プレゼン技法研究発表会で課題発見・解決力を磨く…目黒学院

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 目黒学院中学校・高等学校(東京都目黒区)は、自分で課題を見つけ、解決する力を磨く場として毎年、中1から高2までの生徒全員による「プレゼン技法研究発表会」を行っている。昨年の暮れに行われた発表会の様子をリポートするとともに、指導を担当してきた教諭に、この発表会の目的や生徒たちの成長ぶりについて聞いた。

議論を重ね、生徒が自主的に作り上げる行事

「プレゼン技法研究発表会」を指導する藤牧朗教諭
「プレゼン技法研究発表会」を指導する藤牧朗教諭

 目黒学院は、「明朗・勤勉・礼節」を校訓とし、「自主的・積極的に学ぶ心と、生徒一人一人の個性を育む」という教育目標を掲げている。「プレゼン技法研究発表会」もこの教育目標に沿って、生徒たちが自分で課題を見つけ、自分で解決する力を鍛えられるようにと2014年に始まったものだ。「発表会」を指導する進学・学習指導部主任の藤牧朗教諭は、「教員の指示で動くのではなく、生徒が自主的に運営する行事を作りたいと考えました」と話す。

 昨年12月21日、6回目を迎えた発表会を見てきた。参加したのは中1生8人、中2生10人、中3生11人、高1生9人、高2生10人の計48人。高3は自由参加だが、今回はオブザーバーとして聞き役に回った。どの学年も、テーマの検討から発表資料の作成まで、みんなで議論を重ねながら作り上げてきた。また、運営についても、実行委員の生徒が司会進行やタイムキーパー役を務め、本番を想定して何度も打ち合わせを重ねてきたという。

 発表会は、予定通り午前9時に高3生や教員、保護者ら約100人が集まった同校小ホールで開会した。

 中1、中2生はそれぞれ全員で、校外学習体験について発表した。特に中2生は発表方法にも工夫を凝らして「ニュースショー」形式を採用。現地からのインタビュー中継のようなスタイルで、昨年9月に河口湖・御殿場エリアで行った校外宿泊研修を取り上げ、テント宿泊やキャンプファイア、農家での野菜収穫などの体験を生き生きと伝えた。

 中2生の発表が終わった時点で、実行委員の男子生徒が、進行に余裕があるのを見て取り、間をつなぐために会場への問いかけを行った。「ここでプレゼン発表会の意義をお話ししたいと思います。なぜプレゼン発表会をするのか。もちろん良いプレゼンを目指すわけですが、会場の皆さんにも聞いてみましょう」と、会場の参列者を指名していく。

 「社会人になったとき会議などで役に立つ」「自分の知識を分析・整理し、他者と共有するため」などの答えを聞いて、実行委員の生徒は「つまり、いろいろな手法を使って人に伝えるためですね」とまとめ、さらに「では、究極のプレゼンとは何だと思いますか」と畳みかけると、「スティーブ・ジョブズ」「面白くて引き込まれるもの」「聞いている側が楽しい、シリアスとファニーの良いバランス」「意見が違う人がいても、自分の意見に寄せる力があるもの」などの答えが次々返ってきた。

世界と日本の貧困の原因を比較し、問題の深刻さを訴えた中3の「貧困問題」の発表。
世界と日本の貧困の原因を比較し、問題の深刻さを訴えた中3の「貧困問題」の発表。
高2は「アジアセミナー」の発表で、ブルネイの水上集落の村長へのインタビュー経験を話した
高2は「アジアセミナー」の発表で、ブルネイの水上集落の村長へのインタビュー経験を話した

 実行委員の生徒は「SNSなどの発達で個人の発信は昔よりも簡単になりましたが、僕はどんな状況でも伝えたいことを的確に伝えられるプレゼンだと思います。限られた方法の中でクオリティーの高いプレゼンができるように、この発表会の経験を生かしたいです」と、まとめ、中3生のプレゼンテーションへとうまくリレーした。

