三つの力を磨いて、タフな国際人を育てる…目白研心

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 目白研心中学校・高等学校(東京都新宿区)は、グローバル時代に不可欠な力として、「コミュニケーション力」「問題発見・解決力」「自己肯定力」の三つの力の育成を中期的な目標に掲げ、教育改革に取り組んでいる。2023年に創立100年を迎える同校が目指している理想の教育や生徒像について、松下秀房校長に聞いた。

ものづくりから人づくりへ転身

「グローバル社会に必要な三つの力」について話す松下校長
「グローバル社会に必要な三つの力」について話す松下校長

 松下校長は、もともと企業の技術職出身。ものづくりは好きだったが、「仕事のプレッシャーが大きく、プロジェクトが一つ終わると心に穴があいたような状態だった」と振り返る。「ものづくりよりも人づくりに携わりたい」と、教職へ転身し、都内の私立中学・高等学校の数学教師として長年教鞭(きょうべん)を執ってきた。京華中学・高等学校の校長を経て、目白研心が男女共学化して4年目の2012年に校長に就任した。

 「以前は、本校の中高から目白短大を目指す生徒が多かったのですが、4年制大学への進学が世の中の主流になり、大学受験のニーズが高まっていました。また共学化したことで短大を志望する生徒の入学も減り、当時は生徒獲得に苦労していたんです」と振り返る。

 さらに、急激に変化する時代を迎え、大学入試制度も改革が迫るなか、松下校長は「日本で、世界で、これからどういう人材が求められるのか。グローバル社会に不可欠な力は何か」と考えた。考え抜いて出した答えが、「コミュニケーション力」「問題発見・解決力」「自己肯定力」。この三つの力の育成を教育改革の柱に据えることだったという。

密度の高い英語教育で「コミュニケーション力」を伸ばす

中1からネイティブの教員が行うオールイングリッシュ授業
中1からネイティブの教員が行うオールイングリッシュ授業
イングリッシュキャンプで英語劇を演じる中2生
イングリッシュキャンプで英語劇を演じる中2生

 同校は、英語学習における4技能の重要性が叫ばれる以前から、聞く・話す・表現する力の必要性を重視し、学習に取り入れてきたという。

 「日本に外国人が増え、仕事だけでなく日常生活までグローバル化が進んでいます。今やどこの国でも英語はマストです。英語はコミュニケーションに必要な手段だという意識を持ってほしい」と松下校長は語る。

 英語による「コミュニケーション力」を養うため、英語の授業は週7時間とし、中1からネイティブの教員によるオールイングリッシュの授業を週3時間行う。授業はクラスを半分に分け、十数人の生徒に対して1人のネイティブの教員が担当するため、かなり密に英語でのコミュニケーションを実践することができる。

 日ごろの学習の集大成として中学ではスピーチコンテストを行っている。学年ごとに予選を行い、最終的に全学年の予選通過者で優勝を競う。中2生を対象とする2泊3日のイングリッシュキャンプ、中3生全員が参加するカナダ・バンクーバー研修、さらに高校でも、海外研修を兼ねた台湾修学旅行が用意されている。

 松下校長は「海外で実際のグローバル社会を目の当たりにし、現地の学生から刺激を受け、『頑張らないと負ける』と、いい意味での危機感を持って帰ってきます」と話す。

 生徒の英語への取り組みは実用英語技能検定の成績にも表れている。中3の約8割が3級以上を取得し、中1で英検準1級に合格する生徒もいるそうだ。

日々のセルフマネジメントで問題を発見、解決する

日々の学習を記録し、目標計画をたてる「セルフマネジメントノート」
日々の学習を記録し、目標計画をたてる「セルフマネジメントノート」

 次に「問題発見・解決力」を柱に据えたことについて、松下校長は「ICT化が進み、世の中の変化のスピードはますます速くなっています。さまざまな問題があっても、意識しないと通り過ぎてしまいますし、物事を見る目がないと気付くこともできません」と話す。

 「問題発見・解決力」を身に付けさせるために、同校は「セルフマネジメントノート」を導入した。日々の学習を記録し、振り返り、目標計画を立てて実行する。このサイクルを繰り返すことで、問題点を自分で発見し、目標を達成した時の喜びや、さまざまな気付きを得ることができる。これは業務の管理・改善に使われるPDCA(Plan・Do・Check・Action)サイクルの応用だ。

 「社会に出ると、PDCAは当たり前。次は『だぶりなく、もれなく、思考する』ことを習慣化していこうと取り組んでいるところです」

 同校は、次世代型キャリア教育教材「ENAGEED」を使った授業も年に数回実施している。世界が抱える社会問題を知り、考え、発表する中で、課題に対する解決力や表現力を身に付けていくという。また、年3回「キャリア講演会」を開き、卒業生や社会人の話を聞いて「問題発見・解決力」を養うために役立てている。

自分をよく知って、「とんがり」を伸ばす

 最後に「自己肯定力」の必要性については、「日本人は控えめで、自己アピールすることはあまりよくないことだとする傾向があります。しかし、それは今や美徳にならない」と松下校長は力説する。

 「学校や塾で『自分はできない経験』を上積みされた結果、積極的に自分を出せない生徒がとても多い。グローバル社会の中では、自分の考えを積極的に表現しないと伝わりません。逆を言えば、表現することはいろんな分野で自分を生かすことにつながります。それには自分を良く知り、『とんがり』つまり自分の得意を意識させることが大事です」

 一人一人違う「とんがり」を見つけ、それを伸ばすために、同校は中学、高校ともさまざまなコース制を採用している。中3で国公立や早慶上理を目指す「特進コース」、GMARCHなどの難関私大を目指す「総合コース」、海外大学やグローバル大学を目指す「Super English Course(SEC)」の三つから選択する。高2ではさらに、「総合コース」は「文系」「理系」「英語難関」の3クラス、「特進コース」は「特進文系」「特進理系」」の2クラスに分かれ、GMARCH、早慶上理、国公立、海外大など、生徒の志望する進路に合わせた指導を行う。

 生徒の学ぶ意欲をバックアップする環境も整えた。2014年に設置した学習支援センターには、チューターが常駐し、クラブ活動が終わってからも中学生は午後7時、高校生は8時まで利用できる。有料の志望校別個別指導もあり、その費用の半分は学校が補助する。

 こうした取り組みの効果もあり、昨年5割程度だった4年制大学の合格者は、今春9割を超えた。早慶、GMARCHへの合格者も増加している。

 松下校長は、求める生徒像についてこう語った。「何事も前向きに考えられる人、自分を表現できる人。本校の生徒は学習だけでなく、さまざまな活動やクラブにも前向きに取り組み、その中で『三つの力』を身に付けていきます。例えば、試合でなぜ負けたのか、どうすれば勝てるのかを考えることは『問題発見・解決力』に、試合に勝つことは『自己肯定力』につながりますよね。グローバル社会で必要なのは、何よりもタフさ。一生懸命取り組むことは、人間力を育て、タフな心を育てます」

 英語によるコミュニケーション力で世界に飛び出し、時代の問題を発見し、解決を通して自己肯定力を磨く。そんなたくましい人材が、同校から羽ばたいていくことを期待する。

 (文・石井りえ 一部写真提供:目白研心中学校・高等学校)

 目白研心中学校・高等学校について、さらに詳しく知りたい方はこちら

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945435 0 目白研心中学校・高等学校 2019/12/13 05:21:00 2019/12/13 05:21:00 https://www.yomiuri.co.jp/media/2019/12/20191211-OYT8I50026-T.jpg?type=thumbnail

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