充実した理数教育で6割が理系学部を志望…神戸女学院

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 神戸女学院中学部・高等学部(兵庫県西宮市)は、多くの生徒が希望する医学部をはじめとする理系学部への進学を実現するために、理数教育に力を注いでいる。数学科教諭の森谷典史教頭に同校の理数教育の取り組みを聞くとともに、大阪大学医学部に進んだ卒業生と、すでに医師として活躍している卒業生ら3人に、医療の道を選んだ動機や同校の思い出などを聞いた。

数学の全カリキュラムを3回繰り返す授業

礼拝を行う講堂
礼拝を行う講堂

 ――まず、神戸女学院の目指す理数教育について説明してください。

 森谷典史教頭(以下、教頭) 本質を見極める力を付けることです。理科では、実験や観察を通して、その本質に迫ります。数学は、数式の中から理論的に本質に迫っていきます。あまり細かいことにこだわらず、大筋をつかむ力、ポイントを見抜く力を付けることを心がけています。

 ――具体的にどんな工夫をしていますか。

 教頭 理科では、文字での説明で終わるのではなく、実際のものをできるだけ多く見せるようにしています。数学では、授業を受けた内容を、帰宅後、自分で解けるかどうか確認してもらいます。数1・Aの内容を中学3年間で先取りし、高校2年生からは繰り返しによる定着と発展に取り組み、数学全過程を3回繰り返すよう授業を構成しています。

 ――先取りと繰り返しが特長ということですか。

 教頭 一番の特長は、こういったカリキュラムや教え方というより、生徒の姿勢だと思います。コツコツと真面目に課題をこなし、努力を惜しまない生徒が多いのです。聖書には、「私たちは知っているのです。苦難は忍耐を、忍耐は練達を、練達は希望を生むということを。希望は私たちを欺くことはありません(ローマの信徒への手紙5章3-5)」という言葉があります。これら聖書の言葉や教えが、生徒の大きな力になっていると思います。

 ――女子は理数科目が苦手と言われることもありますが。

 教頭 過去の女子教育の中で、理数系科目の勉強はする必要がないといった傾向がありました。学ぶ機会が少なかったため、女子は理数科目が苦手という考え方が定着していったのだと思います。しかし、本校では、6割前後の生徒が医学部を含む理系学部への進学を希望しており、理数科目への苦手意識はないばかりか、理科の先生からは「観察や実験など、時間をかけて、自分で調べていくことは、むしろ女子生徒の方が得意だ」という意見も聞かれるくらいです。

早朝登校して数学五輪に挑戦する生徒たち

毎朝、全教職員と中高生全員で礼拝を行う
毎朝、全教職員と中高生全員で礼拝を行う

 本校には、数学オリンピックや物理オリンピック、地学オリンピックといった大会に自分から挑戦していく生徒がいます。その生徒たちは、朝の礼拝の時間に、どうして挑戦したのか、挑戦してどうだったか、といった体験に基づく考えを実に素直に語ってくれます。ヨーロッパ女子数学オリンピックの日本代表選手に選出された生徒は、休みの日は1日12時間、数学の問題と向き合っていたと話していました。同じ学校で学ぶ身近な先輩の体験談を聞いて、「私も頑張ればきっとできる。挑戦したい」という生徒が後に続いています。

 今も、数学甲子園を目指す生徒たちがいます。本校には教科ごとの研究室があり、数学科の研究室には補習などに使われる14席ほどの小教室が併設されています。その生徒たちは毎朝7時半の開門と同時に登校し、始業時間までの30分強、この小教室に集まって自主勉強しているのです。

 ――先生たちは数学オリンピックなど校外の大会についても指導するのですか。

 教頭 数学オリンピックは学校の学びを超えた挑戦ですが、果敢に向かっていく姿を見れば教員はどうしても応援したくなります。本校では6割ほどの生徒が、選択科目の数3を学んでいます。数学が苦手な生徒も希望します。得意ではないけれど、面白そうだから頑張ってみたいという生徒たちを、私たち教員は全力で応援します。受験に要るから、要らないからとか、苦手なら不利だからとかの見方で指導はしません。実際、苦手な生徒は、苦労します。それでも楽しそうに頑張り、壁を乗り越えていくのです。

