新旧融合型の英語教育で中3の半数が英検2級以上…富士見丘

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 富士見丘中学高等学校(東京都渋谷区)は、単語や文法の基礎を固める従来型の指導に、4技能を伸ばす新しい試みを加えた「新旧融合型の英語教育」を行っている。これによって昨年は中3生の75%の生徒が英検準2級以上、50%が2級以上を取得するという大きな成果が上がっているという。「話す力」を鍛える「Online Speaking」の授業を中心に、同校の英語教育を取材した。

おとなしい生徒もオンラインでは生き生きと会話

ネイティブと1対1で話すオンライン英会話
ネイティブと1対1で話すオンライン英会話

 「Here you are(はい、どうぞ)」「Thanks(ありがとう)」

 中2の生徒23人が、パソコン画面に映るネイティブの講師の顔を見ながら、マイクに向かって楽しそうに英語を話している。取材に訪れた9月17日、図書室で行われていた「Online Speaking」の授業光景だ。「I don’t drink milk. I like water(牛乳は飲みません。水が好きなんです)」など、生徒は自分自身のことも話題にしながら、講師と1対1で英会話を進めていく。

 約20分間でレッスンが終了すると、生徒たちはほっとした表情で互いに顔を見合わせ、「今日の先生、すごく話しやすかった」などと感想を話し合っていた。

 英語科主任の町田寛未先生によると、同校が「Online Speaking」を導入したのは2017年度からで、現在は週1回1時間、中2から高2までの全クラスで実施しているという。「教室ではなかなか発言できないおとなしい生徒も、ここでは生き生きと会話を楽しんでいます。レッスン中に英語でうまく言えなかった内容は次回までに自分で調べ、それを教師が添削します。『Online Speaking』を始めてから生徒の表現力やコミュニケーション力が大きく伸びました」と語る。

 同校は、20年度の大学入試改革に向け、英語4技能を徹底的に伸ばす英語教育改革を進めてきた。小テストやプリント学習など従来の地道な取り組みで単語や文法の基礎力を固める一方、「話す力」「書く力」を育てるために新しい試みを取り入れており、いわば「新旧融合型の英語教育」となっている。

多読に使用する3000冊以上の洋書
多読に使用する3000冊以上の洋書

 「Online Speaking」は「話す力」を伸ばす取り組みであり、「書く力」を育てるための、「週末エッセーライティング」という取り組みも行っている。「中1・中2は日記を、中3は与えられたテーマに沿って英語でエッセーを書いて提出し、それをネイティブと日本人の教師が添削します。生徒は添削を見ながら再度ライティングを行い、よりよい表現を確実に自分ものにしていきます」

 さらに、長文読解力を高めるために「Extensive Reading」という多読のプログラムも実施している。図書室にある3000冊以上の洋書から好きなものを選んで読み、1年で400ページ以上読むことを目指す。ただ読ませるだけでなく、パソコンを使った簡単なチェックテストを行って生徒の内容理解を確認しているそうだ。

SGH甲子園のプレゼン部門で最優秀賞

 こうした取り組みの効果は、実用英語技能検定(英検)やGTECといった英語能力測定試験の結果にはっきり表れている。「英検は準2級が高校中級、2級が高校卒業レベルとされていますが、昨年は中3生の75%の生徒が準2級以上、50%が2級以上を取得しています。特に、2次試験のスピーキングで落とされることがなくなりました。まさに『Online Speaking』の成果だと言えるでしょう」

 GTECでも、中3生のスコアは、全国の高校3年生の平均スコアを2年連続で上回った。これも、新旧融合型の英語教育を推し進めたことで得られた大きな成果だという。

 同校が文部科学省からSGHの指定を受けたのは15年だが、早くも17年、18年には、高校生が参加する「全国スーパーグローバルハイスクール課題研究発表会」(SGH甲子園)で優秀賞を受賞している。さらに今年3月には「英語プレゼンテーション部門」で最優秀賞を受賞した。

海外での「サステナビリティ演習」でフィールドワークする生徒たち
海外での「サステナビリティ演習」でフィールドワークする生徒たち

 「本校では、中学で全員参加のスピーチコンテストがあります。高校では授業でプレゼンテーション力を鍛えており、特に高2では海外フィールドワークと現地でのプレゼンを行う『サステナビリティ演習』を行います。そういった蓄積がSGH甲子園での活躍につながっていると思います。中学生も先輩の姿を見て、調査の仕方、英語での発表の仕方などを、自ら習得していきます」

 同校は全生徒の約2割を帰国生が占めるが、今年のSGH甲子園で最優秀賞を得たチーム3人のうち帰国生は1人だけ。ほかの2人の英語力が鍛えられたのは、富士見丘の英語教育の成果だと言えそうだ。

日常的に英語でコミュニケーションを取る環境

 「Online Speaking」の授業を受けていた生徒に、英語の授業の感想を聞いてみた。中2の伊藤あいさんは、「ネイティブと英語で話をして、自分の言っていることが伝わったと実感できる時が、とてもうれしい」と話す。バスケットボール部に所属しているため、放課後や週末を練習に費やす忙しい日々だが、「週末エッセーライティング」は着実にこなしている。「添削を見ると、こんな時は英語でどう表現すればいいのかとか、先生に聞きたいことがいろいろと浮かんできます」

英語科主任の町田先生
英語科主任の町田先生

 同じクラスの出口花音(かのん)さんはバレリーナを目指している。バレエのレッスンを受けながら英語を勉強し、将来は世界で活躍できるようになりたいという。「オンラインのネイティブの先生は、『話す時のスピードがいい。内容も理解できていますね。もう少し間を置かずに話せるといいでしょう』とか、具体的にほめてアドバイスをくれます。次もまた頑張ろうという気持ちになります」と話す。「週末エッセーライティング」でも、「フィギュアスケートの羽生結弦選手が好きで、そのことを書いた時には、我ながらうまく書けたかな、と思いました」と、英語の勉強に自ら取り組み、楽しんでいる様子だった。

 同校のSGH指定期間は今年度で終了する予定だが、町田先生はこれからも独自の英語教育の展開に意欲を見せる。

 「ネイティブの教師と接する機会が多いことも本校の利点の一つです。ネイティブの教師は授業や添削をするだけでなく、ホームルームや部活動にも積極的に参加します。学校生活の中で日常的に英語のコミュニケーションを取る環境が整っているのです」

 (文・写真:足立恵子 一部写真提供:富士見丘中学高等学校)

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913071 0 富士見丘中学高等学校 2019/11/27 05:21:00 2019/11/27 05:21:00 https://www.yomiuri.co.jp/media/2019/11/20191122-OYT8I50022-T.jpg?type=thumbnail

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