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【特集】将来の学びの可能性を広げる「ICT授業」…富士見丘

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 富士見丘中学高等学校(東京都渋谷区)は、中1で週1時間の「ICT授業」を実施している。生徒が1人1台所持するノートパソコンを活用し、基本的なアプリの使用法から、メールやSNSの活用、表計算ソフトを使ったアンケート集計まで幅広く学び、ネットリテラシーも身に付ける。この授業で習得したICTスキルは各科目の協働学習や対話型授業に応用され、生徒たちの自主的なクラブ行事や委員会活動にも役立っているという。

生徒と教師が身に付けるべきスキルを統一する

「ICTを取り入れることで、コミュニケーションや、学び方の幅が広がりました」と話す美濃部先生
「ICTを取り入れることで、コミュニケーションや、学び方の幅が広がりました」と話す美濃部先生

 同校は2017年度、生徒1人につき1台のノートパソコンを導入し、翌年度から中1で週1時間の「ICT授業」を実施してきた。

 「アクティブ・ラーニングなど、新しい学び方のツールとして、ノートパソコンを取り入れましたが、生徒全員が最低限のスキルを身に付けていなければ、有効に活用することができません。そこで、教科学習に必要なアプリケーションや、さまざまなツールの利用方法を、実践的に学ぶ授業を組み入れました」と、指導担当の美濃部直子先生は授業の狙いを話す。「ICT授業には必ず、中1の教員も入ります。生徒と教員のスキルを統一化することで、授業やホームルーム活動にICTを根付かせ、発展させていきたいと考えています」

 1学期の「ICT授業」は、キーボード入力やメールの送受信、ファイルのダウンロードと保存など、パソコンの基本操作を学ぶところからスタートする。そこから、パワーポイントを使って、学校で毎日実施している朝読書用におすすめの本を紹介するプレゼンテーションに入る。

ツールの「ベン図」を使い、メールの特徴のメリットとデメリットを分類する
ツールの「ベン図」を使い、メールの特徴のメリットとデメリットを分類する

 2学期の前半は、適切なメールの使い方について学習する。「本校は、大学や企業、団体などと連携した探究学習を行っています。校外の人に適切に情報や要望を伝え、信頼関係を築きながら学びを深めるために、メールを活用できることが大切と考えるからです」。2学期後半はSNSを取り上げ、「どんなトラブルが発生しているのか」「どのような向き合い方をしたらよいか」などの題目をワークショップ形式で取り上げ、オリジナルの「SNSガイドライン」を制作する。併せて情報の正しい扱い方を学習し、ネットリテラシーを養う。

 3学期には、「Microsoft Forms(以下、Forms)」を使ったアンケート作成や、表計算ソフトの活用方法を学ぶ。実際に生徒たちは自分が決めたテーマでアンケートを作り、クラスメートから得た回答を集計し、表やグラフで表現する。そして、最後にプレゼンテーションを行う。

ツールを使い分けながらメールの特徴を考える

1人の生徒の考えをモニター画面に表示して全員で共有する
1人の生徒の考えをモニター画面に表示して全員で共有する

 9月8日、同校を訪れて美濃部先生の「ICT授業」を取材した。この日の授業は「よいコミュニケーションのために…『メール』について考えよう」というテーマで、メールの特徴を考える第1回の授業が行われていた。

 始めに、授業支援アプリ「ロイロノート スクール(以下、ロイロノート)」のシンキングツールを使い、「メールに関すること、想起することを10個挙げてみよう」という課題が出された。美濃部先生は、いろいろなアイデアを出す時に便利なツールとして「ウェビング」を選び、まず、大型テレビのモニター画面中央にトピックである「メール」という文字を表示した。さらにパソコン上で「自分のタイミングで送信できる」と書かれたカードを、「メール」の左上に関連付けて映し出した。次いで生徒が各自の考えをカード化して提出し、その中から美濃部先生が数人分をピックアップ。「相手が遠くにいても、言いたいことが言える」「書いたものが残る」「話すことが苦手でも伝えられる」「相手の顔が見えないから心配」などの意見が「メール」を取り囲むように表示された。