 本校の生徒の特長と言えば、結果を出したいという強い気持ちを持つ生徒が多いこともその一つでしょう。理数系だけでなく英語のコンテストやボランティア活動、体育祭や文化祭などの学校行事、さまざまなことに全力で取り組んでいます。あれもできる、これもできる。学校生活をこうやって楽しんでいる。礼拝の折などにそんなメッセージを先輩から受け取り、自分もそうしたいと、自然に受け止めているようです。

医師の道を選んだ卒業生3人が語る母校

(左から)神谷みかさん、森谷典史教頭、関本雅子さん、林真理子中学部・高等学部部長、一色咲樹さん
(左から)神谷みかさん、森谷典史教頭、関本雅子さん、林真理子中学部・高等学部部長、一色咲樹さん

 同校の理数教育を受け、医師への道に進んだ卒業生たちの話を聞いた。昨年、医師になった卒業生たちが発足させた同窓会組織「KCメディカル」の会長・関本雅子さん(85期生)と、会員の神谷みかさん(119期生)、それに今春の卒業生で大阪大学医学部医学科に進んだ一色咲樹さん(136期生)に集まってもらい、医療の道に進んだ動機や、母校の思い出などを聞いた。

 ――「KCメディカル」を発足させたきっかけは何ですか。

 関本 弁護士や検察官、裁判官など司法試験に合格した卒業生を対象とした「KC法曹会」が2017年に誕生したと聞き、私たち医者の同窓会組織もできたらいいのにと思い、KC法曹会の方々に会の立ち上げ方を教えていただきながら、昨年、「KCメディカル」を発足させたのです。

 ――それぞれ、医師を目指すにあたってどういう動機があったのですか。

 関本 私は伝記を読んでシュバイツァー博士に憧れていました。さらに在学中、ネパールの無医村で医療活動に尽くされ、「ネパールの赤ひげ」と呼ばれた岩村昇医師の講演を聞き、医師になろうと決意しました。

 神谷 私は高3まで将来の希望を決めかねており、理系、文系のどちらも勉強していましたが、母が病気になった際、医師の仕事を間近で見て、「これだ」と思い、医学部進学を決めました。1年浪人しましたが、納得のいく決断ができました。

 一色 在学中の礼拝で校訓の「愛神愛隣」について考え、自分の力で人を助けることのできる医師の道に進むことを決め、大阪大学医学部医学科に進学しました。医学科の学生100人のうち女子学生は23人いて、そのうち9人が神戸女学院の卒業生です。所属しているテニスサークルにも神戸女学院の先輩は多く、大学生活がスタートしたばかりですが、同窓生ネットワークを身近に感じ、心強いです。

 ――神戸女学院生の特長はどんなところだと思いますか。

 関本 物おじせず、我が道を行くところでしょうか。私自身、勤務していた六甲病院(神戸市)にホスピス(緩和ケア病棟)を立ち上げ、医長を務めたこともあります。このフロンティア精神は、神戸女学院で育まれたものだと思います。

 神谷 目標を定めたら突き進むところでしょう。私は神戸市立医療センター中央市民病院で救急の専門医をしています。救急はすべての患者を受け止めるポジションで、そこに魅力を感じます。今は仕事に夢中になっています。

 一色 大学で神戸女学院の同窓生と話すと、みんな自分の考えを持っていて、自分がやりたいことが明確だと感じます。そこが特長だと思います。

 ――神戸女学院はどんな学校でしょうか。

 関本 6年間、美しいキャンパスで過ごせることも素晴らしいですし、自由な校風で人間力が付きます。「めぐみ会館」という同窓会の建物が中学棟のすぐそばにあって、母校を訪ねると立ち寄るのですが、卒業後も変わらない風景に、中高時代が思い出されて幸せな気分になります。

 神谷 中高の6年間、将来、自分は何にでもなれる、勉強さえすれば何でもできると、信じて過ごしました。心からそう思えたのは、神戸女学院だったからだと思います。

 一色 やりたいことに熱中していても、ばかにされない学校です。好きなだけ夢中になれますよ。

 (文・写真:水崎真智子 写真提供:神戸女学院中学部・高等学部)

 神戸女学院中学部・高等学部について、さらに詳しく知りたい方はこちら

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668157 0 神戸女学院中学部・高等学部 2019/07/05 05:21:00 2019/07/05 05:21:00 https://www.yomiuri.co.jp/media/2019/07/20190701-OYT8I50038-T.jpg?type=thumbnail

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