アジアの仲間と「ものづくり」競演…同志社

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 同志社中学校(京都市左京区)で、この夏休み、「ものづくり」を通した国際交流イベント「アジアSTEAMキャンプ2018」が開かれた。参加した生徒たちは、香港、台湾、韓国など近隣アジアの国・地域の小中学生と、ロボット製作や家の模型作りなどに取り組んだ。まだ拙い英語や身ぶり手ぶりでコミュニケーションを取り、助け合いながら課題に挑むことで、言葉の壁や文化の違いなどを乗り越える貴重な体験をしたようだ。

言葉の壁乗り越え、国際チームでロボット作り

 7月28、29日の2日間に開かれた「アジアSTEAMキャンプ2018」には、日本から同志社中学校の生徒18人と同志社小学校の児童2人が参加。また、海外組として韓国、台湾、香港から来日した小中学生25人が加わった。参加した子供たちは多彩な「ものづくり」を体験するとともに、言葉の壁などを乗り越えて協力し合う難しさや楽しさも味わった。

各チーム工夫を凝らしたブロック製のロボットによる競技
各チーム工夫を凝らしたブロック製のロボットによる競技

 メインとなるプログラム「ロボットコンテスト」では、日本、韓国、台湾、香港の小中学生が複数の混成チームを編成した。限られた時間内に、プログラミングで動かすことができるブロックで2輪走行ロボットを組み立て、いかに与えられた課題に合わせて走らせることができるかを話し合い、試行錯誤して競い合った。

 また、「アジアンハウス・プロジェクト」というプログラムでは、住んでいる国や地域によって文化も生活も異なる子供たちが、理想の住まいについて設計図面を考えて住居の模型を製作。その後、どんな工夫を凝らしたのかプレゼンテーションを行った。

 このキャンプでは、基本的に公用語は英語。日本の多くの参加者にとって、英語で自由に会話するのはハードルが高かったが、同志社中学2年の(いそ)()(かず)()君は「アジアの小中学生と英語を用いながら協力し、いろんな話をして、アジアで人気がある日本のアニメの話題でも盛り上がりました」と、交流を楽しむことができた様子だった。

 同志社中学校は数年前から、技術の授業や「ものづくり」などで、アジアの国・地域との国際交流に力を入れてきた。これまで韓国、台湾、中国、インド、ベトナム、フィリピン、マカオ、香港などの学校とネットワークを結び、教師の出前授業や生徒同士の交流授業を進めてきた。

 そこから国際交流イベントとして結実したのが、2016年夏に同中学校で開催した「Robo STEAM2016」。このときは日本と香港の小中学生が参加し、ロボット作りの技術などを競った。翌17年夏には、飛行機作りなどのものづくり体験を増やし、「アジアSTEAMキャンプ2017」と名称を変えて開催。そして今年の夏が3回目の国際交流イベントだった。

 「アジアの国々の経済成長と人々のエネルギー、そして教育水準の向上には目を見張るものがあります。今後、日本とアジア諸国との関係はより深まっていくでしょう。アジアの仲間とともに国境を越えて助け合って課題を解決するという体験は、これからの時代を生きる生徒たちに役立つに違いありません」と、中心になって取り組んできた同中学校の沼田和也教頭は期待する。

 イベント名「アジアSTEAMキャンプ」の「STEAM」は、Science(科学)、Technology(技術)、Engineering(工学)、Arts(芸術)、Mathematics(数学)の頭文字をとって作った言葉。教育の場面では、それらの学問領域を超えたプロジェクトで、他者と協力しながら課題を解決する力などを育てる教育手法として適用されることが多い。

メダル作りは同志社中2年の有志がサポートしていた
メダル作りは同志社中2年の有志がサポートしていた

 コンピューターのプログラミング教育など、最新のテーマばかりを想像しがちだが、同キャンプのプログラムには、手作り工作の「ハンドメイド マーケット」も含まれていた。これも「STEAM」の学びにつながるという。