 次に「ウェビング」から「ベン図」にツールを切り替え、自分たちの考えたメールの特徴をメリットとデメリットに分ける作業を行った。ベン図は相違点や共通点を見つけることに適しているという。何人かの生徒が作成したものを表示し、最後は、「ピラミッドチャート」というツールで、メールで気を付けることや、大切なことの優先順位を付けた。

ツールの「ピラミッドチャート」で、優先順位を付ける
ツールの「ピラミッドチャート」で、優先順位を付ける

 「今回の学習の目当ては、考える内容によってツールを使い分けながら、最終的に自分の考えをまとめることです。第2回のワークでは、いろいろな状況に応じたメールを書き、第3回はさまざまなコミュニケーションツールについて考えます。生徒にはコミュニケーションの一つの手段として、メールを有効に使い、よい関係作りに活用してほしいと思っています」と、美濃部先生は話す。

 授業を受けた粕谷 叶音(かのん) さんは、「何げなく使っていたメールを考えるきっかけになりました。私は中学から本格的にパソコンを使い始めたので、もっとスキルを身に付けて、勉強以外のことにも利用してみたいです」と言う。 大垣内(おおがいと)映凪(えな) さんは、「普段あまりメールを使わないので、特徴を考えるのが難しかったですが、パソコンを使った授業は、いろいろな考えを知ることができるのがよいです。テスト勉強をする時も、友だちの意見を思い出して、参考にしています」と話す。宍戸 (ゆい) さんは、「海外にいる友だちによくメールをしますが、今回の授業で初めてデメリットに気付きました」と話した。

ICT教育で学び方の選択肢が増える

 現在、同校は、さまざまな授業でICTを用いて、協働学習や双方向の対話型授業を展開している。英語科では、英作文だけでなく、生徒が録音して提出した音読も、教員が添削して返している。理科や社会科でも、ICTを取り入れることで、より効率のよい課題解決型の学習を実現しているといい、生徒一人一人に応じた指導が可能になっている。

 また、探究学習でも、自分の興味関心を掘り下げる中1~高2の「自主研究5×2」、大学と連携してSDGs(持続可能な開発目標)を考える高1の「グローバルスタディ基礎」、それらの活動をさらに発展させた高2の「グローバルスタディ演習」で、調査や研究、考察、発表などにICTを活用している。特に昨年度は、コロナ禍のため国内外でのフィールドワークが困難だったため、取材相手とコミュニケーションをとったり、研究発表会を行ったりする際にオンラインがフル活用された。

 生徒たちが授業を通じて身に付けたICTのスキルは、学校行事や委員会、部活動などでも発揮されている。「文化祭などの企画を生徒主導で考える時も、生徒たちはFormsでアンケートを取っています。最近は、生徒会の役員選挙にもFormsを使っていますね。私が受け持つクッキング部でも、オンラインで情報の共有やレシピの投稿をしています」と、美濃部先生は話す。

 「ICTを取り入れることで、コミュニケーションや、学び方の幅が広がりました。ノートに書くほうが頭に入るとか、パソコンのほうが表現をしやすいとか、自分に合った学び方を選択すればいいと思います。学び方のカードが多いほうが、どんな環境でも学び続けることができ、たくましく生きていけます。ICT教育には、そのような役割もあるのだと思います」

 (文:北野知美 写真:中学受験サポート)

 富士見丘中学高等学校について、さらに詳しく知りたい方は こちら

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使い方
2443598 0 富士見丘中学高等学校 2021/10/20 05:01:00 2021/10/20 05:01:00 https://www.yomiuri.co.jp/media/2021/10/20211014-OYT8I50013-T.jpg?type=thumbnail

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