 中3生は2、3人からなる5組に分かれ、「歴史」「スポーツ」「貧困問題」の分野から発表した。歴史分野では「石川五右衛門の人物像」「ロボットの意外に深い歴史」というテーマでさまざまなエピソードを紹介。「歴史クイズ」も行われ、「歴史はただ暗記するのは大変だが、時代の流れや背景を知って勉強するとがぜん面白くなる」と強調した。

 スポーツ分野では「合気道・バスケットボール・アイスホッケー・ラグビー」それぞれのルールや魅力について、また「貧困問題」では、世界と日本の貧困の原因を比較し、問題の深刻さを訴えた。

 高1、2生は、それぞれ3組に分かれ、高1生は学校行事の「アジアセミナー」「オリンピック」「中高一貫コースの未来」について、高2生は、「海」「アジアセミナー」「消費税」をテーマに発表した。

 高1生と高2生がともに参加して昨年8月に行われた8日間の「アジアセミナー」については、両学年とも思い入れが深く、高1は訪問先のブルネイで、ムスリムの文化やハラールフードを体験して、「偏見がなくなり、異文化を知る大切さを知った」と話し、高2は同じくブルネイで水上集落の村長にインタビューした経験や訪問国マレーシアの印象などを話した。

学年を追って生徒の成長ぶりが見える

 午前中いっぱいを使って行われた発表会が終わり、それぞれの発表に対する感想などをノートにまとめて振り返っている生徒たちに感想を聞いた。

 中2の女子生徒は「一番伝えたいことは何かを明確にし、発表がただのまとめにならないように注意しました。私自身、説明する力が弱かったので、この経験を生かし、授業や普段の生活でも意見を伝えられるようになりたいです」と話した。中3の男子生徒は「少人数のため、普段の授業でも発言の機会が多く、授業で身に付けた発表力を試す場にもなっています」と話した。

 高1の男子生徒は「中学生の時とは違って、下級生の見本にもなるように、きちんと伝わるかどうかを考えて工夫したことが、以前と比べての成長だと思います」とし、高2の男子生徒は「ほかの学年の発表を見て、こういうやり方もあるんだ、と得るものがありました。反省点も見つかったので、もっと勉強しなくてはと思いました」と話した。

 藤牧教諭は、この日の発表について「中1の頃は手元の資料を読み上げるので精いっぱいだった生徒も、中3になる頃には原稿を見ず、前を向いて話すことができるようになります。高校生ではさらに発表の内容も深まっていくことが分かります」と生徒たちの成長ぶりに目を目細めていた。

主体性を引き出し、人生を楽しむ生き方へのきっかけに

「学び力」を評価する「能力育成入試」について話す入試対策広報部の日下虎太郎教諭
「学び力」を評価する「能力育成入試」について話す入試対策広報部の日下虎太郎教諭

 同校は、2017年から「学び力」を評価する「能力育成入試」を実施している。入試対策広報部の日下虎太郎教諭によると、この新しい入試方式はプレゼン技法研究発表会の狙いとも連動しているという。

 「能力育成入試は、授業を入試に取り入れるという発想から始まりました。120分の講義を受けた後、動機付けをした上で、課題を提示し、発表あるいは実技によって評価します。知識を身に付け、意見を交換して表現するこの発表会も、『学び力』の原点である知的好奇心や論理的思考力、粘り強く取り組む力を伸ばすという意味で狙いは同じだと考えています」

 藤牧教諭は「自ら問題を探り、解決し、協働しながら新しいものを創造する力を伸ばすには、主体的に考える環境が必要です。この発表会も昨今注目されている『探究学習』と同様に、生徒の主体性を引き出し、自らの人生を楽しむ生き方ができるきっかけになることを願っています」と語った。

 (文・写真:山口俊成 一部写真提供:目黒学院中学校・高等学校)

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1152474 0 目黒学院中学校・高等学校 2020/04/08 05:21:00 2020/04/08 05:21:00 https://www.yomiuri.co.jp/media/2020/04/20200407-OYT8I50013-T.jpg?type=thumbnail

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