「エンパワーメントプログラム」で自分のカラを破れ…豊島岡

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 豊島岡女子学園中学校・高等学校(東京都豊島区)は、高1・高2の希望者を対象に、外国人大学生とのグループディスカッションなどを通して将来のキャリアを考えさせる「エンパワーメントプログラム」を実施している。生徒たちの英語力やグローバル意識を養成するほかに、カラを破って一回り成長してもらう狙いがあるという。プログラムの様子を紹介する。

討論し、考え、自分の夢を語る5日間

「エンパワーメントプログラム」導入の経緯について話す三宅教諭
「エンパワーメントプログラム」導入の経緯について話す三宅教諭

 「エンパワーメントプログラム」は、教育旅行の専門会社「ISA」が中高生向けに提供するオールイングリッシュの国内研修プログラム。現代社会の諸課題を踏まえたさまざまなレクチャーやディスカッション、自己アピールの練習などを経て、最後はプログラムで学んだことや将来の夢について英語でプレゼンテーションを行う内容だ。

 同校は2017年度、高1、高2向けにこのプログラムを導入した。その経緯について、グローバル教育委員会の三宅恵美教諭はこう説明する。

 「本校の生徒は、勉強や部活、学内活動にとても真面目に取り組みます。でも、そうした枠を超えて自分ならではの個性や能力を発揮する意欲を持ってほしいと考えていました。そんなとき、このプログラムを視察した教員が、生き生きとスピーチやプレゼンをする子供たちの姿に感銘を受け、ぜひやってみようと提案してきたのです」

 「エンパワーメントプログラム」には2段階ある。「スタンダードコース」は「アイデンティティ」や「リーダーシップ」をキーワードに、女性の活躍や社会問題に関する導入を行い、グループでプレゼンテーションを行う。「アドバンストコース」は、同校がSSH(スーパーサイエンスハイスクール)の指定を受けていることもあって、科学技術についての内容を多く盛り込み、最後は個人プレゼンテーションを行う。各コースとも、自らの個性やスキルについて考え、スピーチする時間を設けている。

 同校は初年度、スタンダードコースのみを導入したが、受講した生徒から「来年もぜひ受けたい」という声が多かったため、2年目からは、アドバンストコースも導入した。

進行を担うファシリテーターは、授業経験が豊富な外国人講師が担当する
進行を担うファシリテーターは、授業経験が豊富な外国人講師が担当する

 今年は夏休みの8月19日から23日まで、各日5時間計25時間の日程で実施した。スタンダードコースは高1生65人、高2生3人、アドバンストコースは高1生7人、高2生14人が参加した。

 両コースとも、5、6人単位で行うグループワークがカリキュラムの柱となる。進行を担う「ファシリテーター」は、アクティブラーニングの授業経験が豊富な外国人講師が担当する。さらに、アメリカの一流大学や日本の有名大学に通うさまざまな国籍の学生が各グループの「グループリーダー」を担当し、生徒との対話やディスカッションの方向付け、プレゼンテーションのアドバイスなどを行う。

 取材に訪れた最終日の23日は、「ファイナルプレゼンテーション」が行われた。

 スタンダードコースの発表テーマは、「ポジティブシンキングについて」「リーダーシップについて」「世界で活躍する女性」など、5日間のプログラム中に行われたレクチャーやディスカッションの内容に沿ったものだ。

スタンダードコースのプレゼンテーションをする生徒たち(奥)
スタンダードコースのプレゼンテーションをする生徒たち(奥)

 午前中に、発表内容や役割分担を話し合い、スピーチメモを英文でまとめてプレゼンテーション練習を行う。あるグループは静かな廊下に出て、本番さながらのリハーサルを行い、グループリーダーからアドバイスを受けた。また、リハーサルで発表が長すぎることに気付き、大急ぎで重複した部分を削ったり、分担し直したりするグループもあった。

 みな昼食を手早く済ませ、ギリギリまで練習を行って本番を迎えた。スタンダードコースで、ジェンダー問題を取り上げたあるグループは、「女性の地位の歴史」「その社会背景」「現在の状況」などにパートを分け、各生徒が作成したメモを基に発表した。マララ・ユスフザイさんを例に「リーダーシップ」のプレゼンテーションを行ったグループは、マララさんの経歴を語るナレーター役、国連でのスピーチを再現する役、そのスピーチに感銘を受けた女性たちの役を演じ、ドキュメンタリー風に演出した。

