たち

 中3の坂田陽菜さんは、「自分は人見知りするタイプだと思っていたのに、リーダーをやってみたら楽しくて、驚きました」と話す。

 「去年、先輩が1、2年を引っ張り、意見をまとめていく姿を見て、『すごいな、自分にはできない』と思っていました。もともと、意見を言うよりも聞くタイプだったので、リーダーをやる経験は今までありませんでした」

 坂田さんのグループは、しりとりとケンケンパを合わせた「しりケンパ」を考案した。しりとりの文字数だけ、ケンケンで進めるという遊びだ。グループでは中3がリーダーなので、坂田さんが必然的にリーダーになった。

 苦労したのは、後輩から意見を引き出すことだったという。「同じ悩みを持つ他の班のリーダーたちと話し合って、解決策を見つけました。意見を出して下さい、というだけではダメなのです。『〇〇さんはどう思う?』と話を振ってあげると、意見が出てくるのです。かといって、質問攻めは相手を困らせてしまう。話しかけ過ぎず、作業中は『どう、大丈夫?』と声をかけてあげるのです」

 作業を進めるうちに初対面だった後輩とも仲良くなり、「自分はそんなに人見知りじゃない。みんなと接するのが楽しい」と思うようになったという。「一人一人に意見を求めたり、『これ、やってきて』と指示したりするのは簡単です。でも、そうではなくて、みんなで協力して達成できたから充実感がありました。意見をまとめることの難しさを実感したし、プラスになる経験でした」

 高橋教諭は、坂田さんの変わっていく様子が、周囲にいい影響を与えたと見ている。「坂田さんがAILを通して成長し、リーダーシップが取れるようになっていく姿を身近に見ていて、消極的だった生徒もさまざまな場面で、やってみようかなと手を挙げるようになったのです」

 「AIL」の中で生徒たちは、相互に関わり、影響し合って、さまざまな力を伸ばしていく。こうした力こそ、学校生活の中だけでなく、将来、社会で生きていくための大切な力となる。

 (文・写真:小山美香)

本庄東高等学校附属中学校について、さらに詳しく知りたい方はこちら

無断転載禁止
38415 0 本庄東高等学校附属中学校 2018/08/29 05:20:00 2018/08/29 05:20:00 https://www.yomiuri.co.jp/media/2019/01/20180827-OYT8I50059-T.jpg?type=thumbnail

会員校一覧

東日本 共学校ページTOP

── 女子校ページTOP

ピックアップ

読売新聞購読申し込み_東京2020オリンピックパラリンピックキャンペーン

アクセスランキング

 


東京オリンピックパラリンピックオフィシャル新聞パートナー

読売IDのご登録でもっと便利に

一般会員登録はこちら(無料)
ページTOP
読売新聞社の運営するサイト
ヨミダス歴史館
ヨミドクター
The Japan News
発言小町
OTEKOMACHI
ささっとー
元気ニッポン!
未来貢献プロジェクト
YOMIURI BRAND STUDIO
美術展ナビ
教育ネットワーク
活字・文化プロジェクト
よみうり報知写真館
読売新聞社からのお知らせ