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【特集】異なる個性が力を集めて唯一無二のロボット製作…普連土

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 普連土学園中学校・高等学校(東京都港区)の開催する教養講座「Friends Fab(フレンズ・ファブ)」を受講する生徒たちが、ロボットプログラミングの世界大会などで目覚ましい活躍を見せている。生徒たちは創意工夫してロボット製作に取り組み、大会に向けてのプレゼンテーションを磨く中で、同校が教育目標とする「自ら考え、伝え、行動する」力を身に付けるという。昨年度の全国大会で好成績を収めたチームと、顧問の教師に取材した。

女子だけのチームでロボット競技世界大会へ

生徒たちの成長ぶりを話す顧問の加藤先生
生徒たちの成長ぶりを話す顧問の加藤先生

 同校は、生徒の視野を広げる取り組みとして、2001年度から授業を超えたさまざまな教養講座を放課後や休日に実施している。「Friends Fab」もその一つで、中3~高2の希望者を対象に理科の教師が16年から開講している。玩具メーカー「レゴ」などが主催する9~16歳の世界的なロボット競技会「FLL(ファーストレゴリーグ)」に出場することを主な目標としてロボット製作に取り組んでおり、ほかにも3Dプリンターを使用したオブジェクト制作や、「Arduino(アルドゥイーノ)」というマイコンボードを利用した電子工作などを行っている。

 FLLの日本大会では毎年のように好成績を収め、17年にはデンマークで行われたヨーロッパ大会に、19年にはトルコでの世界大会に出場という画期的な成果を上げている。今では「普連土に入ってロボットを作りたい」という受験生も出てきているそうだ。

 「日本の大会では、女子だけのチームというのはやはり珍しいですね。皆、自分たちで目標を立て、大会に向けて懸命に努力を続けてきました。その努力が報われたのだと思います」と、顧問の加藤芳幸(よしゆき)先生は話す。

 ちなみに「Friends Fab」の「Friends」は学校名、「Fab」は「fabricate(組み立てる)」から取った言葉だ。加藤先生によると、この講座は元々「物理の授業で、授業中にやりきれない実験を放課後にやろう」という目的で前任者が始めたが、FLL出場をきっかけとして参加者が大きく増えたという。

 現在は、放課後週3日と土曜の午前に活動している。生徒たちが自主的にロボット製作を進め、加藤先生と、コーチとして参加している大学生が随時アドバイスを行っているそうだ。

今年も日本大会で3位入賞果たす

 今年2月に東京工業大学で開催されたFLL日本大会では、現在高2となっている9人のチームが、3位入賞を成し遂げた。チームリーダーの長嶋果南(かな)さんは、「チームの理念を、『唯一無二』としました。それぞれ個性の異なるメンバーが、力を合わせて唯一無二のものを創り上げるところを見せたかったのです」と、当時の意気込みを語る。

 FLLの大会は、「ロボットゲーム」「ロボットデザイン」「イノベーションプロジェクト」「コアバリュー」という4部門から成る。「ロボットゲーム」「ロボットデザイン」では、レゴ社の「マインドストーム」という教材を使用して事前にロボットを組み立て、コンピューターでプログラミングを行い、当日プレゼンテーションを行う。さらに、事務局が用意したコースの上を走って、数々の「ミッション」をクリアし、その性能を競う。

 「私たちのチームは、ロボットを小さくして動きを良くすることにこだわりました。事前にコースをじっくり研究したことも、いい結果につながったと思います」と、長嶋さんは説明する。

FLLでプレゼンテーションした「空き家センサー」
FLLでプレゼンテーションした「空き家センサー」

 「イノベーションプロジェクト」では、FLLから出される社会問題に関連した課題に対し、模型を製作してプレゼンテーションを行う。今年のテーマは「CITY SHAPER(都市形成)」で、参加チームは、建築物などを題材として、社会の問題を解決する方法を提案する。「Friends Fab」がプレゼンテーションしたのは、「空き家センサー」だった。担当の亀谷(かめや)日菜子(ひなこ)さんは「空き家とそこへのゴミの不法投棄が社会問題になっていることを知り、空き家に人が近付いた時に、音と光を発して警告する装置を考案しました」と説明する。

 亀谷さんたちは、空き家を管理する不動産会社の意見を聞いてどのような機能が必要とされるかを調査し、Arduinoを利用して空き家センサーを製作した。大会で発表を聞いた審査員からは、「着眼点がいい」という講評を得たという。

審査員へのアピールを考えてスケッチブックに手書きしたメッセージ
審査員へのアピールを考えてスケッチブックに手書きしたメッセージ

 チームの長所を言葉や視覚的資料で訴えるプレゼンテーション「コアバリュー」では、あえてパソコンを使わず、スケッチブックにメッセージを手書きして発表を行った。「パワーポイントでは、審査員の目が上のほうに向きがちです。スケッチブックを手に持ってプレゼンすれば、私たちの顔をしっかり見てもらえる。そのほうが有利だと考えました」と、担当の前原由佳さんは話す。

 ロボット製作というと堅苦しそうなイメージだが、Friends Fabのメンバーは、理科実験室で音楽をかけ、歌いながら製作に励んだりする。そんな明るく楽しそうな活動ぶりも、審査員にアピールする材料になったという。活動を紹介する大会ブースには、メンバーの普段の様子を収めた写真がにぎやかに飾られた。女子校らしいひときわ華やかなブースだったそうだ。

「自ら考え、伝え、行動する」力を身に付ける

 日本大会の3位入賞によってブラジルで開催される世界大会への出場権を得たが、今年はあいにく新型コロナウイルスの感染拡大のため世界大会は中止となった。メンバーは今、今年の日本大会に挑戦する後輩のサポートに当たっているという。

生徒たちが組み立て、プログラミングしたロボット
生徒たちが組み立て、プログラミングしたロボット

 メンバーのうち「ロボットゲーム」を担当した(なわ)里乃(りの)さんは、チームでの活動をこう振り返る。「私は消極的な性格なんですが、Friends Fabは初めて自分から『これがやりたい』と思える活動でした。皆と準備を進めているうち、自分から意見を言うことができるようになったんです」。同じく「ロボットゲーム」を担当した志田(しだ)怜映苗(れえな)さんも「以前は何でも周りの人に任せてしまうほうだったのですが、ここでは、自分から積極的に行動しないとチームが機能しなくなると感じ、『私、やります』と言えるようになりました」と話す。

 Friends Fabの参加者は理系志望とは限らず、長嶋さんと亀谷さんは文系選択だ。長嶋さんは、FLLのプロジェクトに取り組んだ経験を生かし、社会に貢献するため、環境情報学を専攻したいと考えている。

 同校の教育目標の一つは「自ら考え、伝え、行動する」であり、加藤先生は、Friends Fabの活動を通して、まさにこの力が身に付いたと考えている。「大会前に何度も実験を重ね、何が最善の解決策となるか、自分たちで発見していきました。FLLのプレゼンテーションによって、人に効果的に伝える方法も学ぶことができました。この経験を生かし、先が読みにくいこれからの社会にあって、自分の力で答えを見つけていってほしいと思います」

 (文:足立恵子 写真:中学受験サポート)

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1669743 0 普連土学園中学校・高等学校 2020/12/07 06:00:00 2020/12/07 06:00:00 https://www.yomiuri.co.jp/media/2020/12/20201202-OYT8I50035-T.jpg?type=thumbnail

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