共同担任制で生徒と信頼関係を築く…光塩

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 光塩女子学院中等科・高等科(東京都杉並区)は、1学年約150人の生徒を5、6人の教員全員で担任する「共同担任制」を特長としている。個人面談も数多く実施し、教員同士で情報を共有することで、深い信頼関係を築き、生徒の成長を促す。「そのままのあなたがすばらしい」というメッセージのままに学校生活を送る生徒、教員たちの姿を紹介する。

創立当時から続く共同担任制で「大きな家族」に

「生徒との関係を大事にしたい」と話す齋地教頭(右)と亀田教諭
「生徒との関係を大事にしたい」と話す齋地教頭(右)と亀田教諭

 同校は、スペイン人修道女マドレ・マルガリタによって1931年に創立され、スペイン人、アメリカ人、日本人を合わせて8人の教員と入学生28人でスタートした。「共同担任制はそのときから現在までずっと続いています」と齋地彩教頭は話す。

 現在は約150人からなる1学年を共同で担任している。月曜日はA先生が朝礼と終礼、火曜日はB先生が朝礼でC先生は終礼、水曜日はD先生が朝礼と終礼、というようにローテーションしていく。事務担当の先生も学期ごとに変わる。年齢、性別、担当教科などさまざまな面で異なる担任がいて、それぞれの視点から生徒を理解していくという。

 「『○○さんは積極性が見られない』と相談すると、別の教員は、『目を輝かせて、こんなことをやってくれます』と教えてくれたりします。生徒のさまざまな側面が見えるので、『それならこうしてみよう』と考えることができます。生徒の良い側面を発見しやすいのです」

 職員室では学年ごとに教員の机を配置してあるので、相談や話し合いがしやすい体制になっている。毎日の朝礼と終礼の際の打ち合わせや、週に1回の学年会議で、生徒たちの情報を共有している。

 「問題が起きたとき、担任が1人だと自分の対処方法だけが正しいと思いがちです。一人で抱えてしまい、問題が大きくなってしまうということもあるでしょう。しかし、本校では生徒の情報を共有し、教員同士でさまざまな角度から話し合うことで、生徒にとっても教員にとっても、より良い方向に向かうことができます。新任教員も1年目から共同担任に加わります。生徒だけでなく教員も、みんなで大きな家族として育っていくのです」

きめ細かい面談で「人と人」の関係を築く

ステンドグラスには校名の由来「あなたがたは世の光、地の塩」という聖書の言葉も
ステンドグラスには校名の由来「あなたがたは世の光、地の塩」という聖書の言葉も

 同校では、学期に1回は教員と生徒の面談があり、それも学期ごとに別の教員と面談をする。亀田朋子教諭は「面談では人間関係を作ることを大切にしています。教員と生徒という関係ではなく、人と人という関係になっていくのです」と話す。

 「面談で『最近ゲームにはまりすぎているかも』と生徒が相談してきた場合、『けじめをつけてやりなさい』と指導したら、生徒は注意された気持ちになるでしょう。ですから、『先生も高2、高3の時は勉強が終わった後、毎日就寝前にゲームをしていた時期もありましたよ。時間を決めてやるといいよ』などと、教師も自分のことを含めて話すようにします。指導的な観点というより、お互いを知ることを大事にしています」

 齋地教頭によると、面談などを通して信頼関係ができると、生徒の方から「先生、話がしたい」と言ってくれることもある。そのために、同校は10部屋の面談室を用意し、そのほかにも廊下に面談用の机を設置して、希望する生徒がいつでも教師と面談できるようにしている。「生徒の話をじっくり聞きたいので、面談は1日に1人か2人までです。2時間くらい話し込む生徒もいます」と話す。

面談室は10部屋あり、いつでも面談できる
面談室は10部屋あり、いつでも面談できる

 また、中には普段あまり言い出せないことを相談してくる生徒もいるという。内容によっては、教員から保護者に伝えることもあり、双方から感謝されることも多いそうだ。「一人っ子で、家族以外とコミュニケーションを取ることがない生徒も増えています。家族同士でも思春期は難しい時期です。親に心配をかけたくないと話す生徒も多く、面談は貴重な場になっています」

 生徒の家庭でのあり方を知ることも大切にしており、保護者との面談も年に2回行っている。また、こうした教師による面談とは別に、スクールカウンセラーに生徒、保護者が相談できる体制も整えている。何か問題が見つかれば、担任全員とスクールカウンセラー、校長で話し合い、速やかに最善の対処ができるよう心がけているという。

 齋地教頭によると、近年はSNS(ソーシャル・ネットワーキング・サービス)が発達し、生徒同士の問題が表面に見えにくくなったが、そういう問題の解決にも共同担任制が役立っているという。「担任だけでなく、部活の顧問や、前年度の担任など、全校からその問題に関する情報が集まります。生徒が教員の誰かしらに打ち明けていることは多いのです。例えば、その生徒が話をしやすい若い教員が生徒から話を聞き、経験豊かなベテランの教員が、若い教員のアドバイスに回るなど、役割を分担して問題の早期解決につなげます」

「そのままのあなたがすばらしい」

担任の誕生日に生徒たちから送られたお祝いのメッセージ集
担任の誕生日に生徒たちから送られたお祝いのメッセージ集

 共同担任制のメリットはほかにもある。学年全員が同じ担任団に見守られているので、学年としての結束力も強まるという。「体育祭や合唱コンクールは学年対抗で行われます。生徒たちはクラスの垣根を越えた結束力を発揮して一生懸命に取り組みます」と亀田教諭は話す。

 教師と生徒、生徒同士、学校全体が「大きな家族」のような温かな関係性を持つことで、お互いの良さを見つけ、認め合うことが容易になるという。「友達と競い合って頑張って存在を認めてもらうというのではありません。友達の良いところ、得意なものを見つけ合い、生徒それぞれが伸び伸びとして、安心していられる関係なのです」と亀田教諭は話す。それは「そのままのあなたがすばらしい」という同校のメッセージにもつながるものだ。

 齋地教頭は「私自身もその言葉に救われたので、生徒にも伝えていきたい言葉です。『そのままのあなたがすばらしい』。だから周りのお友達もそのままで素晴らしいと認め合えるのです。この広い世界でこの時代に生徒たちと出会えた、その関係を大事にしたいです」と話した。

 同校の卒業生は、卒業してすぐに母校を訪ねてくることが多いという。自分たちがいなくなって、先生たちが寂しがっているのではないかと心配するからだそうだ。

 (文・写真:小山美香 一部写真提供:光塩女子学院中等科・高等科)

 光塩女子学院中等科・高等科について、さらに詳しく知りたい方はこちら

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54760 0 光塩女子学院中等科・高等科 2018/12/19 05:20:00 2018/12/19 05:20:00 https://www.yomiuri.co.jp/media/2019/01/20181213-OYT8I50043-T.jpg?type=thumbnail

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