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【特集】語学力生かして社会貢献に取り組む「英語探究」…順天

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 順天中学校・高等学校(東京都北区)は探究学習を重視しており、高校の「英語選抜類型」クラスでは、語学力を生かして、地域やアジアの国の福祉活動に取り組んでいる。この探究活動の目的や意義について、クラスマネジャーの藤井健太先生に話を聞いた。

国際教育と福祉教育の実践を地域から

「英語探究」の活動について説明する藤井教諭
「英語探究」の活動について説明する藤井教諭

 同校は、高校で「類型制」と呼ぶ一種のコース制を採用しており、生徒たちは進路や志望に合わせて「理数選抜類型(Sクラス)」「英語選抜類型(Eクラス)」「特進選抜類型(Tクラス)」「一貫選抜類型」の四つに分かれて学んでいる。

 このうちEクラスは、大学での英語授業に対応し、国際社会で通用する実用的な英語力の養成を目指す類型で、授業ではネイティブの教師とのディベートやディスカッション、あるいはプレゼンテーションに力を入れている。高2では約3週間のニュージーランド短期留学やカナダ短期留学など選択制の海外研修旅行があり、海外の文化に触れる機会も多い。全員が実用英語技能検定準1級以上の取得を目指している。

 学校として力を入れている探究学習も、類型ごとにテーマが設定されている。主に「総合的学習」の時間を活用して行われるが、Eクラスでは別途、「英語探究」の教科を設け、生徒たちの語学力を生かし、社会課題に取り組む活動を行っている。

 2019年度から始まった「英語探究」の目的について、クラスマネジャーの藤井健太先生は、こう説明する。「本校は、教育目標に『英知をもって国際社会で活躍できる人間の育成』を掲げ、国際教育だけでなく、ボランティア活動などの福祉教育にも積極的に取り組んでいます。その方針を取り入れ、まずは自分たちの身近な問題に目を向け、人々を支援することから始めようというのが『英語探究』です。経験を積んで知識やスキルを養いながら、徐々に活動内容をブラッシュアップし、ローカルからグローバルな問題にまで関心を広げていくことを目指しています」

生徒の発案で広がってきた探究領域

オンラインで実施した「寺子屋子ども食堂・英語学習支援」
オンラインで実施した「寺子屋子ども食堂・英語学習支援」

 初年度の「英語探究」で、生徒たちが取り組んだのは、地元の「豊島五丁目団地」の住人に、英語や日本語を教えることだった。約5000世帯が住むこの団地は、高齢者や日本語を話せない外国人も多く住む。その人たちに団地内のコミュニティースペースで語学を教えたり、団地の生活ガイドブックを日英中の3か国語で作成したりすることによって、日常生活の問題を解消しようということが目的だった。

 また、この団地では東洋大学ライフデザイン学部の学生がボランティア活動をしており、共同で住民へのライフヒストリーの聞き取り調査や、写真展などのイベント開催も行った。現在も同大生と定期的に意見交換し、コミュニティーの活性化に取り組んでいるという。

 「英語探究」活動は今年度で3年目を迎えるが、その間に「寺子屋子ども食堂・英語学習支援」「フィリピン日本語学習支援」「カンボジア教育支援」「やさしい日本語教育」及び広報の五つのグループが、生徒自らの提案で作られた。各グループでは、1、2年生が合同で中心的に活躍し、3年生はイベントの手伝いなどサポートに回っている。

オンラインで日本語のレッスンを行う「フィリピン日本語学習支援」グループ
オンラインで日本語のレッスンを行う「フィリピン日本語学習支援」グループ

 「寺子屋子ども食堂・英語学習支援」グループは、NPO法人が運営する「寺子屋子ども食堂 王子」(東京都北区)で、小学校高学年から中学2年生を対象に、英語を教える活動をしている。昨年からのコロナ禍のため、対面で教えるのが困難になると、生徒たちは自ら授業動画や教材、課題のコンテンツを作り、オンラインで配信した。さらに、実用英語技能検定を受ける子供たちには、英単語や記述問題、リスニング、面接対策まで教材を用意し、支援をしているという。

 「フィリピン日本語学習支援」グループは、以前から交流のあるフィリピンのラサレット高校の生徒に、オンラインで日本語のレッスンを行っている。反対にフィリピンの生徒から英語のレッスンを受けたり、互いに自国の文化を紹介し合ったり、学び合いのできる活動を繰り広げている。

 「カンボジア教育支援」グループは、2019年に官民協働の海外留学支援制度「トビタテ!留学JAPAN」を活用してカンボジアに留学し、現地でボランティア活動をした生徒の呼びかけによって作られた。カンボジアの小学校の英語教育支援が主な活動で、英語学習用の手作りポスターと動画の配布、英語の絵本や読み聞かせビデオ・プロジェクターの支給などを実施している。その資金を調達するために、クラウドファンディングも行った。

「カンボジア教育支援」グループによるプレゼンテーション
「カンボジア教育支援」グループによるプレゼンテーション

 広報グループは、これらの「英語探究」活動をアピールしている。高3の渡利 佳南(かな) さんは、「豊島五丁目団地」で英語を教える活動をしていたとき、参加者の顔ぶれがいつも同じであることに気付き、広報活動の大切さを知ったという。「まずは私たちの活動を知ってもらうことが大切だと実感しました。一人でも多くの人に興味を持ってもらうことが、コミュニティーの活性化につながるだろうし、また、私たちの活動自体も豊かになっていくと思いました」

 広報のメンバーの多くは、他のグループの活動にも参加している。高3の千葉 ()(りん) さんもその一人で、今年2月に「豊島五丁目団地」で写真展を開催した際は、住人から写真集めをするなどの準備に携わった。「コロナ禍で家に閉じこもる人が増え、何か交流ができる場を作れないかと考えたのが写真展でした。団地の思い出の写真を介して、人とのつながりが持てたのがよかったです」。なお、この写真展の告知チラシは、日本語と英語、中国語で表記したそうだ。

 高3の永田 (ゆい)() さんも、兼任で「カンボジア教育支援」に関わった。「広報担当としてインターネットでクラウドファンディングを呼び掛けるとき、いかに自分たちの活動に関心を持ってもらえるか、工夫を凝らして発信しました。目標金額の10万円を4日間で達成できたのは、とてもうれしかったです」

「英語探究活動」を受け継いでいってほしい

 「『英語探究』の活動を通じて、生徒たちには多様な価値観を理解し、相手の立場に立って考える姿勢や、自分たちで情報を仕入れてプロジェクトを立ち上げる力が育っていると実感します」と藤井先生は言う。「また、プレゼンテーションの力も伸びていますね。毎年校内で行われている探究報告会以外に、外部の発表会にも参加しているのですが、意見の精度が高いと評価を受けています」

 今後の展望として藤井先生は、「生徒が大学生になっても、高校生と共に活動を続けていくこと」を目指している。「社会貢献活動は継続することに意義があり、より実りのある成果を出すこともできます。Eクラスの『英語探究』は一つのプロジェクトとして、先輩の力も借りながら後輩たちが受け継いでほしい。ちなみに『カンボジア教育支援』グループの最終目標は、現地に図書館を作ることです。そして生徒たちには将来、自らアプローチをして、より良い社会をつくっていく、そんな熱意を持ち続ける大人になってほしいと願っています」

 (文:北野知美 写真:中学受験サポート 一部写真提供:順天中学校・高等学校)

 順天中学校・高等学校について、さらに詳しく知りたい方は こちら

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