 「ハンドメイド マーケット」は、ボールベアリングを軸受けにして回転させる玩具「ハンドスピナー」、歯ブラシに小型モーターを取り付けて走らせる「歯ブラシロボット」「ミニチュアの大工道具箱」「発光ダイオード(LED)で光る花」「金属メダル」、の5種類から好きなもの選んで製作するプログラム。このうち、例えば「金属メダル」のように、金属板を磨いてメダルを作るという手作り工作のプロセスの中にも、「『STEAM』の横断的な教育的要素が詰まっている」と沼田教頭は指摘する。

英語と身ぶりで意思疎通 助け合い目標へ

 このキャンプでは、参加した小中学生たちは基本的に公用語の英語でコミュニケーションを取る。国や地域を超えた混成チームをその場で作り、競い合う「ロボットコンテスト」では特にその力が試された。

 出会ったばかりの子供たちは最初、ぎこちない雰囲気だったが、次第にロボットのデザインを巡って、「こんな形にしたい」「この色がいい」と、知っている英語を総動員し、身ぶり手ぶりも交えて話し合いを始めた。さらに、与えられた課題通りにロボットが動くようにプログラミングすることについても意見を交換。不具合が出ると、「こうやって修正しよう」と言葉をかけ合った。

公用語は英語だが、必要に応じ日本語、韓国語でも語りかける沼田教頭
公用語は英語だが、必要に応じ日本語、韓国語でも語りかける沼田教頭

 沼田教頭は「技術を競うだけなら、日本人同士でチームを組むのが言葉の問題もなく合理的です。しかし、それよりも、国や地域を超えてコミュニケーションを図り、協力し合うことに一番の価値を置くなら、急ごしらえの国際チームでロボット作りをする体験は効果的」という。

 今回の「アジアSTEAMキャンプ」のように「ものづくり」を通した国際交流では、英語力だけでなく、科学的な知識や思考力、工作の技術なども自然と養われる。また、共通の「もの」を介して一緒に課題に取り組むため、たとえ英語力が十分とはいえなくても、ボディーランゲージなどで意思疎通を図りやすいというメリットもあるようだ。

ネイティブと違う「アジアの英語」も体験

 「ロボットコンテスト」に参加した同志社中学2年の()(かた)(とも)(あき)君は「ロボットはプログラミングを少しでも間違うと、思い通りに動かない。面白さと難しさの両面があって楽しかった」と満足した様子。また、小学6年の春休みにオーストラリアでホームステイを体験したという同中1年の(つじ)あおいさんは、「ネイティブスピーカーとは違うアジアの生徒の話す英語が聞けた」と新たな発見をしたようだ。

 参加した生徒らは「もっと英語を話せるようになって、理解し合いたい」などと、それぞれが今後の学びや交流に意欲を高めていた。

カフェテリアを使った会場でものづくりに熱中する小、中学生たち
カフェテリアを使った会場でものづくりに熱中する小、中学生たち

 会場にはサポート役として、同中学・高校の先輩らも駆けつけていた。その1人で、この春に同中学を卒業し、秋からイギリスの高校に進学するという(おか)(ざき)壮彦(まさひこ)君は「昨年も参加しましたが、今回は教える側。相手が何を求めているのか考えて対応しなければ」と少し緊張気味。しかし、韓国や台湾、香港の小中学生が製作途中の「ハンドスピナー」を手に、「うまくできない」と岡崎君に次々と助言を求めにくると、経験を生かし、身ぶり手ぶりを交えながらアドバイスしていた。

 今回の「アジアSTEAMキャンプ2018」のプログラムを無事終えて、企画した沼田教頭は「アジア各国・地域とのネットワークを拡大し、さらに国際交流の輪を広げていきたい」と、今後の展開にかける思いを、2030年代の世界で活躍するであろう生徒たちに語っていた。

 (文・写真:水崎真智子 写真提供:同志社中学・高等学校)

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54410 0 同志社中学校・高等学校 2018/12/17 05:20:00 2018/12/17 05:20:00 https://www.yomiuri.co.jp/media/2019/01/20181213-OYT8I50021-T.jpg?type=thumbnail

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