 「ファシリテーターの先生にお礼の手紙を書く」というテーマのスキットを熱演したグループもあり、「今回学んだこと」として5日間に交わした会話を再現した後、「お礼の手紙」を読み上げた。

アドバンストコースでは、1人ずつ3、4分間のプレゼンテーションを行う
アドバンストコースでは、1人ずつ3、4分間のプレゼンテーションを行う

 アドバンストコースでは、「このプログラムで学んだ最も重要なこと」「それによって自分がどう変わったか」「今回考えたことを将来にどう生かすか」などのポイントを踏まえ、1人ずつ3、4分のプレゼンテーションを行った。

 アドバンストコースは昨年の経験者が多いだけに、みな表情豊かで態度も堂々。それぞれ授業に出てきた発明王エジソンや海外の中高生起業家の話に触れつつ、「都市計画の仕事」や「環境保護活動」「医者」など将来の夢を語り、それを実現するための進学や留学についての決意表明をした。

 1人発表を終えるごとにファシリテーターが生徒に「Any comments?(何かコメントは)」と発言を促し、その都度「発音が素晴らしい」「笑顔が良かった」「あなたの夢は素晴らしい」などと声が上がった。最後に発表者のグループを担当したグループリーダーが、発表文の構成や表現などについて賛辞を述べ、プログラムは終了した。

受講で将来についての意識が変わる

 終了後、アドバンストコースを受講した生徒に話を聞いた。

 沖田彩織さんは5日間の学びを通して、志望するシステムエンジニアの仕事についての意識が変わったという。「これまではただ面白いゲームを作りたいと思っていましたが、今回、認知症のおじいちゃんに役立つアプリを作った男の子や、自分が住む国の水の浄化に取り組む女の子のことを知り、私も社会貢献できるアプリを開発したくなりました」

 中村文美さんは、学校の授業をきっかけにプラスチックゴミの問題に関心を持ったという。今回のプログラムでSDGs(持続可能な社会への取り組み)について討論したことから、レジ袋削減を促す「マイバッグ」の利用を広げたいと考えた。「2日目の夜にSNSで友達に『コンビニのレジ袋は必要?』とアンケートを取ったら大半が『必要』という答えで、一気になくすのは難しいと分かりました。そこでもっと小さなことからと、近所の個人経営のパン屋さんにマイバッグの採用をプレゼンすることを考えています」

 三宅教諭も、受講した生徒の意識の変化を感じている。「プログラム受講者には、授業で意欲的に発言する子が多いです。志望校やキャリアに対する意識も向上しています。今の自分の成績だけで自らの限界を決めつけず、難関校への挑戦を考える子も増えています」

将来に向かって一歩踏み出すきっかけに

 同校は他にも、国際的な視野や主体性、行動力を育てるプログラムを数多く実施している。「エンパワーメントプログラムにも、『日本の中でグローバルを感じる機会を』という意味合いがあります」と三宅教諭は話す。

 その意味で、重要なのはチームリーダーを務める大学生たちの存在だ。「彼らは生徒と年が近く、『少し先の自分』のような存在です。レクチャーや雑談の中で聞いた専門分野の話や、あちこちの国を飛び回って活動する話を日本にいながらにして聞けたことで、グローバル化をより身近に感じ、大きな刺激になったでしょう」

 ただ、三宅教諭は生徒たちの将来について、「必ずしも、海外を目指す必要はない」と考える。

 「こうした、それまで体験したことのなかった活動や、今回出会った新たなものの見方は、自分のカラを破るきっかけになるはず。ミスを恐れて二の足を踏むのではなく、やりたいこと、伝えたいことがあれば思い切って踏み出す女性になってほしい」

 (文・写真:上田大朗 一部写真提供:豊島岡女子学園中学校・高等学校)

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956559 0 豊島岡女子学園中学校・高等学校 2019/12/19 05:22:00 2019/12/19 05:22:00 https://www.yomiuri.co.jp/media/2019/12/20191217-OYT8I50017-T.jpg?type=thumbnail

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